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G7外相の広島訪問を、海外メディアはどう伝えているのだろうか?

2016-04-12 20:51:11 | 徒然

昨年ヒットした新書の一つに、「京都嫌い」があった。
実際に読んでみたのだが、正しくは「洛中嫌い」と言ったほうがよいのでは?という内容だった。
その「京都嫌い」の最後のほうに、「敗者を弔う」という内容があった。
実際、京都に行くと時の権力闘争に負けた人物たちを弔う、神社などをいくつも見かける。
その中で一番有名なのは、「北野天満宮」だろう。
ご存じのとおり「北野天満宮」は、菅原道真が大宰府に左遷される前に住んでいた屋敷跡に造られた、と言われている。
時の権力争いに負け、大宰府に左遷され失意のうちに、その地で亡くなった菅原道真。
亡くなった後、京都では疫病が流行したり、天変地異などが起きたため、菅原道真を鎮魂するために「神様」として崇め、造られたのが「北野天満宮」だと言われている。

考えてみれば、江戸時代の頃までは「敗者を弔う」という気持ちが、日本人の中に当たり前のようにあった。それが、明治になり「勝者を崇めるようになった」という内容が、指摘されていたのだ。
全国各地にある「豊国神社」や何かと問題となる「靖国神社」などは、その一例だろう。

ところで、昨日広島で行われていた「G7外相会議」の後、出席をしていた外相が揃って「広島平和記念公園」で、献花をささげた。
第2次世界大戦の戦勝国で、核兵器保有国である米・英・仏の外相が、「広島平和記念公園」に行くということは、今までなかった。
何度か期待を込めて話題に上ることはあっても、実現をしたことはなかった。
その理由として挙げられる一つは、「広島に行く=原爆投下に対する謝罪」という、受け止められ方が米国でされてきたからだろう。
実際、昨日ケリー国防相は「謝罪ではない」と、コメントを発表している。

では、広島や長崎の被爆者を含めた多くの人たちが「謝罪を期待していたのか?」と、考えるとおそらく「謝罪」ではなく「あった現実を直視するコトで、原爆がもたらした悲劇を知ってほしい」という、気持ちのほうが強かったのではないだろうか?
そこには、日本人古来の「敗者を弔う気持ち」も含めて、「(亡くなった)人に対する尊厳や尊敬、喪った人を思う生きている人に心を寄せる」という、人としてもっと根源的なモノを求めているのでは?と、思っている。

では、なぜ米国では「謝罪」ということにこだわっていたのは?
様々なところで指摘されているが、「原爆が、戦争終結を早め、そのコトによって日本が救われた」と、思っている人がいまだに多いからだろう。
「良いことをしたのに、なぜ謝る必要があるのか?」という、ある意味とてもシンプルな考えの基に立った考えのようにも思える。

このような考え方の違いが、これまで各国首脳・元首たちが広島を訪れなかった理由だとすれば、とても残念なことだと思う。
そして、そのような「考えの違い」を海外メディアはどのように伝えたのだろうか?
献花の前にあったG7外相夫人たちの被爆者との対面などでは、海外メディアは1社も来なかった、という報道もあった。
ニュースとしては、面白味のないモノかもしれないが、このようなニュースこそ積極的に日本側が海外メディアに働きかける必要があったのではないだろうか?
ただ、影響力のあるケリー国防相が「広島を訪れるべきだ」と、発言された意味はとても大きいと、感じている。



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