日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

キレイという力を贈るプロジェクト

2009-06-30 08:30:00 | CMウォッチ
夜、のんびりとテレビを見ていたら「こんなプロジェクトがあったんだ・・・」というテレビCMを見た。
東京などでは既に何度も流れているCMなのかも知れないのだが、多分私は初めて見たような気がする。
「キレイの力プロジェクト」と銘打ったテレビCMだ。

がん治療によって、髪の毛を失った女性に医療用かつらを贈るというのが、プロジェクトの主旨なのだが、このプロジェクトは実に様々な人たちが関わっている。
これまで拙ブログで紹介してきたヴォルビックの「1Lfor10L」やアース製薬の「ストップ・モスキートプロジェクト」などは、一つの企業が行っている社会的プロジェクトだ。
ところが、このプロジェクトに関わる企業は1社ではない。
テレビCMを流し、(商品売上から)募金を募るのがパンテーン、医療用かつらの髪の毛を提供するのが聖路加大学などの看護学生さん、そして集まった募金と看護学生さんたちから提供された髪の毛でかつらを作るのが、かつらメーカーのスベヴェンソンだ。

一般女性の髪の毛の提供が許されていないのが残念な気がするのだが、それは髪の毛を染めていないこと、若い女性の髪の毛といった「かつらを作るための条件」のためのようだ。
私のような、癖髪の白髪交じりの中年のオバサンの髪の毛は、ご用無しというコトだ(涙)。

ここ数年、女性のがん患者を扱った映画が話題になっている。
「セカチュウ」コト「世界の中心で愛を叫ぶ」では、(実質的)主人公を演じた長澤まさみさんが役のために髪の毛を剃ったコトで話題になった(テレビ版では綾瀬はるかさんも髪の毛を剃ったという話を聞いたような覚えがある)。
今年話題の映画「余命一ヶ月の花嫁」の原作者も、乳がん治療の副作用で髪の毛が抜け落ちたような記憶がある(書店での立読みのうろ覚えなので、間違いの場合はご指摘ください)。

男性にとっても髪の毛は、重要なポイントだと思うのだが、女性にとっての髪の毛は、男性以上に重要で大切なモノだ。
体に相当の負担がかかり、激しい副作用があるといわれるがん治療であれば、尚更心身ともに辛い治療だろう。
そんな女性患者たちに、「キレイになる」という力を与えるというコトは、治療と同じくらいの効果があるかも知れない。

今や女性であれば3人に1人という高い割合で、がんに罹るといわれている(男性の場合2人に1人だそうだ)。
もし抗がん剤や放射線治療と同じように、「キレイになる力」に治療効果があるとすれば、このようなプロジェクトが、他社を巻き込んで大きな力となるのでは?と、考えるのだ。
というよりも、様々な企業が関わって欲しいと願っている。

もう一つ思うのは、このようなプロジェクトを女子高校生にも、知ってもらいたいというコトだ。
私のようなオバサンの髪の毛はご用無しだが、高校生だったら十分使えるだろう。
夏休みになると、とたんに髪の毛が色が変わってしまう傾向があるが、その前に今の黒髪が十分社会に役立つというコトを知って欲しいと思うのだ。
プロジェクト企業との話し合いというコトになると思うのだが、学校単位でこのようなプロジェクトに参加することも、可能かも知れないのだから・・・ 。





最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (いち)
2009-07-01 18:15:36
別の目で見ると、「キレイ」とはキレイな言い方でしかなく
本当のところは「隠せ」と「目をつぶる」が本質であることを忘れてはなりません。

化学治療は恐ろしいものです。
何日か目に真っ黒な枕に悲鳴を上げることになります。
ドラマかマンガのようですが本当です。
怖い思いを続けたくなく、その時点で
髪を短く切る女性も多いようです。
免疫力も低下していますので
剃ることは危険でできません。

病巣、薬品の種類にもよりますが
最終的には全身の毛が抜け落ちます。

期間をあけて数回に分けて投与が行われるものがあります。
投与直後から猛烈な倦怠感、めまい、
吐き気、全身の疼痛に襲われます。
何も出ない胃袋を強烈な吐き気が襲います。

抗がん剤の多くは吐き気と食欲減退を伴うため
吐き気を抑える薬、食欲を増進する薬も同時に
処方される場合もあります。

抗がん剤はそこまでして何を期待するかというと
「細胞分裂が活発な場所」において細胞活動を停止、死滅させる
ことを目的としています。
概してがん細胞は活動が活発なためそこにダメージを
与えることを意図します。
一方で、毛根、消化器官、造血器官(骨髄)等の
活動が活発な部位に同様のダメージを与えるため
上記のようなことが起こります。

放射線は染色体を傷つけます。
その結果、正常な細胞分裂を行えなくする(細胞の次世代を残さない)
効果が期待でき、抗がん剤同様に分裂の活発な部位で作用すること
期待しているのです。
治療は限られた部位への照射として行われる管理された被爆、ということです。
体にマジックで線を引いて体を固定して行います。
その線は治療期間中、数週間から数ヶ月、消さないように
薄くなれば書き直します。

これら治療を全身が活発な細胞分裂の塊のような
成長期の子供達も選択しなければなりません。

今、健康保険医療として受けられる最善の治療です。

化学治療とかけて、化学肥料ととく。
その心は、ともに土壌を深く傷つける。
そんなものです。
化学治療を否定する気はありません、検証された方法ですから。
民間療法や新聞の広告欄と比較しちゃいけません。

そして、これだけの治療を行っても5年10年とぶら下げられた
生存率(恐ろしい言葉ですよね)と己を比較して
「今年も無事だった」と、患者さんたちはつぶやいています。
患者さんから見ればいつでも50%なんですけれどね。

世界の中心で愛を叫ぶのいいでしょう。
一ヶ月の幸せのために結婚するのもいいでしょう。
けれど、現実に戦っている人たちの悲鳴や体験を
聞くことなく、美談にしてはいけないのです。

キレイでいることは大切かも知れませんが
キレイにしないで外に出てこないでね、というメッセージにならないか
そういう不安を感じることがあります。

これは質問ですが
これだけの女性に乳がんの発生が言われている中で
どのくらい胸を切った女性と温泉に入ったことがありますか?

たぶん統計と同じ結果にはならないと思います。
玉川温泉やそういう治療に力を入れている温泉のみで
見られるのだと思います。
見られるのが嫌だ、という人もいれば
健康な、温泉を楽しみに来ている人に
嫌な思いをさせるのでは、という思いのひとが多いはずです。
大きくは年齢層の差でしょう。
脱衣所でとがった言葉を後ろからぶつけられる、
そんなこともあるでしょう。
前述の戦いを潜り抜けてきた同性の勇士にです。

結果的に患者は人目に隠れた場所でしか寛げないのです。

温かい目で見守って、なんて気味の悪いことは願ってない。
本当はまっすぐに「大変ですね」と声を掛けてもらいたい。
「ほんと大変、あなたも気をつけて、検査して」といいたいはず。
健常な胸への嫉妬よりも
こんな思いを皆にさせたくない、
治療は軽いほうがいい、という思いが強い人もいます。

どうです?
健常者や、企業が大挙して「隠せ、隠せ、カツラを贈ってやるから」という
プロジェクトに見えてきませんか?

うそです。ちょと、イヤミを言いたくなったのです、すみません。
安心して化学治療をうけてね、というメッセージのはずです。

女性用のカツラが高価というのも本当です。
本当に驚くべき値段なのです。
年収がそこそこでも子育て中ならば
自分を中心に考えないと買えません。

飾らないでも胸を張って表に出てゆける社会があって初めて
本人の羞恥心を見つめるべきだと思います。
ニット帽、ワッチと言いましたっけ、そんな格好で十分ですから
街へ出てきてよ。
隠さないでよ、少ない髪でも隠れていないでよ。
そっちが先じゃないかと思います。

などと書きながらこれも難しいんですけれどね。

大事なのは早期発見です。
でも、それ以外の活動は結構、無神経なものが多いなとおもうのです。
(早期発見活動もいろいろ思うこともありますが・・・)

なんという長文。ご容赦ください。
言い捨てにはしたくなかったのでくどくどと。
いつも拝見しております。
故に言葉がなれなれしいとご理解ください。
過去に数回コメントさせてもらったことがあります。

割と女性と医療ネタを扱うことも多いようなので
釈迦に説法かも知れませんが
抗がん剤のイメージをお伝えしたいと、偉そうに。
当方健常者、男性です。
患者の直接の悲鳴ではありません。間接ではありますが。
コメント向きの内容でもないので
こんなブログを読んだくらいの扱いを。
返信する
コメントありがとうございます (管理人です)
2009-07-04 22:28:54
いちさん、コメントありがとうございます。
以前もコメントを下さったようで・・・。

長いだけではなく、重たいテーマのコメントでしたので、なんとお返事をして良いのやら・・・と、考え込んでしまいました。

私も、乳がんの手術をされた方を知っています。
残念ながら、一緒に温泉などには入ったことはありませんが。
彼女は、乳房の切除はしませんでしたが、それでも「乳がん」と聞いたときは、ショックだったといいます。

いちさんが指摘されている通り、かつらを被らなくても、堂々と治療している姿を見せられる社会が、一番良いのだと思います。

ただ、(治療で髪の毛が抜けた)容姿は当人にとっても大きなショックだと思います。
そして、かつらがあることで「心が(ほんの少しでも)元気」になれば・・・と願うのです。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。