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滋賀県では湖東地方や湖南地方に集中しているといわれ、それぞれ集落独特の祀り方をされており、中央に吊るされるトリクグラズには独特の伝統があるようです。
以前より国道307号線を走行している際に、気になる勧請縄があり、今回立ち寄ってみることにしました。
蒲生郡日野町北脇は東近江市と隣接しており、近くには工業団地や滋賀県警航空隊や機動警察隊などがある場所ですが、古くからの信仰は守り続けられているようです。
諸木神社の勧請縄(トリクグラズ)
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「諸木神社」は4世紀初めに創始されたとされ、中世の資料には「諸祇」と記録されていることから多くの神が祀られている神社とされています。
御祭神は主祭神に「第1座木神 句句廼馳命」、境内社に「第2座火神 軻遇突智命」「第3座 土神 埴安命」「第四座金神 金山彦命」「第五座水神 罔象女命」と諸々の神が祀られ、神は他にも「大山咋命(日吉神社)」「木花咲耶姫(落神神社)」が祀られる。
さて、参道の先には勧請縄が見えてきて、中央にトリクグラズが吊るされているのが分かります。
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太く編まれた勧請縄の立派さに恐れ入りますが、これだけの大繩を編むには大変な労力がかかったことでしょう。
大繩が結ばれている樹の枯れ加減からもプリミティブな印象が伝わり、この地の信仰の姿が伺えます。
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トリクグラズは“丸に十文字”の家紋のような形に造られており、上部には榊のような葉が付けられている。
このトリクグラズによって結界が張られて、悪いものを寄せ付けないようにしているのかと思います。
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それほど数多くのトリクグラズを見たことはないとはいえ、集落によって独特の造形で祀られているのは興味深く感じます。
まさしくこの世に一つしかない造形で、その形は集落でずっと引き継がれてきたものなのでしょう。
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諸木神社の勧請縄は、片方は通常の縄になっているが、もう片側には大きな房となっています。
北脇ではもう一カ所の勧請縄をこの後に見ましたが、造り方は同じようになっていましたので、集落独特の勧請縄なのかもしれません。
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勧請縄を抜けて神社の境内へ入ると、何とも気の利いた手水がありました。
元は尺で水を受けていたのでしょうけど、コロナ対策で龍の吐水を半分に割った竹で流して、手で受けるスタイルとなっています。
スギの若い枝が蹲(つくばい)に挿されているのも雰囲気良く感じます。
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境内には御神木が祀られていましたが、この樹はまだこれからの樹ですね。
境内には何カ所か伐採された切り株がありましたので、何本かは整備されたのかと思います。
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この日は駐車場に何台も車が停まっており、社務所の中には何人かの人が座っておられる様子でした。
少し高い位置にある本殿の前には祭壇が組まれ、供物や清酒が奉げられていて、太鼓の準備までされていましたので何か祭典が行われる日だったようです。
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本殿の横には立派な注連縄の巻かれた石が祀られていましたが、これはこの神社の磐座なのか?とも思える祀り方です。
石碑に何か彫られているのかもしれないが読み取れない。背後にある石仏は地蔵さん?
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この諸木神社には国の重要美術品に指定されている石灯籠があるといい、数ある石灯籠の中から探してみる。
鎌倉時代後期の作風を伝えるというこの石灯籠は造りも細やかで、均整の取れた姿をしており、他の石灯籠が並んでいても一際目立ちます。
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北脇の山の神
国道307号線を少し北上したところにも勧請縄があり、道切りのような印象を受ける勧請縄です。
手前に置かれているのはおそらく昨年まで吊っていた勧請縄だと思われ、柵のようなものが何カ所にもあるのは結界ということなのでしょうか。
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同じ北脇区ということもあり、大繩の造り方や祀り方はよく似ていますが、何か雰囲気が違います。
神社の勧請縄が村の鎮守の神を守るものなら、こちらは集落の背後にある山の神を祀っているように感じます。
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山側には御神木と思わしきスギがあり、注連縄が巻かれていますが、独特の形をしたシンボルが注連縄に挿されています。
普通に考えると男女が合体したように見え、上が女性で下が男性というこなのかもしれません。
このシンボルには生命の誕生と子孫繁栄を祈願した願いのようなものが感じられます。
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御神木の横には現在の御神木より遥かに大きな木の切り株がありましたので、古来より山の神の祭場として守り続けられてきた場なのだと思われます。
北脇地区ではこの「山の神の勧請縄」と「諸木神社の勧請縄」が対になって地域を守り、地域が守ってきた歴史が今も残されているのでしょう。
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勧請縄はあるはずと思って訪ねても、取りやめてしまった集落も多々あり、集落単位で勧請縄を祀っていたのを地域でまとめたりするケースもあるようです。
失ってしまうのはあまりにも惜しい民俗文化や信仰が滋賀県には数多く残ります。
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