「今日は雨なんで大沢さんが来ると思いました」
と植山悦行七段。私は雨の日を狙って来たわけではないが、晴れてる日に指すよりはいい。ちなみに大野八一雄七段も、晴れの日に対局するのがイヤだったらしい。
「(こっちは将棋を指してるのに)晴れてる日に表で遊んでいる人がいると思うと、悔しいでしょ」
「……」
平日は働いている人が多いと思うのだが、その感覚がよく分からない。
3時休みが終わり、対局再開。

分岐1図以下の指し手。▲3四歩△5五歩▲同角△4四歩▲同歩△3四銀▲2二歩△同玉▲3四飛△同歩▲4三歩成△4四歩▲同と△8五飛打▲7五歩△同飛▲6六角△4四銀▲同角△3三桂▲7一角成△8三飛▲3五歩(投了図)
まで、一公の勝ち。
下手の飛車角の利きが素晴らしく、明らかに指しやすい。私は▲3四歩と突いた。これを△同銀なら▲2二歩△同玉▲3四飛で下手勝ち。大野七段は△5五歩~△4四歩とマギレを求めたが、私は▲同○と取って動じない。結局上手は△3四銀と手を戻した。
私はやはり▲2二歩。△同玉に▲3四飛以下、見事な開き王手が決まった。
大野七段は△8五飛打と、利いてるような利いてないような反撃。私は▲7五歩~▲6六角と切り返し、大野七段のやむない△4四銀に、角をぐるっと回って馬を作った。
△8三飛に▲3五歩。駒落ち戦は上手に駒を持たせると厄介だ。すなわち歩の攻めなら危険を最小限に抑えられる。と、ここで大野七段がまた投げてしまった。

早いようだが、A△3五同歩は▲3四歩△4五桂▲4四馬~▲4五桂。B△4三金右なら、▲3四歩△同金▲3五歩で、いずれも下手勝てる。
してみると、この辺が投げ時だったのかもしれない。私は2局とも会心の出来で、こんな将棋はそうそう指せない。
W氏がヘルプで来室していた。とはいえ「ずいぶんな重役出勤」である。やはりW氏かFuj氏がいないと、手合いがスムーズに進まない。
私の4局目…いや5局目は、植山七段に教えていただく。
「また、負けましたと言ってきたんですか?」
「いえ、今日は勝ってます」
という会話を経て、対局開始。手合いはなぜか平手である。
▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲4八銀△6四歩。植山七段は相矢倉の後手番がおもしろくないと見ているのか、いつも急戦を目指す。
私は▲2四歩△同歩▲同飛。△2三歩を打たれてから引くつもりだったが、植山七段もなかなか打たない。それで▲2三歩と垂らしたが、突っ張りすぎたか。
やがて角銀交換の駒損となり、▲2三の歩も取られて、戦意喪失。そのまま投げてしまおうかと思ったが、せっかくの指導対局である。もう少し指すことにした。

第1図から▲8三銀△5二飛▲7四銀打△6二金▲8二銀不成。たまたまこの局面を右で見ていたU君が、「Tod銀だ!」と叫んだので、あたりが爆笑となった。

ここに打ったわけではないから厳密には違うが、まあ似たようなものだ。
左のKun戦は、Kun氏が終始優勢に進めていたが、端の簡単なトン死筋をうっかりし、投了。ただし内容的には満足だったろう。
数手後、U君が、「あれ? Tod銀がなくなってる」。
あれから▲7三銀引不成△同金▲同銀不成~▲6四銀不成と活用したのだ。ちなみにTod銀は、▲7三銀引不成のところで▲9一銀成とやる。
もっともこれでも私が敗勢。後はいつ投げるかだが、投げきれない。もうちょっと粘る。
「大沢さん、そんなに粘る人でした?」
と植山七段も呆れ顔だ。植山七段も持て余し、決め手を欠く。そのうち、こちらも指せるような気がしてきた。
植山七段は△7六角▲6七桂△8七角成~△7八馬~△8九飛成と殺到する。私は▲7九歩と受け、青息吐息だ。
しかし▲5五桂△8七竜▲5九桂に、植山七段が突然投げてしまった。

(大沢さん、勝ち目のない将棋を粘りすぎでしょう)
という訓戒が込められていたようで、私も反省多々だった。
6局目は、Honma君とのリーグ戦。私が彼の元へ向かうと、大野七段が
「大沢さん、もう一局指そうか」
「いえいえ、大沢さんはリーグ戦なんで」
と、これはW氏。
「先生すみません、後でお相手しますから」
と私も続ける。
大野七段が3局目を誘ってくれるとは、はなはだ異例である。もちろん、前2局のリベンジだ。しかし私もリーグ戦があり、断らざるを得ないのは、つらかった。
(18日につづく)
と植山悦行七段。私は雨の日を狙って来たわけではないが、晴れてる日に指すよりはいい。ちなみに大野八一雄七段も、晴れの日に対局するのがイヤだったらしい。
「(こっちは将棋を指してるのに)晴れてる日に表で遊んでいる人がいると思うと、悔しいでしょ」
「……」
平日は働いている人が多いと思うのだが、その感覚がよく分からない。
3時休みが終わり、対局再開。

分岐1図以下の指し手。▲3四歩△5五歩▲同角△4四歩▲同歩△3四銀▲2二歩△同玉▲3四飛△同歩▲4三歩成△4四歩▲同と△8五飛打▲7五歩△同飛▲6六角△4四銀▲同角△3三桂▲7一角成△8三飛▲3五歩(投了図)
まで、一公の勝ち。
下手の飛車角の利きが素晴らしく、明らかに指しやすい。私は▲3四歩と突いた。これを△同銀なら▲2二歩△同玉▲3四飛で下手勝ち。大野七段は△5五歩~△4四歩とマギレを求めたが、私は▲同○と取って動じない。結局上手は△3四銀と手を戻した。
私はやはり▲2二歩。△同玉に▲3四飛以下、見事な開き王手が決まった。
大野七段は△8五飛打と、利いてるような利いてないような反撃。私は▲7五歩~▲6六角と切り返し、大野七段のやむない△4四銀に、角をぐるっと回って馬を作った。
△8三飛に▲3五歩。駒落ち戦は上手に駒を持たせると厄介だ。すなわち歩の攻めなら危険を最小限に抑えられる。と、ここで大野七段がまた投げてしまった。

早いようだが、A△3五同歩は▲3四歩△4五桂▲4四馬~▲4五桂。B△4三金右なら、▲3四歩△同金▲3五歩で、いずれも下手勝てる。
してみると、この辺が投げ時だったのかもしれない。私は2局とも会心の出来で、こんな将棋はそうそう指せない。
W氏がヘルプで来室していた。とはいえ「ずいぶんな重役出勤」である。やはりW氏かFuj氏がいないと、手合いがスムーズに進まない。
私の4局目…いや5局目は、植山七段に教えていただく。
「また、負けましたと言ってきたんですか?」
「いえ、今日は勝ってます」
という会話を経て、対局開始。手合いはなぜか平手である。
▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲4八銀△6四歩。植山七段は相矢倉の後手番がおもしろくないと見ているのか、いつも急戦を目指す。
私は▲2四歩△同歩▲同飛。△2三歩を打たれてから引くつもりだったが、植山七段もなかなか打たない。それで▲2三歩と垂らしたが、突っ張りすぎたか。
やがて角銀交換の駒損となり、▲2三の歩も取られて、戦意喪失。そのまま投げてしまおうかと思ったが、せっかくの指導対局である。もう少し指すことにした。

第1図から▲8三銀△5二飛▲7四銀打△6二金▲8二銀不成。たまたまこの局面を右で見ていたU君が、「Tod銀だ!」と叫んだので、あたりが爆笑となった。

ここに打ったわけではないから厳密には違うが、まあ似たようなものだ。
左のKun戦は、Kun氏が終始優勢に進めていたが、端の簡単なトン死筋をうっかりし、投了。ただし内容的には満足だったろう。
数手後、U君が、「あれ? Tod銀がなくなってる」。
あれから▲7三銀引不成△同金▲同銀不成~▲6四銀不成と活用したのだ。ちなみにTod銀は、▲7三銀引不成のところで▲9一銀成とやる。
もっともこれでも私が敗勢。後はいつ投げるかだが、投げきれない。もうちょっと粘る。
「大沢さん、そんなに粘る人でした?」
と植山七段も呆れ顔だ。植山七段も持て余し、決め手を欠く。そのうち、こちらも指せるような気がしてきた。
植山七段は△7六角▲6七桂△8七角成~△7八馬~△8九飛成と殺到する。私は▲7九歩と受け、青息吐息だ。
しかし▲5五桂△8七竜▲5九桂に、植山七段が突然投げてしまった。

(大沢さん、勝ち目のない将棋を粘りすぎでしょう)
という訓戒が込められていたようで、私も反省多々だった。
6局目は、Honma君とのリーグ戦。私が彼の元へ向かうと、大野七段が
「大沢さん、もう一局指そうか」
「いえいえ、大沢さんはリーグ戦なんで」
と、これはW氏。
「先生すみません、後でお相手しますから」
と私も続ける。
大野七段が3局目を誘ってくれるとは、はなはだ異例である。もちろん、前2局のリベンジだ。しかし私もリーグ戦があり、断らざるを得ないのは、つらかった。
(18日につづく)