一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

稲葉アマ優勝の波紋

2015-11-02 23:41:32 | 将棋雑考
やや旧聞になるが、加古川青流戦で稲葉聡アマが優勝したのは衝撃だった。
同棋戦は2011年の創設で、参加選手は四段全員、奨励会三段上位、女流棋士2人、アマチュア3人。
第5期の今期は、奨励会三段は23人の参戦だった。三段は四段の一歩手前で半分プロみたいなものだから、三段が優勝してもおかしくない。事実棋戦は違うが、2013年の新人王戦では、都成竜馬奨励会三段が堂々の優勝を果たしている。
しかし加古川青流戦はアマの参戦は3人のみ。稲葉アマは奨励会三段2人、四段4人を撃破したから、文句ない優勝だ。現代はアマがプロに勝ってもニュースにはならないが、優勝をさらわれては、プロ側はシャレにならない。プロの面目丸つぶれである。
それにしても驚かされるのが、稲葉アマの充実ぶりだ。稲葉アマは2001年に奨励会を3級で退会したから、そんなに強かったわけではない。そこから努力を重ね、プロに伍して戦えるまで強くなったのがすごい。
奨励会員は修業時代、棋士の空気を吸って強くなるように考えられていた。少なくともそんな記述を読んだことがある。しかし実際は違うことが分かる。プロの実戦譜を並べ、定跡をとことん勉強し、実戦を重ねれば、限りなくプロに近く、強くなれる場合があるのだ。
もうひとつ意外だったのは、今回の稲葉アマの快挙について、棋士の危機感があまり感じられなかったことである。私は棋士のブログを読まないが、今回の件に言及した棋士はいなかった気がする。
最近はコンピューターの棋力アップが凄まじく、プロが勝つと意外な感すらある。しかも昨今は、コンピューターの新手をプロが拝借する有様だ。コンピューターのプログラマーが「棋士の存在意義は何なのか?」と異議を唱えていたが、まさにその通りである。
アマに勝てないプロ。コンピューターに勝てないプロ。これからプロはどこに行くのだろう。
コメント (3)
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