一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9回世田谷花みず木女流オープン戦(1)「美人モデル5人」

2016-05-01 16:45:47 | 将棋イベント
今回の「世田谷花みず木女流オープン戦」の出場女流棋士は、室谷由紀女流二段、飯野愛女流1級、山口恵梨子女流初段、渡部愛女流初段の4人だった。彼女らは、私が発表している「女流棋士ファンランキングトップ10」にすべてランクインしている。聞き手は中井広恵女流六段、鈴木環那女流二段、藤田綾女流初段で、これも同ランキングの常連だ。
私は同棋戦を毎年観戦しているが、今年のメンバーは特別で、私のためにチョイスしたように思われた。世間ではゴールデンウイークの初日で民族大移動が始まったが、私はいそいそと会場に向かったのである。

会場は世田谷区・二子玉川駅前にある「玉川高島屋S・C」の6階。
私は渋谷で東急田園都市線に乗り換え、午前10時11分に同駅に着いた。開演は10時30分だから、余裕をもって到着である。…が、そうではなかった。
エスカレーターに乗り6階に着くと、30余あるパイプ席はすべて埋まっていた。その後方にあるベンチ席も満席で、座れる場所がない。
立ち見の客も多い。室谷女流二段の活躍と渡部女流初段の参戦が大きく影響しているのだろう。まあ私は立ち見でも構わないのだが、これから行われるであろう撮影タイムで、女流棋士との距離が遠くなるのが不満だった。
…といって開店前からデパートの前で並ぶまでの気力もなく、この結果は仕方なかった。
定刻になり、中村アナウンサーの進行で、イベントの開始となる。
あらためてこれは「第34回二子玉川花みず木フェスティバル」内の、「第9回世田谷花みず木女流オープン戦」である。小学生世田谷竜王戦、中学生竜王戦が併設されている。
右手の廊下から、Tod氏が私に手を振った。彼もあっちこっちに出没して、元気そのものである。
対局者と解説者、聞き手が紹介され、ステージ前に登場した。向かって左から、飯野女流1級、渡部女流初段、山口女流初段、室谷女流二段、森下卓九段、中村修九段、藤田女流初段。なお、島朗九段、中井女流六段、鈴木女流二段は適宜紹介となる。
まずは1分間撮影タイムである。今年はフラッシュ禁止だった。まあ、そうなるよね。
と、森下九段と中村九段が、ソソソと舞台から離れてしまった。
「私たちがいないほうがいいでしょう…」という妙な気の利かせ方だが、私たちも無理に引き留めない。
私はリュックからカメラを取り出す。…と、撮影者が黒山になっているのに唖然とした。
例年、こんなに撮影者は多かったか!?
しかし正面にはモデルと見紛う女流棋士がズラッと並び、まばゆい光景である。一般人が彼女らを見たら、どこかのモデル事務所の集合写真と思うだろう。私もシャッターを押す手に力が入るが、いかんせん前方の撮影者が邪魔で、まともな写真が撮れない。
ウガガガ…。これは前途多難を思わせた。

右手廊下側に中倉宏美女流二段の姿があったが、気のせいか? でもLPSAの代表がいてもおかしくない。
準決勝第1局は、室谷―山口戦である。二人とも花柄のワンピース系にカーディガンを羽織り、春らしくて愛らしい。
二人は第4回大会の決勝で当たっているという。まずは対局前のインタビュー。
山口女流初段「この棋戦の優勝者は、全員タイトル戦に登場していて、登竜門的存在です。私もがんばります」
室谷女流二段「最近は自分の将棋が指せていると思います。いい緊張感の中で、いい将棋が指せればと思います」
続いてプロフィールの紹介である。
「室谷女流二段は、優雅さと力強さを兼ね備えた存在…」
「山口女流初段は、人気、実力ともに不動の地位を確立する…」
などであった。
解説は森下九段。「山口さんは最近居飛車も勉強しているので、相振り飛車になるか、居飛車対振り飛車になるか…」
聞き手の藤田女流初段。「お二人とも席上対局は何度も指しているので、緊張はないでしょう」
10時48分、室谷女流二段の先手で対局が開始された。▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩。
これで室谷女流二段の石田流、山口女流初段の居飛車が決まった。
山口女流初段、△9四歩。森下九段「これは新しい指し方ですね」
居飛車の経験は浅いが、よく勉強している、というふうだ。
室谷女流二段▲7四歩。行きましたねー、と森下九段が驚く。そして「升田式石田流は45年前に現れた戦法です」と、感慨深げに話す。
▲7四歩に△同歩は▲同飛のあと▲3四飛を狙われて後手がおもしろくない。山口女流初段は長考で△7二金と「大山流」で応じた。
Tod氏が来た。さっきは中井女流六段と話をしていたらしい。私も挨拶に行くべきだったかもしれないが、畏れ多くてできない。
Tod氏は先日のLPSAのイベントにも参加したとのこと。彼は本当に熱心だが、指し将棋は一向に上達しない。これはある意味、特技ともいえる。
観客席には、O氏の後ろ姿。立ち見ではミスター中飛車氏、Tat氏の姿があった。ほかにも見た顔がいっぱいあり、その情熱に頭が下がる思いだった。
数手後、山口女流初段の△8八角成に、室谷女流二段は▲同銀と応じた。
「ほーこうやるもんですか。なるほどー」
と森下九段。九段の解説に「なるほど」はつきもので、これがこのあと何回でてくるか。なお森下九段は、マイナビ女子オープン第3局の立会人を務めるらしい。
△6四歩。森下九段「歩が前に進んで、そのあとから金や銀が出ていくのがいいのです」
室谷女流二段は前傾姿勢で考えている。セミロングの髪は全部向こう側にいっている。ちょっと首筋がみえて色っぽい。
室谷女流二段が▲8五歩と指すと、山口女流初段が秒読みになった。本戦は持ち時間10分・秒読み30秒。よって持ち時間は、あってなきがごとしだ。
△7四金と出る。森下九段「これはまた力強く行きましたねー。なるほど」
△6五金。「なるほどー。積極防衛です」
▲7七銀。「なるほどー」
もう、「なるほど」の大安売りだ。
山口女流初段、△7六歩と銀取りに打つ。これに室谷女流二段が▲6八銀と引いたのが、森下九段には意外だったようだ。「こう(▲6六銀)出たいところですけどね。大勝負をやっていると、考え方が変わるんです」
たぶん、2~3年前の室谷女流二段なら、▲6六銀とぶつけていっただろう。▲6八銀は消極的かもしれないが、戦いを急がないという意味で、強くなった証かもしれなかった。
室谷女流二段は▲8三角(第1図)と打つ。次に▲6一角成があるから後手はそれを防がねばならないが、△5二角か、△6二飛か。
ここが運命の分かれ道だった。

(3日につづく)
コメント
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