一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

不明を恥じるのを恥じたことを恥じる

2016-05-19 00:42:53 | 女流棋戦
昨日18日は第9期マイナビ女子オープン五番勝負第4局。ここまでの3局、挑戦者の室谷由紀女流二段は互角以上の戦いをしているが、それが勝利に結びつかない。気が付けば本局がカド番となり、本人は不本意であったろう。
対して加藤桃子女王は、この内容で2勝1敗なら十分。本局も最後は私が勝つ、と信じて対局に臨んだに違いなかった。
本局、私は仕事の合間にスマホを盗み見て、ネットでの会話を参考に、将棋を鑑賞した。
将棋は後手番・室谷女流二段の振り飛車。局面は見ていないので、細かいことは分からない。ただ午前中の展開は、例によって室谷女流二段がうまく指していたようだ。
午後からはじめて、局面を見る。加藤女王が端攻めを敢行していた。しかしネット解説では、▲9四角の香得をぐっとこらえて▲4四歩を推奨していた。たしかにこう指されたら、後手はどうするのだろう。
本譜は加藤女王が▲9四角としたので、後手のペースが保たれたようだ。
以下は室谷女流二段がと金を作り、有利をさらに差を拡げたようだ。でも私はよろこばない。仮に「後手勝勢」のツイッター解説が出ても、最後はひっくり返されるに違いない。もう私はダマされないのである。
加藤女王は▲8六香。加藤女王はこの4局とも序中盤でしくじったが、悪くなってからが強い。この▲8六香も美濃囲い攻略に欠かせない手で、こうしたイヤミイヤミと攻める手で、挑戦者の悪手を誘発するのだ。
ここでは△7一桂が後の▲6三竜を防いで最有力。室谷女流二段は△7三馬と引いたが、次善手だったようだ。
室谷女流二段は最近受けの力が付いてきた、というのがもっぱらの評判だが、少し前の室谷女流二段だったら、△7一桂(もしくは△6二桂)を選んだ気がする。△7三馬は手厚く見えて、そうでなかった。
加藤女王▲6五桂。この手が入ってしまったのが△7三馬の罪である。△3七馬と入った手が手の価値としては0.7手ぐらいで、このあたりではもう室谷女流二段がいけないと思った。
とにかく室谷女流二段には第1局と第3局の「前科」があるので、本シリーズにおいては、私の彼女への信頼度は低いのだ。
▲1一とに△5九と。ここで先手は▲8六銀と出る手が妙手とされていた。加藤女王は考える。そして▲8六銀。この時、私は室谷女流二段の敗退を覚悟した。やっぱりな…。
以下▲6一桂成まで進み、後手玉は受けなし。ここでネット解説では、「△5八竜▲同金△7五香で先手玉に詰み筋がある…」とのことだったが、そうだろうか。
私はここでスマホを見るのをやめ、食後の鑑賞の楽しみとした。
だが食後に再生を開始すると、終了時刻が「17:04」になっていた。後手が勝ったなら、もう少し時刻が遅くなるはずだ。
果たして▲6一桂成以後は△7五香▲7七歩△5八竜▲6八金打まで、室谷女流二段が投了していた。室谷女流二段、残念。
戻って――▲8六銀に室谷女流二段は△8二玉と引いたが、ここは△8四歩でむずかしかったらしい。室谷女流二段、ここで敗着を指していたか。

五番勝負が終わった。本シリーズは、室谷女流二段が中盤まで押していたものの、加藤女王が終盤力でひっくり返す、というパターンが多かった。
これ、室谷女流二段には悪いが、何回やっても同じ結果になったと思う。つまり、室谷女流二段に勝つだけの力がなかったということだ。
室谷女流二段自身はいくつか弱点を発見できたろうし、収穫も多かったのではないだろうか。それを克服して、次の対局で活かせばいいのだ。
ま、室谷女流二段の実力はほかの女流棋士より頭一つ抜けているし、すぐ檜舞台に再登場するだろう。
一方の加藤女王はさすがの強さ。とくに終盤の勝負術は唸るところが多かった。
今回中盤までがだらしなかったのは、バイオリズムが最低だったからと見る。当然次の防衛戦には立て直してくるだろうし、またそうでなければいけない。
ともあれ加藤先生、女王3連覇おめでとうございます。
コメント
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