一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第1期電王戦終わる

2016-05-25 22:24:25 | 男性棋戦
さる21日・22日に比叡山延暦寺で、第1期電王戦第2局が行われた。
PONANZA先勝を受けての最終局。将棋ソフトの棋力は棋士のそれを上回っている、というのが私の認識なので、この将棋もPONANZAがいかに勝つか、に興味があった。
山崎隆之八段の先手で初手▲7六歩。以下矢倉模様になったが、13手目▲5七銀が波紋を呼んだ。銀が一間とびに並んで、桂馬があれば△6五桂と打ちたい。そこでPONANZAは16手目△7三桂と跳んだ。
さらに△6四歩~△6五歩と、PONANZAは早くも仕掛ける。善悪は分からないが、後手に先攻されて先手はおもしろくないのではないか。居玉というのも不安だ。が、この局面は最初から避けることができたはずで、裏を返せば先手が誘導したとも取れる。とはいえ…。
36手目△5四歩の突き上げが驚異の一手だった。5三の地点には3つ利いているから理論的にはあるのだろうが、人間では指せない手だ。もっとも△5四歩は、加藤一二三九段が中原誠王将の対中飛車に指した▲5五歩も想起させ、理外の理の好手かもしれなかった。
△3一玉の局面で山崎八段が封じた。ここでソフトの評価は-300だったらしい。私の思い込みのひとつに、ソフトに差をつけられたら挽回できない、がある。たかが-300、されど-300で、これは山崎八段、第1局ほどでないにせよ、第2局も苦戦するのだろうなぁと思った。
2日目、山崎八段の▲1三歩に、PONANZAの△同玉が疑問だったらしい。ソフトは疑問手を指さないと信じていたので、これは意外だった。
ここで山崎八段にチャンスが巡ってきたが、直後の▲6五歩が疑問手のお返しで、またPONANZAがよくなったらしい。
山崎八段は6五の地点で桂得を果たすが、手番を握ったPONANZAは△7九銀から反撃する。以下の攻めは流れるように華麗で、別の意味でソフトの指し手とは思えなかった。
最後は先手玉を即詰みに討ち取って、幕。手順に△1三同桂と取った手が詰みに一役買うあたりはシャレていて、PONANZAはどこまでもお見通しなのだと感心した。全局を通じて指し手に一貫性があり堂々としていて、私は2014年3月15日に指された菅井竜也五段VS習甦戦の、習甦の将棋を思い出したものだ。
かくして第1期電王戦は将棋ソフトの快勝で終わった。山崎八段も大健闘だったが、戦う前から負けているふうだった。あれだけ頭を垂れていては、勝てる将棋も勝てない。事前の練習対局で、ソフトに相当痛い目に遭ったのだろうか。ともあれ、お疲れさまでした。

ところでこの本局について橋本崇載八段が、ツイッターで「誤解しないでほしいのは、彼は将棋で負けたのではなく将棋に似たゲームで負けただけ、ということです」とつぶやいたらしい。
その心がよく分からないが、この言葉こそ誤解を招きそうである。私がツイッターを書くのも読むのも嫌いなのは、字足らずの文章をまきちらすことで、読者に誤解を与えるのを恐れるからだ。
持ち時間8時間の将棋で山崎八段が完敗した今、上記のつぶやきはプロ棋士の言い訳にしか聞こえなかった。
コメント
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