一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9回世田谷花みず木女流オープン戦(5)「第1位と第2位の戦い」

2016-05-08 18:38:17 | 将棋イベント
今日は母の日。最寄り駅のエキナカに花屋があり、コンコースに出張所を出していた。
シャレたカーネーションの鉢が1,404円で売られていた。2つあったので、値札のあったほうをもうひとつの鉢に移し、それをレジに持って行く。と、「2,160円」と言われ、ひっくり返った。
値札と値段が違っていた場合、私はあまりアピールできないほうである。
「あ、そうなんだ…」
とおカネは払ったものの、「鉢の値札が違ってたから、確認したほうがいいですよ」とは言っておいた。
それにしたって700円の余分な出費は痛かった。

(昨日のつづき)
会場は、立ち見客が椅子席の周りをぐるりと囲っている。昨年より多い感じだ。
室谷由紀女流二段は居玉で右桂を跳ね、△6三銀。三間飛車の藤井システムだ。さらに△7二金。美濃囲いに固執せず、臨機応変に囲いを変える。振り飛車のバリエーションを体得している感じだ。
渡部愛女流初段は一手一手少考を繰り返しながら指す。ちょっとお茶を飲む回数が多いが、よほど緊張しているのか、体調がわるいのか。ともあれ両者盤面を凝視し、こんこんと読む姿は一幅の絵だ。
なお両対局者のきものは、協賛の鈴乃屋の提供と思われる。
私の前の関係者席に島井咲緒里女流二段が座り、戦況を見守っている。右に目を転じれば中倉宏美女流二段の姿が確認できる。LPSAも協賛になっているのかもしれない。
島朗九段「席上対局で自分の将棋を見てもらえるのはいいですね。席上対局を1局も経験せず、一生を終える棋士もいるわけですから」
島九段の散文的な言い回しが、逆に笑いを誘う。
渡部女流初段は穴熊を諦め、銀冠を構築した。室谷女流二段△8四歩。
島九段「最近の女流棋士のレベルアップはすごいですね。私も参考にしています。今は女流棋士と公式戦で当たる機会も多いですけど、幸い私は1度も当たったことがないんですよ。一度当たりそうになったことはあったんですけど。何とか(本局の)2人と当たらないで現役を終わりたいと思っています」
当たったら負ける、という自虐的吐露だ。聞き手の中井広恵女流六段も苦笑するのみである。もっとも女流棋士に勝てない男性棋士は存在して、某七段は清水市代女流六段(1勝1敗)、矢内理絵子女流五段(1敗)、甲斐智美女流五段(2敗)に屈している。
△4五歩を先手が考慮中、秒読みになった。
島九段「渡部さんは将棋が若いですね」
これはもちろん褒め言葉である。
室谷女流二段は△6二玉。やっと玉を動かした。首を傾げながら指すが、もちろん将棋はこれからだ。
島九段「渡部さんの将棋は森内九段に似ています。いろいろなテクニックを使ってくる」
△5五歩に▲同歩は注文通りと見て▲6八金上。そうしてお茶を飲んだ。
△1四歩の様子見に▲5八飛。ここで室谷女流二段も秒読みになった。
島九段「室谷さんは自由闊達に指していますが、(局面は)バランスを保っています」

「(第1図から)△3五歩▲3九飛△4三金となれば、後手がスクラムを組んで押してくることになるんじゃないでしょうか」
またもラグビーに譬えた。「室谷さんが相手だと、自分が優勢でも不安感を覚えるでしょうね」
実戦は△3五歩▲3八飛のあと△2四歩と進み、2筋にも戦火が拡がった。
渡部女流初段▲9六歩。詰められた端を逆襲する、しばし現れる手だ。室谷女流二段は△同歩▲同銀に△同香と応じ、数手後に△5六銀!!
島九段「ガツンと音が出るような手でしたね」
しかし渡部女流初段も負けず、▲3四歩と角頭に打つ。(△2四の飛車で)△3四同飛なら▲5六銀△同歩▲2五銀で飛車が取れる。よって室谷女流二段は△4二角だが、これは大きな利かしになった。
第2図。ここで渡部女流初段が、例の一手を指した。

(つづく)
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