10日(日)は、第27期倉敷藤花戦第1局があった。里見香奈倉敷藤花に伊藤沙恵女流三段が挑戦する構図で、第25期と同じ顔合わせだった。
両者の対戦成績は、里見15勝、伊藤5勝。タイトル戦番勝負は里見女流五冠の5戦全勝で、それが祟って伊藤女流三段はここまでノンタイトルである。よって「女木村一基」と呼ばれたりもしたが、本家の木村九段は王位を獲得した。だが伊藤女流三段だって元奨励会1級だから実力はある。伊藤女流三段はこれがタイトル戦7回目になるが、今回こそはと期するものがあったと思う。
将棋は先番伊藤女流三段の向かい飛車に、里見倉敷藤花が居飛車を採った。里見倉敷藤花は、先の女流王座戦に続いての採用となる。そして5筋位取りに出た。同戦法は大山康晴十五世名人や中原誠十六世名人の得意でもあるが、いっぽうで羽生善治九段は一度も採用していないという事実があり、難しい。
第1図以下の指し手。▲5四歩△同飛▲2二角成△同玉▲6三角△5三飛(第2図)
第1図は里見倉敷藤花が△6五桂と跳ねたところ(関係者に断わりを入れてないのに図面を作っていいのかという負い目はあるが、注意されたらまた考える)。ここで私だったらノータイムで▲8八角と逃げる。しかしプロの指し手は当然違って、伊藤女流三段は▲5四歩と突き出した。
なるほど△7七桂不成なら▲6四飛と捌いて先手必勝だ。よって里見倉敷藤花は△5四同飛と取ったが、伊藤女流三段は角を換わって▲6三角。いかにも好点で、控室はこれで先手有利と見ていたらしい。
第2図以下の指し手。▲5四銀△6三飛▲同銀成(第3図)
第2図、私だったらノータイムで▲7四角成である。馬を作りつつ銀取りだから気分がいい。だがそこで△5八銀の反撃も相当恐い。
それで伊藤女流三段は▲5四銀と打ったが、これはダサイ気がした。
本譜は△6三飛▲同銀成と進んだが、この局面をどう見るか。
後手は好点の角と交換できたから不満なし。先手は飛車を取ったが盤上を支配しそうな角が消えた。しかも貴重な銀を使ってしまった。これは▲6四成銀と銀を取れれば銀得になるが、この成銀がどのくらい働くかである。私は「▲8三桂から▲9一桂成」、Tod氏は「▲8二銀から▲9一銀成」と香得する手が好きだが、これは駒得しているようでしていない。▲6三同銀成にも、それと同じニオイを感じたのである。
第3図以下の指し手。△6六歩▲同飛△4四角▲6九飛△5六歩▲5八歩△7八角▲5九飛△5五銀(第4図)
里見倉敷藤花は△6六歩から△4四角。伊藤女流三段は▲6九飛と引いて、控室ではこれでも振り飛車十分と見ていたようだ。しかし△5六歩に▲5八歩、△7八角に▲5九飛と逃げるようでは調子がおかしい。
里見倉敷藤花△5五銀(第4図)。実に堂々とした進出で、これで▲6三の成銀がスカタンになってしまった。
第4図で伊藤女流三段は▲6一飛と下ろしたが、持駒が歩だけでは後続がない。しかも▲6三成銀の存在が祟って、△7一金で飛車を殺される筋さえ出てきた。
いっぽう里見倉敷藤花の指し手は冴え、と金を作って金得。さらに△7八角を△5六角成と活用し、伊藤女流三段を投了に追い込んだ。
伊藤女流三段は残念無念の敗戦。対戦成績の分が悪い側は、優勢な将棋を確実に取らなければならないが、逆の目になってはしょうがない。
第2局、第3局は23日、24日の連戦である。よって挑戦者が第2局を勝てば、勢いに乗って連勝、という可能性も十分ある。とりあえず23日に注目である。
両者の対戦成績は、里見15勝、伊藤5勝。タイトル戦番勝負は里見女流五冠の5戦全勝で、それが祟って伊藤女流三段はここまでノンタイトルである。よって「女木村一基」と呼ばれたりもしたが、本家の木村九段は王位を獲得した。だが伊藤女流三段だって元奨励会1級だから実力はある。伊藤女流三段はこれがタイトル戦7回目になるが、今回こそはと期するものがあったと思う。
将棋は先番伊藤女流三段の向かい飛車に、里見倉敷藤花が居飛車を採った。里見倉敷藤花は、先の女流王座戦に続いての採用となる。そして5筋位取りに出た。同戦法は大山康晴十五世名人や中原誠十六世名人の得意でもあるが、いっぽうで羽生善治九段は一度も採用していないという事実があり、難しい。
第1図以下の指し手。▲5四歩△同飛▲2二角成△同玉▲6三角△5三飛(第2図)
第1図は里見倉敷藤花が△6五桂と跳ねたところ(関係者に断わりを入れてないのに図面を作っていいのかという負い目はあるが、注意されたらまた考える)。ここで私だったらノータイムで▲8八角と逃げる。しかしプロの指し手は当然違って、伊藤女流三段は▲5四歩と突き出した。
なるほど△7七桂不成なら▲6四飛と捌いて先手必勝だ。よって里見倉敷藤花は△5四同飛と取ったが、伊藤女流三段は角を換わって▲6三角。いかにも好点で、控室はこれで先手有利と見ていたらしい。
第2図以下の指し手。▲5四銀△6三飛▲同銀成(第3図)
第2図、私だったらノータイムで▲7四角成である。馬を作りつつ銀取りだから気分がいい。だがそこで△5八銀の反撃も相当恐い。
それで伊藤女流三段は▲5四銀と打ったが、これはダサイ気がした。
本譜は△6三飛▲同銀成と進んだが、この局面をどう見るか。
後手は好点の角と交換できたから不満なし。先手は飛車を取ったが盤上を支配しそうな角が消えた。しかも貴重な銀を使ってしまった。これは▲6四成銀と銀を取れれば銀得になるが、この成銀がどのくらい働くかである。私は「▲8三桂から▲9一桂成」、Tod氏は「▲8二銀から▲9一銀成」と香得する手が好きだが、これは駒得しているようでしていない。▲6三同銀成にも、それと同じニオイを感じたのである。
第3図以下の指し手。△6六歩▲同飛△4四角▲6九飛△5六歩▲5八歩△7八角▲5九飛△5五銀(第4図)
里見倉敷藤花は△6六歩から△4四角。伊藤女流三段は▲6九飛と引いて、控室ではこれでも振り飛車十分と見ていたようだ。しかし△5六歩に▲5八歩、△7八角に▲5九飛と逃げるようでは調子がおかしい。
里見倉敷藤花△5五銀(第4図)。実に堂々とした進出で、これで▲6三の成銀がスカタンになってしまった。
第4図で伊藤女流三段は▲6一飛と下ろしたが、持駒が歩だけでは後続がない。しかも▲6三成銀の存在が祟って、△7一金で飛車を殺される筋さえ出てきた。
いっぽう里見倉敷藤花の指し手は冴え、と金を作って金得。さらに△7八角を△5六角成と活用し、伊藤女流三段を投了に追い込んだ。
伊藤女流三段は残念無念の敗戦。対戦成績の分が悪い側は、優勢な将棋を確実に取らなければならないが、逆の目になってはしょうがない。
第2局、第3局は23日、24日の連戦である。よって挑戦者が第2局を勝てば、勢いに乗って連勝、という可能性も十分ある。とりあえず23日に注目である。