8日(金)に行われた第68期王座戦一次予選で、渡部愛女流三段が石井健太郎五段に勝ち、3回戦に進出した。渡部女流三段は土佐浩司八段戦に続いての勝利で、快挙である。
石井五段は2013年10月デビュー。今年27歳の気鋭で、どんな戦法も指すオールラウンドプレイヤーである。2017年度の第76期順位戦C級2組では8勝2敗としたが、順位2枚の差で頭ハネを食った。すぐ上で昇級したのは増田康宏五段(当時)で、最終局は神谷広志八段との対局だった。最終盤で増田玉に詰みが生じたが神谷八段が逃し、増田五段の劇的な昇級になったのは、当ブログでも紹介した通りだ。
こんな結果になっては石井五段も腐るところだが、石井五段は翌期も頑張り、やはり8勝2敗。今度は順位の差が生きて昇級した。2期連続の8勝は実力があることの証左だ。
私は一昨年の「世界の将棋まつり」で石井五段に角落ちで教わったが、吹っ飛ばされた。
そんな石井五段と渡部女流三段の対戦なら、石井五段の勝利と予想するのが普通だ。それを裏切って勝ち切ったのがすごい。
しかもネットで棋譜を見ると、渡部女流三段が後手番になり、相居飛車の力戦形だった。
プロの将棋を観ていて訳が分からないのは、この戦型である。定跡という助け舟がないから、次に何を指すのか予想がつかない。もちろん形勢判断も分からない。私から見れば進路が分からぬ大海原みたいなもので、よく渡部女流三段は適切な航路を見つけて進めたものだと思う。素晴らしい。本当に素晴らしい。
ただ私のようなゲスから見れば、丸一日美人を前にして、石井五段に平常心の乱れはなかったかとも思う。世の中のあらゆる競技で、男女が一日中向かい合って勝負するのは、囲碁将棋くらいしかない。私が同じ立場だったら心乱れて、とても正常な手は指せない。
だがまあ石井五段に限ってそれはない気がする。やはり勝った渡部女流三段が偉いのだ。
ではちょっと、終盤の局面を見てみよう。
図から△4六角▲6八歩△同歩成▲同銀△6七歩▲5五銀△6八歩成▲同金△6七歩▲4六銀△6八歩成▲同飛△6七歩まで、渡部女流三段の勝ち。
△4六角から△6七歩~△6八歩成の無限ループが痛すぎる。植山悦行七段だったら、再三の△6七歩を「百たたき」と表現するだろう。私が先手でこれをやられたら、渡部女流三段のファン順位を下げるところである。
結果論だが、49手目に石井五段が▲8八歩と受けたのがつらかった。左辺が壁になってどうにもならなかった。
渡部女流三段は女流棋戦でアマに負けることもあるが、持ち時間の長い将棋では丹念に読みを入れてしっかり勝つ。このギャップもまた、彼女の魅力であろう。
3回戦の相手は、増田康宏六段。もちろん勝機はある。
石井五段は2013年10月デビュー。今年27歳の気鋭で、どんな戦法も指すオールラウンドプレイヤーである。2017年度の第76期順位戦C級2組では8勝2敗としたが、順位2枚の差で頭ハネを食った。すぐ上で昇級したのは増田康宏五段(当時)で、最終局は神谷広志八段との対局だった。最終盤で増田玉に詰みが生じたが神谷八段が逃し、増田五段の劇的な昇級になったのは、当ブログでも紹介した通りだ。
こんな結果になっては石井五段も腐るところだが、石井五段は翌期も頑張り、やはり8勝2敗。今度は順位の差が生きて昇級した。2期連続の8勝は実力があることの証左だ。
私は一昨年の「世界の将棋まつり」で石井五段に角落ちで教わったが、吹っ飛ばされた。
そんな石井五段と渡部女流三段の対戦なら、石井五段の勝利と予想するのが普通だ。それを裏切って勝ち切ったのがすごい。
しかもネットで棋譜を見ると、渡部女流三段が後手番になり、相居飛車の力戦形だった。
プロの将棋を観ていて訳が分からないのは、この戦型である。定跡という助け舟がないから、次に何を指すのか予想がつかない。もちろん形勢判断も分からない。私から見れば進路が分からぬ大海原みたいなもので、よく渡部女流三段は適切な航路を見つけて進めたものだと思う。素晴らしい。本当に素晴らしい。
ただ私のようなゲスから見れば、丸一日美人を前にして、石井五段に平常心の乱れはなかったかとも思う。世の中のあらゆる競技で、男女が一日中向かい合って勝負するのは、囲碁将棋くらいしかない。私が同じ立場だったら心乱れて、とても正常な手は指せない。
だがまあ石井五段に限ってそれはない気がする。やはり勝った渡部女流三段が偉いのだ。
ではちょっと、終盤の局面を見てみよう。
図から△4六角▲6八歩△同歩成▲同銀△6七歩▲5五銀△6八歩成▲同金△6七歩▲4六銀△6八歩成▲同飛△6七歩まで、渡部女流三段の勝ち。
△4六角から△6七歩~△6八歩成の無限ループが痛すぎる。植山悦行七段だったら、再三の△6七歩を「百たたき」と表現するだろう。私が先手でこれをやられたら、渡部女流三段のファン順位を下げるところである。
結果論だが、49手目に石井五段が▲8八歩と受けたのがつらかった。左辺が壁になってどうにもならなかった。
渡部女流三段は女流棋戦でアマに負けることもあるが、持ち時間の長い将棋では丹念に読みを入れてしっかり勝つ。このギャップもまた、彼女の魅力であろう。
3回戦の相手は、増田康宏六段。もちろん勝機はある。