里見香奈女流王座に西山朋佳女王が挑戦する第9期女流王座戦第1局は10月30日に行われ、西山女王が勝った。
また、同じカードの第41期女流王将戦も、第3局が1日に行われ、挑戦者の西山女王が勝った。西山女王は●○○の2勝1敗で逆転奪取、女王と合わせ自身初の二冠となった。里見女流六冠は五冠に後退、「女流六冠」は57日間だった。
この2局を軽く振り返ってみよう。
女流王座戦は、先番西山女王の初手▲7八飛に、里見女流王座が二枚銀に構え、昭和を彷彿とさせる対抗系となった。
里見女流王座は32手目△6五歩と仕掛ける。これに西山女王は▲8八飛!(第1図)
ここ、ふつうは「攻められた筋に飛車を回れ」で、▲6八飛が相場だろう。実際控室の検討もそれが主流だった。
▲8八飛自体は大山康晴十五世名人が指しそうだが、大山十五世名人は△6五歩と仕掛けられる前に▲8八飛と備えそうである。
いずれにしても、そんな手もあるのかと私は感心したものだ。
数手進んで46手目、里見女流王座が△2二角と銀取りに打った局面。ここで西山女王は▲5六金!(第2図)
銀を助けるためとはいえ、金はナナメ上に上がったら容易に元の位置には戻れない。よって▲5六金は、もあうあなたは攻め駒になりなさい、と金に言い聞かせた手で、私にはとても指せない手であった。
その後西山女王はこの金を巧みに捌き、終盤はごちゃごちゃした局面から一歩抜け出し、快勝となった。
天下の里見六冠王に、▲8八飛や▲5六金と指して勝てる女流棋士がいるだろうか。これだけを取っても、西山女王がいかに並外れた力か分かるのである。
そして女流王将戦である。
こちらも西山女王の初手▲7八飛戦法となった。里見女流王将は銀冠から穴熊に組む。
ここでもコクのある中盤戦が展開されたが、里見女流王将の△3六歩に西山女王が▲同金と取ったことで、またも四段金が現れた(第3図)。
しかしこれも危険な位置で、守りの機能が半減しただけでなく、△2四桂や△4四桂と据えられただけで、半分崩壊の雰囲気さえある。
しかし西山女王はまたもごちゃごちゃした戦いでその暇を与えず、里見女流王将が△4四桂から△3六桂と金を取った時には大勢が決し、西山女王の勝ちになっていた。
西山女王が参加できる棋戦は上記2つとマイナビ女子オープン(女王)だけである。それで女流二冠で、現在3冠目に手が届く状況にある。かつての加藤桃子女流三段がそうだったが、現役奨励会員は強いのだ。
西山女流二冠の指し手は全体的に力強く、見ていて楽しい。今後の将棋も期待大である。
また、同じカードの第41期女流王将戦も、第3局が1日に行われ、挑戦者の西山女王が勝った。西山女王は●○○の2勝1敗で逆転奪取、女王と合わせ自身初の二冠となった。里見女流六冠は五冠に後退、「女流六冠」は57日間だった。
この2局を軽く振り返ってみよう。
女流王座戦は、先番西山女王の初手▲7八飛に、里見女流王座が二枚銀に構え、昭和を彷彿とさせる対抗系となった。
里見女流王座は32手目△6五歩と仕掛ける。これに西山女王は▲8八飛!(第1図)
ここ、ふつうは「攻められた筋に飛車を回れ」で、▲6八飛が相場だろう。実際控室の検討もそれが主流だった。
▲8八飛自体は大山康晴十五世名人が指しそうだが、大山十五世名人は△6五歩と仕掛けられる前に▲8八飛と備えそうである。
いずれにしても、そんな手もあるのかと私は感心したものだ。
数手進んで46手目、里見女流王座が△2二角と銀取りに打った局面。ここで西山女王は▲5六金!(第2図)
銀を助けるためとはいえ、金はナナメ上に上がったら容易に元の位置には戻れない。よって▲5六金は、もあうあなたは攻め駒になりなさい、と金に言い聞かせた手で、私にはとても指せない手であった。
その後西山女王はこの金を巧みに捌き、終盤はごちゃごちゃした局面から一歩抜け出し、快勝となった。
天下の里見六冠王に、▲8八飛や▲5六金と指して勝てる女流棋士がいるだろうか。これだけを取っても、西山女王がいかに並外れた力か分かるのである。
そして女流王将戦である。
こちらも西山女王の初手▲7八飛戦法となった。里見女流王将は銀冠から穴熊に組む。
ここでもコクのある中盤戦が展開されたが、里見女流王将の△3六歩に西山女王が▲同金と取ったことで、またも四段金が現れた(第3図)。
しかしこれも危険な位置で、守りの機能が半減しただけでなく、△2四桂や△4四桂と据えられただけで、半分崩壊の雰囲気さえある。
しかし西山女王はまたもごちゃごちゃした戦いでその暇を与えず、里見女流王将が△4四桂から△3六桂と金を取った時には大勢が決し、西山女王の勝ちになっていた。
西山女王が参加できる棋戦は上記2つとマイナビ女子オープン(女王)だけである。それで女流二冠で、現在3冠目に手が届く状況にある。かつての加藤桃子女流三段がそうだったが、現役奨励会員は強いのだ。
西山女流二冠の指し手は全体的に力強く、見ていて楽しい。今後の将棋も期待大である。