一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2年振りの蕨(前編)

2019-12-14 00:27:48 | 蕨将棋教室
飯野愛女流初段の結婚が発表された翌11月26日、またもTod氏からメールがきた。今度は「蕨将棋教室」のお誘いである。今日はウイークデーだが、珍しく教室があるのだ。
一度は断ったが、Tod氏に「じゃあ自分だけ行きます」と再返信され、アマノジャクの私は逆に参加したくなった。
教室の開講時間は18:00~20:00だが、たしか暗黙の了解で1時間の延長があった。
というわけで私は夕食を摂ったあと、結局蕨に向かった。
蕨駅前の施設「くるる」に入り、3階の教室に入ったのは19時03分だった。
W氏は驚き、講師の植山悦行七段はたいそう懐かしがってくれた。実に一昨年の11月28日以来、2年振りの蕨である。ということは植山七段とは、それ以来の再会でもあった。
「すみません、Todさんに誘われまして」
「なんだそりゃ」
植山七段のアタマがまた後退したように見えたが、私の被害のほうがハゲしい。この2年の間、私の「職業」は変わらず、将棋界では室谷由紀女流二段と、冒頭で述べたように、飯野女流初段が結婚してしまった。
教室は現在、3面指しだった。右からTod氏、少年、中年氏である。平日ということはあるが、もう少し生徒がいてもいい気がする。局面はいずれも中盤戦だった。
私も一隅に座り、平手で対局開始となった。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△7四歩▲7八金△7三銀(第1図)

将棋盤は布製の新しいものになっていた。大野教室の六寸盤もいいが、布盤も落ち着いていていい。
▲7六歩△8四歩に▲2六歩からの角換わりも考えたが、矢倉を指すことにした。
▲6八銀に、植山七段は「今の矢倉は勝てなくて」と嘆く。植山七段は本局を見ての通り平手大好き棋士なので、アマ相手の矢倉戦も多いのだろう。
△4二銀と上がるところで、「今は△3二銀から左美濃なんでしょ?」と言う。「でも私は」と△4二銀。
一見がっぷり四つの相矢倉になりそうだが、植山七段は、後手番矢倉はまず急戦でくる。私が七段の棋風を読むのもヘンだが、そうなのだ。
果たして植山七段は、△7四歩~△7三銀と出動し、ほかの盤に移った。

第1図以下の指し手。▲2五歩△3三銀▲5六歩△5四歩▲6九玉△3二金▲3六歩△3一角▲5八金△6四銀▲6六銀△8五歩▲5七銀上△7五歩▲同歩△同銀▲同銀△同角▲6六銀(第2図)

私の席からでは、3面の生徒がタテ方向に見える。手前の中年氏、その向こうの少年とも飛車落ちだ。その向こうのTod氏はよく見えないが、やはり飛車落ちだろうか。
少年が投了し、感想戦に入る。少年が▲5六桂で▲6四桂と銀を取ったが。植山七段は「その前に▲4四歩(銀取り)が絶対でしょう」とか言っている。駒を最大限に活用するということだ。
一方で中年氏の指し手は遅く、あれからほとんど局面が進んでいない。
▲2五歩に植山七段は「ここは受けないんだろうけど、受ける」と△3三銀。数手後の△3一角には▲5八金と上がった。この瞬間、少しイヤな予感がした。
△6四銀に▲6六銀と対抗する。むかし似たような局面で、△6四銀に▲6六歩としたら、植山七段に顔をしかめられ、「ここは▲6六銀でしょう!」と言われたことがある。
今回▲6六銀に、植山七段は「おおー!」と楽しそうな顔をした。

第2図以下の指し手。△8六歩▲同歩△同角▲8七歩△6四角▲5五歩△7六銀▲8六銀△4一玉▲4六歩△5五歩▲同銀(第3図)

私は右銀を5七までやったのでノータイムで▲6六銀と出たが、△8六歩がシャレた手で、▲7五銀は△8七歩成でまずい。ただし△8六歩の手自体は気付いていた。
▲8六同歩△同角のあたりでTod氏の将棋が終わった。これも植山七段の勝ちのようである。
「就職はどうなりました?」
と中年氏に話しかけられた。マスク越しのその目はYos氏で、男性に関心のない私は、いままで全く分からなかった。
▲8七歩△6四角に、▲5五歩の後手引きが痛い。しかもこの歩は▲5四歩と取り込めないのだ。
植山七段は△7六銀。俗に、棒銀は五段目までくれば成功と言われているが、この銀は六段目までワープした。私は▲8六銀と辛抱したが、いかにもあぶない。してみると▲6六銀では、手堅く▲7六歩だったか。
植山七段は△4一玉。ここは△4四銀かとも思ったが、そんなソッポの手は指さないのだ。△4一玉は何かの時の王手○取りを消して味がいい。しかもそれで私のほうに有効な手がないのに愕然とした。
▲4六歩は気が利かないが、ほかに手もない。
植山七段は△5五歩と取ってくれ、私はよろこんで▲同銀としたのだが……。

第3図以下の指し手。△8六角▲同歩△同飛▲5三角△8八飛成▲同金△5七歩(途中図)

▲5七同金△3九角▲2七飛△5七角成▲同飛△5六歩▲2七飛△5七銀(第4図)

植山七段は△8七銀成といきかけたが、△8六角と切った。
▲8六同歩△同飛に私の反撃手段は▲5三角しかない。△8五飛なら▲8六歩。△8二飛ならじっと▲8四歩でどうか。
だが植山七段は△8八飛成とバッサリ行き、返す刀で△5七歩。こんな歩は取るよりないが、△3九角が痛打だ。
私はバカバカしくなって投げようと思ったが、植山七段が「無理攻めかなァ」とかつぶやくので投げられない。
しかし以下も手順の攻めが続き、△5七銀。明快な詰めろだが、受けはあるのだろうか。

(つづく)
コメント (4)
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