藤井聡太棋聖VS渡辺明名人による第92期棋聖戦五番勝負が、6日から始まった。
以前も記したが、前期棋聖は渡辺名人。ということは今回、名人のリターンマッチとなるわけだ。これは棋聖戦に限れば、1971年の第18期・中原誠棋聖VS大山康晴名人以来50年振りとなる。
今回の対戦、実はその50年前と状況が似ている。まず、どちらも青年タイトルホルダーである。また藤井棋聖が王位との二冠で、渡辺名人も棋王と王将を持つ三冠だが、50年前も中原棋聖は十段、大山名人は王将と王位を持ち、やはり二冠と三冠の対戦だった。
また対戦成績も、藤井-渡辺戦がタイトル戦・藤井1-0渡辺、公式戦が同5-1。中原-大山戦もタイトル戦・中原3-1大山、同17-10と、タイトル保持者側のほうが具合がよいのだ。
50年前は大山名人が名人17期と押しも押されもせぬ巨人だったが、中原棋聖戦は勝手が違い、当時の将棋ファンも、大山名人容易ならじという雰囲気を感じ取っていたと思う。
そして今期棋聖戦も、下馬評では青年棋聖の防衛、という雰囲気が漂っているのが異質である。相手は現役名人なのに、である。
しかも渡辺名人は彼我の棋力や格を俯瞰的かつ冷徹に分析するところがある。藤井棋聖の実績を考えれば五番勝負で3勝2敗は相当にハードルが高く、となれば奪取の最低条件は、第1局の制勝にあると考えたに違いなかった。
そんな中名人戦が5局で終了し、渡辺名人が棋聖戦に専念できる状況になったのは、小さくない追い風だったといえよう。
注目の第1局は木更津市「龍宮城スパホテル三日月」。棋聖戦の第1局といえば淡路島の「ホテルニューアワジ」のイメージがあるが、今期は第2局で開催になっている。
渡辺棋聖の先手で、相掛かりになった。しかし渡辺棋聖が角頭に▲8七歩と受けないばかりか香を渡したため、△8三香と打たれて大変なことになった。ただ藤井棋聖も単に角を取らずさらに△8六歩と垂らし、ために渡辺名人が角を逃げるという、凡人には理解不能な戦いとなった。
そんな中盤、藤井棋聖が△3三桂と、▲4五桂にぶつけたのが好手だったようだ。
これに▲同桂成は注文通りなので、渡辺名人は▲5三桂成△同玉と露出させる。これが実戦的な手で、さすがに藤井棋聖も指しにくかろうと思いきや、実際は藤井棋聖がリードを拡げたようだ。
その後藤井棋聖は△4五桂と跳び、△6五桂の追撃。さらに△6四桂と据えた形が絶品で、ここで渡辺名人の投了となった。

投了以後、たとえば▲4六飛は△6六角▲同歩△5七桂左成▲7九玉△7七桂成。実戦でこんな手を喰らうくらいなら、その前に投了したほうがマシだ。
あらためて投了図を見てみると、後手陣は金銀4枚が低く構えてスキがない。結果的に左右の桂が天使の跳躍をした形になり、△6四桂が絶好手だ。まさに名人相手に完勝の図で、こんな将棋を見せられたら、もはや棋聖に死角なし、とすら思える。
第2局は18日(金)。渡辺名人の対策が注目されるが、18歳の怪物相手に、残り4局を3勝1敗はキツイ。現状では、名人が棋聖を奪取するイメージがまったく見えない。
以前も記したが、前期棋聖は渡辺名人。ということは今回、名人のリターンマッチとなるわけだ。これは棋聖戦に限れば、1971年の第18期・中原誠棋聖VS大山康晴名人以来50年振りとなる。
今回の対戦、実はその50年前と状況が似ている。まず、どちらも青年タイトルホルダーである。また藤井棋聖が王位との二冠で、渡辺名人も棋王と王将を持つ三冠だが、50年前も中原棋聖は十段、大山名人は王将と王位を持ち、やはり二冠と三冠の対戦だった。
また対戦成績も、藤井-渡辺戦がタイトル戦・藤井1-0渡辺、公式戦が同5-1。中原-大山戦もタイトル戦・中原3-1大山、同17-10と、タイトル保持者側のほうが具合がよいのだ。
50年前は大山名人が名人17期と押しも押されもせぬ巨人だったが、中原棋聖戦は勝手が違い、当時の将棋ファンも、大山名人容易ならじという雰囲気を感じ取っていたと思う。
そして今期棋聖戦も、下馬評では青年棋聖の防衛、という雰囲気が漂っているのが異質である。相手は現役名人なのに、である。
しかも渡辺名人は彼我の棋力や格を俯瞰的かつ冷徹に分析するところがある。藤井棋聖の実績を考えれば五番勝負で3勝2敗は相当にハードルが高く、となれば奪取の最低条件は、第1局の制勝にあると考えたに違いなかった。
そんな中名人戦が5局で終了し、渡辺名人が棋聖戦に専念できる状況になったのは、小さくない追い風だったといえよう。
注目の第1局は木更津市「龍宮城スパホテル三日月」。棋聖戦の第1局といえば淡路島の「ホテルニューアワジ」のイメージがあるが、今期は第2局で開催になっている。
渡辺棋聖の先手で、相掛かりになった。しかし渡辺棋聖が角頭に▲8七歩と受けないばかりか香を渡したため、△8三香と打たれて大変なことになった。ただ藤井棋聖も単に角を取らずさらに△8六歩と垂らし、ために渡辺名人が角を逃げるという、凡人には理解不能な戦いとなった。
そんな中盤、藤井棋聖が△3三桂と、▲4五桂にぶつけたのが好手だったようだ。
これに▲同桂成は注文通りなので、渡辺名人は▲5三桂成△同玉と露出させる。これが実戦的な手で、さすがに藤井棋聖も指しにくかろうと思いきや、実際は藤井棋聖がリードを拡げたようだ。
その後藤井棋聖は△4五桂と跳び、△6五桂の追撃。さらに△6四桂と据えた形が絶品で、ここで渡辺名人の投了となった。

投了以後、たとえば▲4六飛は△6六角▲同歩△5七桂左成▲7九玉△7七桂成。実戦でこんな手を喰らうくらいなら、その前に投了したほうがマシだ。
あらためて投了図を見てみると、後手陣は金銀4枚が低く構えてスキがない。結果的に左右の桂が天使の跳躍をした形になり、△6四桂が絶好手だ。まさに名人相手に完勝の図で、こんな将棋を見せられたら、もはや棋聖に死角なし、とすら思える。
第2局は18日(金)。渡辺名人の対策が注目されるが、18歳の怪物相手に、残り4局を3勝1敗はキツイ。現状では、名人が棋聖を奪取するイメージがまったく見えない。