一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

時空を越えて

2021-06-09 10:25:44 | 将棋雑記
今年の2月24日に元ヤクルトスワローズ・安田猛投手の記事を書いたときのこと。
私は安田投手が登板した1977年9月4日に後楽園球場へ観に行っていたので、私はそのときスコアブックをつけていなかったかと、自室(というか納戸)のあちこちを調べたのだった。
しかしどこを探しても目当てのスコアブックはなく、私は書棚をあたった。すると、本の奥にもう一列置いてある本の中に、大山康晴名人の池田書店本を見つけ、私は息を止めてしまった。これは夢なのかと思った。
当ブログに詳しくない方のために説明すると、2017年に自宅裏の会社を閉じた際、オヤジがあらゆるものを廃棄し、その対象は家の裏にある物置にも及んだ。ところがその中には、私が20年以上スクラップした十段戦と竜王戦の観戦記のほかに、大山名人や中原誠名人の池田書店本、その他ヴィンテージ棋書、さらに1970年代後半から1980年代前半までの将棋専門誌の数々があった。むろん私は残してほしかったが父に聞き入れられる雰囲気ではなく、それらはすべて棄てられた。
だが私の後悔はその直後から始まった。大山・中原両名人の池田書店本はいまとなっては稀少で、古書店によっては1冊数千円で販売される。まあカネの問題ではないがそれらのほとんどはいま読んでもためになり、というかそもそも資料的にも価値があるもので、それの廃棄を容認するとは将棋ファンとして言語道断、私は激しい自己嫌悪に陥ったのである。
ところが今回の探索で、一部が捨てられずに残っていたことが図らずも判明したのだ。発見時は午前4時ごろだったが、前述の通り、私は夢を見ているのかと思った。目の前の光景が信じられなかった。棄てられた本の一部が時空を越えて、甦ったのかと本気で思った。
以前は大山本のほとんどがこの本棚に収められていた。だがほかの本に押されて大山本の居場所がなくなり、私はその一部を物置に移したのだった。私はそのとき、「すべて」を移動させたと思っていたが、数冊は残していたというわけだ。2017年の廃棄時には、著書を見ないようにしていたので、こうした勘違いが起こったのだ。
では、残っていた本はどれか。それが以下の画像である。





書名と著者を記すと、
快勝シリーズ⑧将棋は“やぐら” 名人・大山康晴(池田書店)
快勝シリーズ⑨将棋・棋力テスト 名人・大山康晴(池田書店)
快勝シリーズ⑩将棋は歩で勝て 名人・大山康晴(池田書店)
快勝シリーズ⑫将棋の勝負手 名人・大山康晴(池田書店)
快勝シリーズ⑬大山名人の将棋金言集 名人・大山康晴(池田書店)
升田将棋⑪升田の中飛車 升田幸三(弘文社)
大五郎流四間飛車 八段・佐藤大五郎(永岡書店)
振り飛車戦法 八段・森安秀光(金園社)
大山康晴勝つ実戦集 十五世名人・大山康晴(永岡書店)
泥沼流人生相談 米長邦雄(ネスコの本)
定跡百科①四間飛車ガイド 五段・室岡克彦協力(毎コミ)

である。
この11冊中、書店で定価で購入したものは、「大山康晴勝つ実戦集」と「四間飛車ガイド」のみ。「泥沼流人生相談」は懸賞で当たった。ほかはすべて古書店からの入手で、100円での購入がほとんどである。いまは将棋本の価値もだいぶ上がったが、私の20代のころは、このくらいの値段で買えたのだ。
「大山名人の快勝シリーズ」は途中で装丁を変えているが、これらはもちろん、初期バージョン。しかし当然ながら、ほかの池田書店本の「大山十五世名人襲位記念シリーズ」や中原名人シリーズ、他社では「大山将棋・実年パワー若手棋士斬り」、さらに観戦記や将棋雑誌が廃棄された事実は変わらない。
いまは、この11冊と、あらかじめ残しておいたほかの棋書を大事にしていくしかない。

余談だが、探していたスコアブックは見つかったものの、試合当日はスコアを付けていなかった。またこの過程で、将棋マガジン読者欄の切り抜きも見つけたが、投稿者の中に「佐藤圭司 19歳」の名があった。これは朝日新聞記者の佐藤圭司氏かもしれない……。
コメント (2)
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