羽生善治九段と佐藤康光九段の対戦成績は、6月7日現在で羽生九段の109勝、佐藤九段の55勝である。タイトル戦は羽生九段の17勝、佐藤九段の4勝。意外な大差だ。
たとえば羽生九段VS森内俊之九段は、138局戦って羽生九段78勝、森内九段60勝。タイトル戦は8勝8敗のイーブンである。よって序列的には羽生>森内>佐藤の順に思えるが、森内九段VS佐藤九段は森内九段33勝、佐藤九段39勝。タイトル戦も佐藤九段の2勝0敗と、佐藤九段は互角以上の成績を残している。
ところが羽生九段にはダブルスコア。当然佐藤九段の逆転負けが多いはずで、そういうことでもないとここまで差が付かない。別の言葉でいえば、相性が悪いのだろう。
直近2局を見てみる。昨年3月6日の第33期竜王戦ランキング戦1組は、終盤、羽生九段の▲3一竜(図)に△4一金とハジけば佐藤九段の優勢だった。

ところが佐藤九段は△4一銀と節約したため、羽生九段に▲9一馬と香を外されて大逆転。先手勝勢となった。
続いて昨年11月23日に行われた、第79期A級順位戦5回戦。後手番佐藤九段が優勢に進めていたが、△7七銀▲同桂(図)に△同とが、タネ駒をなくす疑問手。△7七同とでは△6一金と銀を補充して、後手が勝勢だったようだ。

以下も佐藤九段に勝機があったが、最後は羽生九段が競り勝った。
このように、佐藤九段がボロ負けの将棋は少ないのだが、優勢になっても逆転負けを喫してしまう。このパターン、大山康晴十五世名人と中原誠十六世名人との将棋にも多い。ちなみに、大山VS中原の対戦成績は55勝-107勝。奇しくも羽生VS佐藤戦の162局終了時も、まったく同じスコアだった。
そして6月8日は、第80期A級順位戦1回戦・羽生九段VS佐藤九段の一戦が行われた。
将棋は相矢倉っぽくなったが、先手の佐藤九段が▲6八銀と上がらず▲7七角から▲5九角~▲3七角(▲2六角)の3手角を目指したので、△8五歩のときに▲7七金寄とせざるを得ず、力将棋になった。
この日はABEMAで中継があり、私も時間が許す限り拝見したが、つねに佐藤九段の分がやや悪かった。だが夜戦になり佐藤九段が抜け出し、下図は佐藤九段の勝勢。

▲4二角成に△同玉まで。ここでとりあえずは▲3三歩成と桂を取りながら王手したくなる。以下△3三同玉▲4五桂△同馬(△2四玉は▲3四金△同玉▲3二飛△2四玉▲3三飛成△1四玉▲1五歩まで)▲同金となる。以下△7九銀から▲4五金を抜く手はあるが、脅威の△3六馬を除去できたことが大きい。
ところが佐藤九段は▲8二飛。この王手桂取りもしてみたいところだが、羽生九段がそっと置いた△5二角が妙防で、ABEMAの評価値が逆転した。嗚呼、羽生VS佐藤戦で何度か見た光景である。
ここで▲3三歩成△同玉▲5二飛成は、先手玉が危ないことに加え、後手玉が上に抜ける手もあり、もう後手勝ちなのだろう。
よって佐藤九段は▲8六銀と逃げたが、△7七歩の追撃が厳しい。以下見る間もなく銀矢倉が崩れていき、私は勝負の儚さ、厳しさを思った。
結局130手まで、羽生九段の勝ち。順位8位の羽生九段にとって、この白星スタートはとてつもなく大きかった。
そしてこれで、羽生VS佐藤戦は、110勝-55勝のダブルスコアとなった。ここまで来たら、この2勝-1勝ペースが崩れることはないだろう。まったく、このスコアは棋界七不思議というほかない。
たとえば羽生九段VS森内俊之九段は、138局戦って羽生九段78勝、森内九段60勝。タイトル戦は8勝8敗のイーブンである。よって序列的には羽生>森内>佐藤の順に思えるが、森内九段VS佐藤九段は森内九段33勝、佐藤九段39勝。タイトル戦も佐藤九段の2勝0敗と、佐藤九段は互角以上の成績を残している。
ところが羽生九段にはダブルスコア。当然佐藤九段の逆転負けが多いはずで、そういうことでもないとここまで差が付かない。別の言葉でいえば、相性が悪いのだろう。
直近2局を見てみる。昨年3月6日の第33期竜王戦ランキング戦1組は、終盤、羽生九段の▲3一竜(図)に△4一金とハジけば佐藤九段の優勢だった。

ところが佐藤九段は△4一銀と節約したため、羽生九段に▲9一馬と香を外されて大逆転。先手勝勢となった。
続いて昨年11月23日に行われた、第79期A級順位戦5回戦。後手番佐藤九段が優勢に進めていたが、△7七銀▲同桂(図)に△同とが、タネ駒をなくす疑問手。△7七同とでは△6一金と銀を補充して、後手が勝勢だったようだ。

以下も佐藤九段に勝機があったが、最後は羽生九段が競り勝った。
このように、佐藤九段がボロ負けの将棋は少ないのだが、優勢になっても逆転負けを喫してしまう。このパターン、大山康晴十五世名人と中原誠十六世名人との将棋にも多い。ちなみに、大山VS中原の対戦成績は55勝-107勝。奇しくも羽生VS佐藤戦の162局終了時も、まったく同じスコアだった。
そして6月8日は、第80期A級順位戦1回戦・羽生九段VS佐藤九段の一戦が行われた。
将棋は相矢倉っぽくなったが、先手の佐藤九段が▲6八銀と上がらず▲7七角から▲5九角~▲3七角(▲2六角)の3手角を目指したので、△8五歩のときに▲7七金寄とせざるを得ず、力将棋になった。
この日はABEMAで中継があり、私も時間が許す限り拝見したが、つねに佐藤九段の分がやや悪かった。だが夜戦になり佐藤九段が抜け出し、下図は佐藤九段の勝勢。

▲4二角成に△同玉まで。ここでとりあえずは▲3三歩成と桂を取りながら王手したくなる。以下△3三同玉▲4五桂△同馬(△2四玉は▲3四金△同玉▲3二飛△2四玉▲3三飛成△1四玉▲1五歩まで)▲同金となる。以下△7九銀から▲4五金を抜く手はあるが、脅威の△3六馬を除去できたことが大きい。
ところが佐藤九段は▲8二飛。この王手桂取りもしてみたいところだが、羽生九段がそっと置いた△5二角が妙防で、ABEMAの評価値が逆転した。嗚呼、羽生VS佐藤戦で何度か見た光景である。
ここで▲3三歩成△同玉▲5二飛成は、先手玉が危ないことに加え、後手玉が上に抜ける手もあり、もう後手勝ちなのだろう。
よって佐藤九段は▲8六銀と逃げたが、△7七歩の追撃が厳しい。以下見る間もなく銀矢倉が崩れていき、私は勝負の儚さ、厳しさを思った。
結局130手まで、羽生九段の勝ち。順位8位の羽生九段にとって、この白星スタートはとてつもなく大きかった。
そしてこれで、羽生VS佐藤戦は、110勝-55勝のダブルスコアとなった。ここまで来たら、この2勝-1勝ペースが崩れることはないだろう。まったく、このスコアは棋界七不思議というほかない。