一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

本来の姿

2021-06-01 10:48:20 | 将棋雑記
きょうは第14期マイナビ女子オープン・西山朋佳女王対伊藤沙恵女流三段の五番勝負第5局が行われている。どちらが勝ってもいいが、全力を尽くして頑張ってください。
さてマイナビ女子オープンといえば、きのう、画期的な対局があった。第15期の予選である。

その前にマイナビ女子オープンといえば、「一斉公開対局」と「チャレンジマッチ」が名物だ。
一斉公開対局は例年7月、マイナビ本社で行われるもので、ファンが女流棋士の対局を間近で鑑賞できる、いわば将棋ファンへのお祭り企画だ。
チャレンジマッチは第4期から導入されたもので、一斉公開対局の1回戦で3年間負け続けた女流棋士をチャレンジマッチ送りとし、アマチュアを交えて上記の出場権を争わせるというものだ。
いわゆるアマプロ戦も兼ねているが、近年は女性の棋力も目覚ましく向上しているから、プロがアマにスンナリと勝てるとは限らない。事実第4期は、8つのトーナメント戦で、優勝女流棋士が皆無という異常事態になった。
しかもこれは非公式戦である。ということは、参加女流棋士の対局料も、激安の可能性があった。プロとして、これは屈辱の扱いであろう。
第4期は敗者復活戦で何名か女流棋士が抜けたが、これで一安心、とはならない。すなわち一斉公開対局1回戦で負ければ再びチャレンジマッチ送りになるのだ。よって将棋ファンの間では、この制度を「アリ地獄」と呼んだ(さすがにこれは厳しいというわけで、その後は、チャレンジマッチを抜けた時点で、2年間は一斉公開対局に出場できるルールに改定された)。
しかし3年連続1回戦負けは、まま強い女流棋士でも喫する。近年タイトル戦に出場した女流棋士もチャレンジマッチ送りになったりして、若干おかしな様相を呈した。
その後も女流棋士が増えるのと並行してチャレンジマッチ行きも増え、枠抜けの最大人数と女流棋士の頭数が合わなくなってきた。さすがに私も、「ちょっと違うんじゃないか」と思うようになった。
そして女流棋界はこの間、優勝賞金500万円の女流王座戦、700万円の清麗戦が創設された。そして昨年の、優勝賞金1500万円・白玲戦・女流順位戦の創設である。
こうなると、チャレンジマッチにいる女流棋士の気持ちはどうなのだろう。非公式戦のチャレンジマッチで蜘蛛の糸のような出場権を目指すより、女流順位戦や清麗戦、女流王座戦で頑張ろうという気にはならないだろうか。
そこをマイナビも汲んでか、第15期は対局規定を改定した。すなわちチャレンジマッチは純粋なアマチュア予選とし、従来参加していた女流棋士は「予備予選」として分離、公式戦として戦わせたのである。その記念すべき日がきのう5月31日だったというわけだ。
当日は15局行われ、山田久美女流五段VS高浜愛子女流2級戦、本田小百合女流三段VS内山あや女流2級戦は後者が勝つという波乱があった。だがプロ同士なので、何のわだかまりもない。
ようやくマイナビ女子オープンが、本来あるべき姿になった、と考えるのは私だけだろうか。
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