4月28日は第7期叡王戦第1局が行われた。藤井聡太叡王に挑戦するは若武者・出口若武六段。ちょっと異色の挑戦者だが、それは予選システムと無関係ではない。
予選はかつての天王戦方式で、段位別に分かれている。通常、予選は順位戦のクラスにならい、下位クラスがまとめて行われる。しかし段位別だと、A級九段とC級2組九段が1回戦で行われたりする一方、A級とB級1組の戦いもあったりして、強豪がかなり淘汰されてしまうのだ。
高段者同士で星のつぶしあいがあり、本戦で若手の四、五段が勝ち抜くと、低段位の挑戦者が実現する。
果たして今期は出口五段(当時)が名乗りを上げたわけだが、本戦で斎藤慎太郎八段、佐藤天彦九段を破っているから、挑戦の名に恥じない。また挑戦者決定戦の相手、服部慎一郎四段も、豊島将之九段(前叡王)を破っていた。
さて、叡王戦五番勝負である。言うまでもないが藤井叡王は竜王、王位、王将、棋聖の五冠王であり、予選は指さないから、本局が本年度の初対局になった。かつての羽生善治七冠が旅館での対局ばかりになり、将棋会館で指すのが数ヶ月ぶり、という笑い話があったが、これからは藤井叡王もそれに近い生活を送ることになる。
将棋は藤井叡王の先手で、相掛かりになった。私はABEMAをチラチラ見たが、序盤で藤井叡王が数%リードしていた。これがいつも不思議なのだが、藤井叡王が先手でも後手でも、いつも作戦勝ちして数%のリードを得る。そしてその差が縮むことはなく開くのみで、藤井叡王の快勝になるのだ。
本局も果たして、藤井叡王がじりじりと差を広げていく。「61:39」とかになって、こうなったらもうダメである。藤井叡王のものだ。

第1図は△6三馬まで。ここで私なら▲7四桂△7三銀▲6二歩を考えるが、それは勝手読みなのだろう。本譜は▲7七香で、これが馬の利きを止めつつ敵陣を睨んだ一石二鳥の手。
私は、昨年10月8日・9日に行われた第34期竜王戦第1局・豊島将之竜王戦での▲7九香(参考図)を思い出した。
香という一本槍の駒にも2つの意味を持たせる。これぞ一流棋士の技であろう。

第1図から進んで、第2図は△7一金の竜取りに、▲6三歩(第2図)。竜を取られても銀を取りと金を作って十分という読みだ。しかし私ならビビッて▲9一竜と逃げている。だが▲8一竜は▲8三竜が突っ込んだものだから、▲6三歩が予定だったことが分かる。

後手は3手前の△8八歩が哀しい手で、こんな二階から目薬の手しかないようでは、もう出口六段に勝ちはなかった。
▲6三歩以下は△8一金▲6二歩成と進み、藤井叡王が的確に寄せて制勝した。
まずは藤井叡王の1勝だが、挑戦者が先勝してギリギリ五分かというところで、この星は大きい。もう、藤井叡王の防衛でキマリだろう。
これから藤井叡王絡みのタイトル戦は、毎度こんな雰囲気になるのだろうか。
予選はかつての天王戦方式で、段位別に分かれている。通常、予選は順位戦のクラスにならい、下位クラスがまとめて行われる。しかし段位別だと、A級九段とC級2組九段が1回戦で行われたりする一方、A級とB級1組の戦いもあったりして、強豪がかなり淘汰されてしまうのだ。
高段者同士で星のつぶしあいがあり、本戦で若手の四、五段が勝ち抜くと、低段位の挑戦者が実現する。
果たして今期は出口五段(当時)が名乗りを上げたわけだが、本戦で斎藤慎太郎八段、佐藤天彦九段を破っているから、挑戦の名に恥じない。また挑戦者決定戦の相手、服部慎一郎四段も、豊島将之九段(前叡王)を破っていた。
さて、叡王戦五番勝負である。言うまでもないが藤井叡王は竜王、王位、王将、棋聖の五冠王であり、予選は指さないから、本局が本年度の初対局になった。かつての羽生善治七冠が旅館での対局ばかりになり、将棋会館で指すのが数ヶ月ぶり、という笑い話があったが、これからは藤井叡王もそれに近い生活を送ることになる。
将棋は藤井叡王の先手で、相掛かりになった。私はABEMAをチラチラ見たが、序盤で藤井叡王が数%リードしていた。これがいつも不思議なのだが、藤井叡王が先手でも後手でも、いつも作戦勝ちして数%のリードを得る。そしてその差が縮むことはなく開くのみで、藤井叡王の快勝になるのだ。
本局も果たして、藤井叡王がじりじりと差を広げていく。「61:39」とかになって、こうなったらもうダメである。藤井叡王のものだ。

第1図は△6三馬まで。ここで私なら▲7四桂△7三銀▲6二歩を考えるが、それは勝手読みなのだろう。本譜は▲7七香で、これが馬の利きを止めつつ敵陣を睨んだ一石二鳥の手。
私は、昨年10月8日・9日に行われた第34期竜王戦第1局・豊島将之竜王戦での▲7九香(参考図)を思い出した。
香という一本槍の駒にも2つの意味を持たせる。これぞ一流棋士の技であろう。

第1図から進んで、第2図は△7一金の竜取りに、▲6三歩(第2図)。竜を取られても銀を取りと金を作って十分という読みだ。しかし私ならビビッて▲9一竜と逃げている。だが▲8一竜は▲8三竜が突っ込んだものだから、▲6三歩が予定だったことが分かる。

後手は3手前の△8八歩が哀しい手で、こんな二階から目薬の手しかないようでは、もう出口六段に勝ちはなかった。
▲6三歩以下は△8一金▲6二歩成と進み、藤井叡王が的確に寄せて制勝した。
まずは藤井叡王の1勝だが、挑戦者が先勝してギリギリ五分かというところで、この星は大きい。もう、藤井叡王の防衛でキマリだろう。
これから藤井叡王絡みのタイトル戦は、毎度こんな雰囲気になるのだろうか。