きのうの記事では触れなかったが、「将棋世界」の連載では、田丸昇九段「昭和名棋士次の一手」も面白い。文字通り、昭和という時代に活躍した棋士の、代表的次の一手を紹介するものだ。以前は歴代永世名人のそれを紹介していたが、当然ネタは尽きるわけで、昭和の棋士にシフトした。
では、「私が勝手に選ぶ、昭和の名棋士次の一手」を書いてみよう。なお、ブログの構成上、問題図のすぐ下に「次の一手」を書いてしまうので、ご注意ください。
さて、第1回???は、大山康晴十五世名人である。
紹介するのは、1982年7月23日に指された、第21期十段戦挑戦者決定リーグ・▲米長邦雄棋王VS△大山王将戦である。なお十段戦は、日本将棋連盟と読売新聞社の主催で、竜王戦の前身である。
問題図は▲5三香で、飛角の田楽刺しが掛かっている。大山王将は△5八と(金を取る)▲同金△5七歩▲5九金を利かし、図の局面になった。
しかし田楽刺しは解消されておらず、さあどうする? というところで、驚愕の一手が指された。
大山王将は△1二飛!と馬にぶつけた。これが意表の強手(解答図)。
俗に「両取り逃げるべからず」というが、今回は当たりになっている飛車を別の筋に振り、「こっちのマスで飛車を取れ!」と、さらに押し売りしたのだ。いま見ても斬新な手筋である。
△1二飛を▲同馬では馬が一瞬遊び駒になり、△3三角くらいで後手優勢。何より、これでは▲5三香がスカタンになってしまう。
よって米長棋王は▲5一香成△1一飛▲6一成香としたが、△同飛で、後手も十分捌けている。
△6一同飛に米長棋王は、△6五銀を除去するべく▲5五金としたが、ここからの大山王将の寄せも絶品だった。以下△6六桂▲同歩△7六銀▲7九桂△7七香▲同桂△8九角▲同玉△7七銀成▲7八金△8八銀(投了図)まで、大山王将の勝ち。
投了図以下は、▲8八同金△7六桂まで、先手玉は必至。△6六桂捨てから、終盤の講座に出そうな手筋の連発で、大山王将の快勝となった。
いかがであろう。当時大山王将はタイトルホルダーの59歳。還暦間近の棋士のとは思えぬ若々しい指し手である。羽生善治九段が59歳になったとき、こんな舞うような将棋が指せるだろうか。
実は今回の将棋、2013年7月26日にアップした「大山の名局」の、記念すべき1回目だった。そのくらい、この将棋は私に鮮烈だった。
では、「私が勝手に選ぶ、昭和の名棋士次の一手」を書いてみよう。なお、ブログの構成上、問題図のすぐ下に「次の一手」を書いてしまうので、ご注意ください。
さて、第1回???は、大山康晴十五世名人である。
紹介するのは、1982年7月23日に指された、第21期十段戦挑戦者決定リーグ・▲米長邦雄棋王VS△大山王将戦である。なお十段戦は、日本将棋連盟と読売新聞社の主催で、竜王戦の前身である。
問題図は▲5三香で、飛角の田楽刺しが掛かっている。大山王将は△5八と(金を取る)▲同金△5七歩▲5九金を利かし、図の局面になった。
しかし田楽刺しは解消されておらず、さあどうする? というところで、驚愕の一手が指された。
大山王将は△1二飛!と馬にぶつけた。これが意表の強手(解答図)。
俗に「両取り逃げるべからず」というが、今回は当たりになっている飛車を別の筋に振り、「こっちのマスで飛車を取れ!」と、さらに押し売りしたのだ。いま見ても斬新な手筋である。
△1二飛を▲同馬では馬が一瞬遊び駒になり、△3三角くらいで後手優勢。何より、これでは▲5三香がスカタンになってしまう。
よって米長棋王は▲5一香成△1一飛▲6一成香としたが、△同飛で、後手も十分捌けている。
△6一同飛に米長棋王は、△6五銀を除去するべく▲5五金としたが、ここからの大山王将の寄せも絶品だった。以下△6六桂▲同歩△7六銀▲7九桂△7七香▲同桂△8九角▲同玉△7七銀成▲7八金△8八銀(投了図)まで、大山王将の勝ち。
投了図以下は、▲8八同金△7六桂まで、先手玉は必至。△6六桂捨てから、終盤の講座に出そうな手筋の連発で、大山王将の快勝となった。
いかがであろう。当時大山王将はタイトルホルダーの59歳。還暦間近の棋士のとは思えぬ若々しい指し手である。羽生善治九段が59歳になったとき、こんな舞うような将棋が指せるだろうか。
実は今回の将棋、2013年7月26日にアップした「大山の名局」の、記念すべき1回目だった。そのくらい、この将棋は私に鮮烈だった。