24日、25日は、お~いお茶杯第63期王位戦第4局(新聞三社連合、日本将棋連盟主催)が行われた。本当はこれが第5局だったのだが、挑戦者の豊島将之九段がコロナに罹患したため、順延されたのだ。
これ、藤井聡太王位は意に介していないが、豊島九段は若干の負い目があったと思う。このレヴェルだとそれが勝敗に直結するやもしれず、豊島九段にとって、非常に厳しい戦いが予想された。
将棋は藤井王位の先手で、またも角換わりとなった。相腰掛け銀になり、お互い飛車を引いた。もうお馴染みの形だが、玉形が違う。
そして銀交換のあと、藤井王位が▲4七玉と三段玉にしたのにビックリした。この手は展開次第である手だが、いつ流れ弾が飛んでくるやもしれず、素人にはとても指せない手だ。
その数手後、豊島九段の封じ手になったが、注目のその手は、歩頭に打つ△8六銀だった。
この手筋、私も女流棋士との指導対局で何度か指したことがあるが、先に銀損するだけに、後で相当な回収をしないと、指しすぎになってしまう。もっとも豊島九段のこと、その辺りは織り込み済みであっただろう。
が、数手後に藤井王位が指した▲5六角が、八方睨みの名角だった。相手のと金攻めを受けつつ、7筋からの反撃を見、後手の3筋からの攻めを牽制している。
ここから攻め合いになったが、私が感心したのは79手目の▲2二銀(第1図)だ。一見イモっぽい金取りだが、これがなかなかの曲者で、後手はどう応じても味が悪い。豊島九段も攻めを継続するしかなかった。
そして第2図は△3三同桂と、例の銀を取った局面。ここ、後手の狙いは△3八歩成▲同玉△5八角成だ。だから何はともあれ▲3九歩と受けたい。
ところが藤井王位は▲4一銀△同玉▲4三銀と、詰めろを掛けた。ただでさえ危ない先手玉に、さらに銀をくれてやったのだ。だが、まず後手玉を見てみると「金なし将棋に受け手なし」で、これがなかなか受けにくい。
そして先手玉が詰まなければ先手の勝ち、という理屈だが、はたして豊島九段は△3八歩成▲5九玉を経た後、潔く投了してしまった。
たしかに投了の局面で、先手玉に詰みはない。以下△5八角成▲同金△4二金には▲6一角だ。
あらためて投了の局面を見ると、▲5六角が光り輝いている。藤井王位の駒は、すべてが目一杯働いている。通常は100%の働きだが、藤井王位は各駒に120%の働きを課しているのだ。だからその分、勝率がよい。▲5六角は、その典型的な例といえる。
そして藤井王位の将棋には、相手玉を受けなしに追いこんだあと、自玉がギリギリ詰まない、という展開が実に多い。それだけ、終盤の読みが緻密なのだ。自玉が危険でも、不詰みを読み切ればコワくない、は昔から云われていることである。
それにしても第2図である。ここ、▲3九歩と受けないで▲4一銀と指せる棋士がどれほどいるだろう。
もう、ほかの棋士とはレヴェルが違い、もはや違う競技を見ている感さえする。
これで藤井王位の3勝1敗。残り3局を藤井王位が全敗するとは思えず、またも防衛濃厚である。
もうどうしようもない。
これ、藤井聡太王位は意に介していないが、豊島九段は若干の負い目があったと思う。このレヴェルだとそれが勝敗に直結するやもしれず、豊島九段にとって、非常に厳しい戦いが予想された。
将棋は藤井王位の先手で、またも角換わりとなった。相腰掛け銀になり、お互い飛車を引いた。もうお馴染みの形だが、玉形が違う。
そして銀交換のあと、藤井王位が▲4七玉と三段玉にしたのにビックリした。この手は展開次第である手だが、いつ流れ弾が飛んでくるやもしれず、素人にはとても指せない手だ。
その数手後、豊島九段の封じ手になったが、注目のその手は、歩頭に打つ△8六銀だった。
この手筋、私も女流棋士との指導対局で何度か指したことがあるが、先に銀損するだけに、後で相当な回収をしないと、指しすぎになってしまう。もっとも豊島九段のこと、その辺りは織り込み済みであっただろう。
が、数手後に藤井王位が指した▲5六角が、八方睨みの名角だった。相手のと金攻めを受けつつ、7筋からの反撃を見、後手の3筋からの攻めを牽制している。
ここから攻め合いになったが、私が感心したのは79手目の▲2二銀(第1図)だ。一見イモっぽい金取りだが、これがなかなかの曲者で、後手はどう応じても味が悪い。豊島九段も攻めを継続するしかなかった。
そして第2図は△3三同桂と、例の銀を取った局面。ここ、後手の狙いは△3八歩成▲同玉△5八角成だ。だから何はともあれ▲3九歩と受けたい。
ところが藤井王位は▲4一銀△同玉▲4三銀と、詰めろを掛けた。ただでさえ危ない先手玉に、さらに銀をくれてやったのだ。だが、まず後手玉を見てみると「金なし将棋に受け手なし」で、これがなかなか受けにくい。
そして先手玉が詰まなければ先手の勝ち、という理屈だが、はたして豊島九段は△3八歩成▲5九玉を経た後、潔く投了してしまった。
たしかに投了の局面で、先手玉に詰みはない。以下△5八角成▲同金△4二金には▲6一角だ。
あらためて投了の局面を見ると、▲5六角が光り輝いている。藤井王位の駒は、すべてが目一杯働いている。通常は100%の働きだが、藤井王位は各駒に120%の働きを課しているのだ。だからその分、勝率がよい。▲5六角は、その典型的な例といえる。
そして藤井王位の将棋には、相手玉を受けなしに追いこんだあと、自玉がギリギリ詰まない、という展開が実に多い。それだけ、終盤の読みが緻密なのだ。自玉が危険でも、不詰みを読み切ればコワくない、は昔から云われていることである。
それにしても第2図である。ここ、▲3九歩と受けないで▲4一銀と指せる棋士がどれほどいるだろう。
もう、ほかの棋士とはレヴェルが違い、もはや違う競技を見ている感さえする。
これで藤井王位の3勝1敗。残り3局を藤井王位が全敗するとは思えず、またも防衛濃厚である。
もうどうしようもない。