一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流初段の強さⅡ(脇田女流初段の巻)

2022-08-25 22:50:19 | 女流棋士
24日に日本将棋連盟HPの対局結果を見たところ、第16期マイナビ女子オープン本戦1回戦で、脇田菜々子女流初段が里見香奈女流五冠に勝っていたのでビックリした。たぶん、10人中20人がビックリしたと思うし、10人中5人は、将棋連盟が勝敗を間違えてUPしたと思っただろう。平幕が横綱に勝ったようなもので、そのくらい、脇田女流初段の大金星だった。
そこで実戦を確認してみた。
里見女流五段の先手で、初手▲5六歩から始まった。△8四歩▲7六歩に、脇田女流初段は△8五歩。この早い歩突きが、いま思えば深謀遠慮の一手だった。
この歩を目標に里見女流五冠は向かい飛車に振ったのだが、これこそが脇田女流初段の研究だったのではなかろうか。すなわち里見女流五冠得意の中飛車を回避し、向かい飛車に秘策をぶつけるハラである。
▲6六銀、△6四銀の形で、脇田女流初段は△6五桂。この角取りが素朴な好手に見えて、結果を知っているから書くわけではないが、脇田女流初段が面白くなったと思った。
里見女流五冠も高美濃に組み、左桂を交換して、悪くはなく思える。
しかし脇田女流初段の△9五桂がなかなかの手で、里見女流五冠は▲8八飛と受けたが、それで7筋が薄くなってしまった。
そこから銀交換になり、里見女流五冠は▲7八飛と寄る。
ここで脇田女流初段に鬼手が出た。
△6六銀!

一般的に飛車が向かいあった形は、その間に駒が挟まっている側が指しにくいという。△6六銀はその角に働きかける手で、本局はその弱点がモロに出てしまった。ただ本局は、△6六銀を発見した脇田女流初段が強かった。
私は、第29期女流王位戦第3局で、渡部愛女流二段が指した△6六金(参考図)を思い出したのである。

本譜は以下、▲6六同歩△8七桂成▲7九飛△7七成桂まで、後手優勢。
とはいうものの、相手は女流五冠の里見香奈である。脇田女流初段にだって「ふるえ」はくるだろう。結果を知らなければ、この先まだ一山も二山もあると思うのが人情である。
しかしこの日の脇田女流初段は、何かが乗り移っていた。まったく臆することなく強気、強気の好手を連発し、ついに里見女流五冠に勝ったのだった。
投了図は、脇田女流初段の完勝図になっていた。まさに鬼のような強さで、私は感動した。
それにしても女流初段の強さよ。私が女流初段の女流棋士と100番指せば、何番かは勝てるだろう。だけど、里見女流五冠と戦ったら、100番指しても一番も勝てない。
しかし脇田女流初段は里見女流五冠に勝った。つまり脇田女流初段は、押しも押されもせぬプロ、女流棋士だということである。
脇田女流初段は挑戦まであと3番。ここまで来たら、挑戦権を獲っちゃえ!
コメント (4)
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