2回戦は大きな変化があった。私が大将で芳しい結果を残せないため、Kod監督が私を四将に降格したのだ。「まあ、気楽に指してください」ということだ。情けない話だが、仕方がない。
大将は山本氏、以下Fuji息子、山野、私、Abe、Kan、Kodの布陣である。Kan氏は業務で忙しいが、寸暇を割いての参戦だ。
相手は横浜宇宙棋院で、第1日は4戦全勝、1位だった。ふつうに組んでいては勝てないと、Kod氏も一計を案じたのだろう。
私の先手で、横浜宇宙棋院氏のゴキゲン中飛車になった。△5六歩には▲6六歩とし、後手の捌きを抑えた。横浜氏は△5七歩成~△5五歩としたが、私は▲6五歩とし、△6四歩からの発展を抑える。対振り飛車には、この筋の位が急所だと私は考えている。
その後▲4六銀~▲5五銀右とし、1歩得に成功した。
ただこのあと、私が▲4六銀~▲5七銀右~▲5六銀と繰り替えたのがかなり悠長で、横浜氏に△3五歩から盛り上がられ、形勢が戻ってしまった。
私は1筋から反撃するが、そんなに厳しくは見えない。四将に落ちてもこの将棋かと、このあたりは自己嫌悪に陥っていた。

第1図以下の指し手。△2五桂▲2七飛△1七歩▲2六飛△1四香▲1五歩△同香▲1六歩△1八歩成▲同香△1七歩▲同桂△3七桂成▲1五歩△3六成桂▲2九飛(第2図)
△2五桂は次に△3七桂成▲同桂△3六歩の狙い。私の▲2七飛はそれを防いだものだが、△1七歩に▲2六飛と浮くのは変調だ。
後手は△1四香と走ったが、ここはヘンな手だが△1二香とし、次に△1一飛と回る手もあった。
本譜は私の香得になったが、歩切れ。しかも成桂を作られ、形勢は容易ならじ、と見ていた。

第2図以下の指し手。△1六歩▲2五桂△同銀▲同飛△4二金▲1六香△2四歩▲2九飛△2五歩▲3四香△2六歩▲3一香成△同飛▲2二角△2一飛▲4四角成△2七歩成(第3図)
△1六歩はこう指したくなるところ。私は幸便に▲2五桂と跳ね、これが▲3三香の先手。後手氏はしょうがない、という感じで△2五同銀と取ったが、これは▲同飛で先手がラクになった。
とはいえ先手の飛車も窮屈で、まだ安心はできない。▲3四香には△3三桂と辛抱されて難しかったが、横浜氏は△2六歩。
私は角を取って▲2二角だが、あまり有効ではなかった。△2七歩成とされ、いよいよ飛車が危うい。

第3図以下の指し手。▲1四歩△2八と▲2二歩△2九と▲2一歩成△1八飛▲6八角△1六飛成▲3一飛△4一歩▲2二と△1四竜▲3四歩△4三香(第4図)
私は指す手に窮し、▲1四歩。ここはほかに最善手があったはずだが、横浜氏の次の一手を△2八とと読み、あえて一手待ったのだ。
果たして横浜氏は△2八と。しかしこれには▲2二歩があり、飛車の取り合いになった。
私としては、お荷物の飛車が駒台に載り、大儲けである。ただ、相手の疑問手をアテにして読みに手抜きをしており、こんな将棋を指しているようではダメだと思った。
戻って横浜氏の△2八とでは△2四飛と浮き、そのあと△2八とを狙えばよかった。
さて△4三香にはどう指すか。

第4図以下の指し手。▲6二馬△同金▲3三歩成△同金▲同飛成△4七香成▲3二竜△1八竜▲6二竜△7二香▲7一銀△9三玉▲8二銀打△9二玉▲9一銀成△9三玉▲8二銀不成(投了図)
まで、一公の勝ち。
第4図で▲5四馬は△5三歩で馬が死んでいる。よってここは▲6二馬が切り時である。△同金に▲3三歩成で、この将棋は勝ったと思った。
▲3二竜の金取りに△1八竜は錯覚だが、ほかの手を指しても私の勝ちは動かない。
▲8二銀不成まで私の勝ち。どの位置でも、勝ちはうれしいものだ。

ほかを当たってみると、上位陣が厳しいようだ。全員の対局が終わり、また3勝4敗で負けか……と残念がっていると、誰かが「4勝3敗ですよ」と言った。
調べてみると、大将以下●●●○○○○で、勝っていたのだ。前回1位のチームに勝つとは思わなかったから、私は却って放心してしまった。
「強かったですよ」
相手チームが、こちらを労う口調で言った。いや確かに、下位打線がよく頑張った。私は今年初めて、チームに貢献したのだった。
今年の社団戦も休む間はない。すぐに3回戦で、翔風館SSTとである。
「さっきは四将でいい感じだったので、次もそれで行きましょう」とKod氏が言い、私は引き続き四将となった。大将から順に、山野、Abe、山本、私、A、木村、Akuの各氏である。
私は先手で、居飛車VS四間飛車となった。作戦はちょっと迷ったが、舟囲いからの急戦とした。

第1図以下の指し手。▲3五歩△4二角▲3四歩△同飛▲3五銀△3二飛▲3四歩△6四角▲4六歩(第2図)
私は▲3五歩。これには△4五歩の反撃を考えていたが、翔風館氏は△4二角。これは弱気の手で、▲3四歩から▲3五銀、そして▲3四歩と抑えて指し易くなった。翔風館氏期待の△6四角には▲4六歩がピッタリである。早くも、これは負けられないと思った。

第2図以下の指し手。△5五歩▲同歩△5四歩▲2四歩△同歩▲5四歩△同銀▲2二歩△同飛▲4四銀△4二飛▲3三歩成△4四飛▲同角△4九銀▲3六飛△5八銀成▲同金△3五歩▲2六飛(第3図)
翔風館氏は△5五歩から△5四歩と合わせてきた。見たことがない筋だが、ということは最善手でない可能性が高い。よって私が最善を尽くせば勝てると思った。
▲2四歩から▲2二歩と味をつけ、じっと▲4四銀と出る。これに△3二歩なら▲5三銀成で先手勝ち。
翔風館氏は△4二飛から暴れてきたが、私は自然に指して手駒を増やす。
しかし△3五歩に▲2六飛と寄った手がやや軽率で、翔風館氏にチャンスが訪れていた。

(つづく)
大将は山本氏、以下Fuji息子、山野、私、Abe、Kan、Kodの布陣である。Kan氏は業務で忙しいが、寸暇を割いての参戦だ。
相手は横浜宇宙棋院で、第1日は4戦全勝、1位だった。ふつうに組んでいては勝てないと、Kod氏も一計を案じたのだろう。
私の先手で、横浜宇宙棋院氏のゴキゲン中飛車になった。△5六歩には▲6六歩とし、後手の捌きを抑えた。横浜氏は△5七歩成~△5五歩としたが、私は▲6五歩とし、△6四歩からの発展を抑える。対振り飛車には、この筋の位が急所だと私は考えている。
その後▲4六銀~▲5五銀右とし、1歩得に成功した。
ただこのあと、私が▲4六銀~▲5七銀右~▲5六銀と繰り替えたのがかなり悠長で、横浜氏に△3五歩から盛り上がられ、形勢が戻ってしまった。
私は1筋から反撃するが、そんなに厳しくは見えない。四将に落ちてもこの将棋かと、このあたりは自己嫌悪に陥っていた。

第1図以下の指し手。△2五桂▲2七飛△1七歩▲2六飛△1四香▲1五歩△同香▲1六歩△1八歩成▲同香△1七歩▲同桂△3七桂成▲1五歩△3六成桂▲2九飛(第2図)
△2五桂は次に△3七桂成▲同桂△3六歩の狙い。私の▲2七飛はそれを防いだものだが、△1七歩に▲2六飛と浮くのは変調だ。
後手は△1四香と走ったが、ここはヘンな手だが△1二香とし、次に△1一飛と回る手もあった。
本譜は私の香得になったが、歩切れ。しかも成桂を作られ、形勢は容易ならじ、と見ていた。

第2図以下の指し手。△1六歩▲2五桂△同銀▲同飛△4二金▲1六香△2四歩▲2九飛△2五歩▲3四香△2六歩▲3一香成△同飛▲2二角△2一飛▲4四角成△2七歩成(第3図)
△1六歩はこう指したくなるところ。私は幸便に▲2五桂と跳ね、これが▲3三香の先手。後手氏はしょうがない、という感じで△2五同銀と取ったが、これは▲同飛で先手がラクになった。
とはいえ先手の飛車も窮屈で、まだ安心はできない。▲3四香には△3三桂と辛抱されて難しかったが、横浜氏は△2六歩。
私は角を取って▲2二角だが、あまり有効ではなかった。△2七歩成とされ、いよいよ飛車が危うい。

第3図以下の指し手。▲1四歩△2八と▲2二歩△2九と▲2一歩成△1八飛▲6八角△1六飛成▲3一飛△4一歩▲2二と△1四竜▲3四歩△4三香(第4図)
私は指す手に窮し、▲1四歩。ここはほかに最善手があったはずだが、横浜氏の次の一手を△2八とと読み、あえて一手待ったのだ。
果たして横浜氏は△2八と。しかしこれには▲2二歩があり、飛車の取り合いになった。
私としては、お荷物の飛車が駒台に載り、大儲けである。ただ、相手の疑問手をアテにして読みに手抜きをしており、こんな将棋を指しているようではダメだと思った。
戻って横浜氏の△2八とでは△2四飛と浮き、そのあと△2八とを狙えばよかった。
さて△4三香にはどう指すか。

第4図以下の指し手。▲6二馬△同金▲3三歩成△同金▲同飛成△4七香成▲3二竜△1八竜▲6二竜△7二香▲7一銀△9三玉▲8二銀打△9二玉▲9一銀成△9三玉▲8二銀不成(投了図)
まで、一公の勝ち。
第4図で▲5四馬は△5三歩で馬が死んでいる。よってここは▲6二馬が切り時である。△同金に▲3三歩成で、この将棋は勝ったと思った。
▲3二竜の金取りに△1八竜は錯覚だが、ほかの手を指しても私の勝ちは動かない。
▲8二銀不成まで私の勝ち。どの位置でも、勝ちはうれしいものだ。

ほかを当たってみると、上位陣が厳しいようだ。全員の対局が終わり、また3勝4敗で負けか……と残念がっていると、誰かが「4勝3敗ですよ」と言った。
調べてみると、大将以下●●●○○○○で、勝っていたのだ。前回1位のチームに勝つとは思わなかったから、私は却って放心してしまった。
「強かったですよ」
相手チームが、こちらを労う口調で言った。いや確かに、下位打線がよく頑張った。私は今年初めて、チームに貢献したのだった。
今年の社団戦も休む間はない。すぐに3回戦で、翔風館SSTとである。
「さっきは四将でいい感じだったので、次もそれで行きましょう」とKod氏が言い、私は引き続き四将となった。大将から順に、山野、Abe、山本、私、A、木村、Akuの各氏である。
私は先手で、居飛車VS四間飛車となった。作戦はちょっと迷ったが、舟囲いからの急戦とした。

第1図以下の指し手。▲3五歩△4二角▲3四歩△同飛▲3五銀△3二飛▲3四歩△6四角▲4六歩(第2図)
私は▲3五歩。これには△4五歩の反撃を考えていたが、翔風館氏は△4二角。これは弱気の手で、▲3四歩から▲3五銀、そして▲3四歩と抑えて指し易くなった。翔風館氏期待の△6四角には▲4六歩がピッタリである。早くも、これは負けられないと思った。

第2図以下の指し手。△5五歩▲同歩△5四歩▲2四歩△同歩▲5四歩△同銀▲2二歩△同飛▲4四銀△4二飛▲3三歩成△4四飛▲同角△4九銀▲3六飛△5八銀成▲同金△3五歩▲2六飛(第3図)
翔風館氏は△5五歩から△5四歩と合わせてきた。見たことがない筋だが、ということは最善手でない可能性が高い。よって私が最善を尽くせば勝てると思った。
▲2四歩から▲2二歩と味をつけ、じっと▲4四銀と出る。これに△3二歩なら▲5三銀成で先手勝ち。
翔風館氏は△4二飛から暴れてきたが、私は自然に指して手駒を増やす。
しかし△3五歩に▲2六飛と寄った手がやや軽率で、翔風館氏にチャンスが訪れていた。

(つづく)