一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

里見女流五冠の棋士編入試験第1局は「●」

2022-08-20 22:50:44 | 将棋雑記
18日は、里見香奈女流五冠の棋士編入試験の第1局があった。試験官の一人目は、今年4月デビューの徳田拳士四段。その字面からボクシングでもやっていそうだが甘いマスクで、テレビ朝日の刑事ドラマの若手刑事役がピッタリである。実は悪徳刑事、という役柄も似合いそう。いずれにしても、将棋連盟の歴代三指に入るイケメンといえる。
さて注目の試験対局は、徳田四段の先手となった。徳田四段はデビューから12勝1敗という驚異的成績なので、里見女流五冠としてはせめて先手番を……というところだったが、神様は味方しなかった。
戦型は、徳田四段の居飛車に、里見女流五冠のゴキゲン中飛車となった。
里見女流五冠の26手目△5六歩に、徳田四段が▲6六歩と突いたのが、個人的に推奨の一手。私も今年の社団戦で指したのだが、これなら後手の捌きを抑えられ、居飛車が手厚い将棋にできる。
ここから角銀総交換になり、振り飛車も捌けたように見えたのだが、そこで徳田四段が▲2六角(第1図)と打ったのが名手だった。

次の▲6二銀が受けにくく、里見女流五冠は△6二銀と埋めたが、これは先手が一本取った形だ。
ちなみに私だったら▲2六角のところ、△3九角を嫌って▲6六角と打った。しかしこれは角の働きがいまひとつで、つまらない。プロとアマの感覚の違いは、こういうところに現われる。
そこから37手後、里見女流五冠の△9七歩に、徳田四段は▲8六金!(第2図)

これが森内俊之九段が指しそうな鋼鉄な一手で、私はこの時、徳田四段は全力で勝ちに来ていると思った。そしてそれが、奨励会三段リーグで四段を目指した里見女流五冠に対しての、最大限の敬意にも思えた。
将棋は127手まで、徳田四段の勝ち。快勝といってよかった。
さて半ば覚悟していたが、里見女流五冠が初戦を落としてみると、残り4局を3勝1敗は厳しい。合格に早くも赤信号が灯ってしまった。
そうはいっても、里見女流五冠は勝つしかない。勝つしかないのだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする