「暴力は目的達成のためには、経済的ではないとみなしています。暴力に代わる方法は常にあります。往々にしていくぶん間接的にはなりますが」
テルミナス市初代市長サルヴァー・ハーディンの言葉。
最近では「ファウンデーション」シリーズの名前で定着しているけれど、自分としてはあくまで「銀河帝国の興亡」なのだなあ。
滅び行く帝国の首都トランターのイメージは、以後さまざまな宇宙帝国の首都の典型となり、ハリィ・ハリスンの『宇宙兵ブルース』では、ごちゃごちゃしてむやみやたらに広大でゴミも山のように出る世界として、ちゃかされる対象となるのでした。(2007-09-07作成)
銀河帝国の知識のすべてを収めた銀河百科事典を作成していた数学者ハリ・セルダンは、その完成間近になって銀河系辺境の無人惑星ターミナス(テルミナス)へ編纂スタッフ<ファウンデーション>ともども追放されてしまう。
しかし、それはすべてセルダンの計算の内だった。
心理歴史学によってセルダンは1万2千年続いた銀河帝国の滅亡と崩壊後に続く3万年の暗黒時代を予測していた。けれども<ファウンデーション>が知識の守護者として機能するのであれば、その暗黒期は千年に縮めることができる。そのためにセルダンは資源の乏しい辺境にファウンデーションを作り上げる必要があったのだ。
間もなくセルダンは死ぬが、計画はすべて彼の予定通り進行し、ファウンデーションはやがて惑星ターミナスを首都惑星とする国家の通称となって銀河帝国崩壊後の辺境星域で勢力を拡大していく。
だが、セルダンの心理歴史学が予測できなかった敵が出現し、ファウンデーションは窮地に陥る。人類の突然変異体であるミュールが勢力を拡大し始めたのである。心理歴史学は統計から人類全体の動向を予測する科学。たった1人で国家規模の意志を左右できるミュールの存在は計算不能な因子だったのだ……。
セルダンの陰謀で心ならずも偏狭に島流しになった学者や支援要員のコミュニティが商業国家になったり宗教の皮をかぶったりしながら次第に発展していく話ですが、それだけでは単なる「ローマ帝国の興亡」の焼き直し。鍵となるのは第2ファウンデーションの謎です。
ミュール事件を契機に明らかになる第2ファウンデーションの存在ですが、その正体について解っているのは第1ファウンデーションと対になるものであるということだけ。未来予測のツールである「心理歴史学」ですが、観測の対象となる集団が知ってしまうと誤差が生じてしまうため第1ファウンデーションには伝えられていません。それが伝えられているだけではなく、第1ファウンデーションも含めた人類文明全体を監視し、誤差が生じた場合は修正する役目を与えられているようなのですが、秘かに監視され介入されている方としては面白くないわけで、第1と第2の戦い……というより第1による第2狩りが始まります。このあたりの駆け引きが見物ですね。(2009-05-19改稿)
【銀河帝国の興亡】【アイザック・アシモフ】【銀河百科事典】【心理歴史学】【帝国】【第2ファウンデーション】
テルミナス市初代市長サルヴァー・ハーディンの言葉。
最近では「ファウンデーション」シリーズの名前で定着しているけれど、自分としてはあくまで「銀河帝国の興亡」なのだなあ。
滅び行く帝国の首都トランターのイメージは、以後さまざまな宇宙帝国の首都の典型となり、ハリィ・ハリスンの『宇宙兵ブルース』では、ごちゃごちゃしてむやみやたらに広大でゴミも山のように出る世界として、ちゃかされる対象となるのでした。(2007-09-07作成)
銀河帝国の知識のすべてを収めた銀河百科事典を作成していた数学者ハリ・セルダンは、その完成間近になって銀河系辺境の無人惑星ターミナス(テルミナス)へ編纂スタッフ<ファウンデーション>ともども追放されてしまう。
しかし、それはすべてセルダンの計算の内だった。
心理歴史学によってセルダンは1万2千年続いた銀河帝国の滅亡と崩壊後に続く3万年の暗黒時代を予測していた。けれども<ファウンデーション>が知識の守護者として機能するのであれば、その暗黒期は千年に縮めることができる。そのためにセルダンは資源の乏しい辺境にファウンデーションを作り上げる必要があったのだ。
間もなくセルダンは死ぬが、計画はすべて彼の予定通り進行し、ファウンデーションはやがて惑星ターミナスを首都惑星とする国家の通称となって銀河帝国崩壊後の辺境星域で勢力を拡大していく。
だが、セルダンの心理歴史学が予測できなかった敵が出現し、ファウンデーションは窮地に陥る。人類の突然変異体であるミュールが勢力を拡大し始めたのである。心理歴史学は統計から人類全体の動向を予測する科学。たった1人で国家規模の意志を左右できるミュールの存在は計算不能な因子だったのだ……。
セルダンの陰謀で心ならずも偏狭に島流しになった学者や支援要員のコミュニティが商業国家になったり宗教の皮をかぶったりしながら次第に発展していく話ですが、それだけでは単なる「ローマ帝国の興亡」の焼き直し。鍵となるのは第2ファウンデーションの謎です。
ミュール事件を契機に明らかになる第2ファウンデーションの存在ですが、その正体について解っているのは第1ファウンデーションと対になるものであるということだけ。未来予測のツールである「心理歴史学」ですが、観測の対象となる集団が知ってしまうと誤差が生じてしまうため第1ファウンデーションには伝えられていません。それが伝えられているだけではなく、第1ファウンデーションも含めた人類文明全体を監視し、誤差が生じた場合は修正する役目を与えられているようなのですが、秘かに監視され介入されている方としては面白くないわけで、第1と第2の戦い……というより第1による第2狩りが始まります。このあたりの駆け引きが見物ですね。(2009-05-19改稿)
【銀河帝国の興亡】【アイザック・アシモフ】【銀河百科事典】【心理歴史学】【帝国】【第2ファウンデーション】