付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「メルサスの少年~「螺旋の街」の物語」 管浩江

2009-12-19 | 破滅SF・侵略・新世界
 幾度も大きな戦争が起こり、人間がその姿を変えてしまった時代のこと。
 辺境の荒野に、採掘師の荒くれ男たちを相手にする歓楽街の街<螺旋の街>があった。そこに住む者はたった1人の例外を除いてすべて女。
 そんな螺旋の街に、鉱石パラサンサを独占して世界支配を企むトリネキシア商会の軍に追われた娘が逃げ込んできた。少女は予言者カレムの孫娘カレンシア。助けたのは少年イェノムだった……。

 あとがきで高千穂遥が「ヤングアダルト」とか「ライトノベル」という言葉は意味不明だと熱く語っています。子供向けに言葉を選んだ「ジュブナイル」とそれ以外の「小説」の2区分で十分というのです。
 まったくそのとおりですね。主旨としては、管浩江は「描写」と「会話」という小説の基本がきちんとできているしSFマインドを持っている、つまりこの小説は優れたSF作品であり小説であるということなのですが、前振りが強烈すぎます。
 でも、それだけの称賛を受けるだけの作品ではありました。

【メルサスの少年】【「螺旋の街」の物語】【管浩江】【草琢仁】【聖なる獣】【成人の儀式】【翅】【遊郭】【変態】
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「妖怪アパートの幽雅な日常(3)」 香月日輪

2009-12-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
『そう。「先輩」であり「先生」なんだよ、まさに。
 子どもにとっての大人の存在って、それなんじゃねえ?』

 勉強できたからって、年をとっているからって、教師を仕事にしているからって、それがなに? 大事なことは子供たちにいろいろな生き方、いろんな「普通」があるということを伝えること。

 のんびりした高校生活を続けている夕士だったが、新米魔道士としての第一歩を踏み出してしまったものだから今までには気づかなかったものにも気づいてしまう。
 幽霊の噂が絶えない講堂の小部屋で夕士が見たものは……。

 シシ鍋とかウニ丼とか、あいかわらず食事が美味しそうなお話です。
 今回も「コミュニケーション」と「人間の進歩」がテーマです。大事なことは、他人の存在を認め、相手の気持ちも考えてみようと思うこと。そして、人間にはできることもあるけれど、なにもかも完璧にできるはずもないわけで、完璧にできなかったときにすべて諦めるのか、それともたとえほんのわずかでも掴んだ何かを離さないのか。そんな話です。
 しかし、ここに出てくる幽霊アパートの人間は、どいつもこいつも『史上最強の弟子ケンイチ』に出てくる師匠たちみたいです。もうキャラクター・イメージが松江名俊の絵でしか浮かびません。

【妖怪アパートの幽雅な日常】【香月日輪】【演劇部】【オタク】【イドの怪物】【コミュニケーション】【隠れ里】【運命の三女神】
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