付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「豹の目」 高垣眸

2009-12-11 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 高垣眸といえば作家としてデビューしたのが大正14年、最後の作品が昭和56年とほぼ昭和を通じて執筆を続けた大衆小説家にして児童文学者。晩年の昭和54年には「快傑黒頭巾」の原作者、あの高垣眸が20余年の沈黙を破り、再び熱筆を振った“愛と感動”のSFスペクタクルロマン!!とのアオリ文句でオフィスアカデミー版『宇宙戦艦ヤマト』のノベライズをやっていたりします。
 そんな高垣眸の代表作と言えば、もちろん『宇宙戦艦ヤマト』などではなく『怪傑黒頭巾』、そして『豹(ジャガー)の眼』です。

 日本人快男児、黒田杜夫の正体はインカ帝国の末裔である!
 杜夫は隠された秘宝を狙う怪盗ジャガーと戦いつつ、太平洋上で燃える貨物船からの脱出劇を経て、サンフランシスコへ上陸する。目指すはアリゾナの奥地ジャガーの神殿。
 彼の行く手に現れるのは、死笑狂病に冒された美少女・錦華、そしてサンフランシスコ警察の名探偵デュカン……。

 インカ帝国の末裔がなんでアリゾナくんだりでアメリカン・インデイアンらとともに新帝国を樹立しようとする秘密結社の旗揚げをしないといけないのかとか、ツッコミどころ満載な気がしますが、大衆文学・児童文学はそれでいいのです。「実は高貴な血筋に連なる者」という設定などは、長屋暮らしの浪人が実はお家断絶の危機にある大名の落し胤であるとか平凡な少年が銀河系規模の皇家の血を引くとか定番のネタ。
 でも、インカ帝国というなら、せめてもうちょい南米寄りのところまで行って欲しいと思いました。
 わが家の『豹の目』は少年倶楽部文庫版。かなり表紙が傷んでいるけれど、あの東海豪雨を生き残ったのだから仕方がないですね。

【豹の目】【高垣眸】【落胤】【秘密結社】【インカ帝国】【ピンカートン探偵社】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする