付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「くたばれ戦車商隊」 上原尚子

2009-12-24 | ミリタリーSF・未来戦記
「男のロマンなんて……地球じゃスミソニアンの倉庫で埃をかぶってるぜ」
 リトルマレイ撃破にこだわるユカヤの言葉。

 月の裏側では解放区の資源を巡って地球の経済連合機構と月の自治条約機構との紛争が続いている。月の200近い自治都市のすべてが反地球ではないが、その中立都市内の反地球派がゲリラを援助することで条約機構軍を側面支援していたのだ。
 その武装ゲリラが発展して商隊システムとなった。地球軍の装備や施設に賞金を賭けて戦果を軍に買い取らせるというものだ。戦争の下請け、外部委託、民営化といったようなこのシステムにより、5年で地球勝利といわれていた戦いは20年以上も続くこととなった。
 その商隊の1つ、チーム2355にあるミッションが持ち込まれる。連合軍の新型超重戦車リトルマレイの撃破だった……。

 『レーベンスラウム2』で在ったかも知れない月面戦闘の断片を見た気がしました。
 「和を以て尊し」ではなく「独立独歩」でいきたいという、まだまだ青くて、ツッパっていている若者たちのチームが飛び込む対戦車戦闘の顛末。うん。若いよね。若いっていいよね。と思いました。月面戦闘版『エリア88』みたいなものかもしれないけれど、こちらはあくまで末端の話ですから戦局みたいな話はあまり関係なさそうです。
 
【くたばれ戦車商隊】【上原尚子】【末弥純】【対戦車肉薄攻撃】【企業論理】【賞金制】
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「天使と宇宙船」 フレドリック・ブラウン

2009-12-24 | その他SF(スコシフシギとかも)
「恋する男は酔っぱらいと同じだし、酔っぱらいがアルコールの勢いにのってやることは、一概には責められない」

 書店の特設コーナーに平積みになっていた、眩しいばかりの黄色い表紙は、ひねりまくったアイデア満載の短編を送り出してきたフレドリック・ブラウンの短編集。作家や編集部や書店がお奨めするコーナーということで、最新刊から復刻版までひと山できています。こういうときでないと、ブラウンの短編集の美本なんか手に入りにくいですから、迷わず購入。
 だからリアル書店めぐりも止められない。

 SFとファンタジーの境界を気にすることなく繰り出される16編の中でいちばん有名なのは「ミミズ天使」かな。初めて読んだのは、高校図書館の全集収録で。こんなオチあるかいっ!?と思いつつ、ファンタジーとしても推理小説としても納得の奇譚。あの原因となった場所へ到達する手段は,間違いなく名推理です。

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