付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「そして誰もいなくなった」 アガサ・クリスティー

2009-12-29 | ミステリー・推理小説
 孤島に集められた10人の男女が、マザーグースの詩をなぞるように1人ずつ殺されていく。この中に犯人がいる!?
 疑心暗鬼が高まる中、ついに誰もいなくなったのだが……。

 アガサ・クリスティーの代表作『TEN LITTLE NIGGERS』が刊行されたのは第二次大戦が勃発した1939年。翌年にアメリカ版が出たときに『TEN LITTLE INDIANS』に改題されることとなります。戦争によって国内労働力が不足し、女性や黒人の労働力があてにされるようになったため、差別表現ととられることに過敏になっていたようです。この場合の『INDIANS』はインド人ではなくネイティブアメリカンですが、こういう形で言い換えられるところに当時のヒエラルキーが感じられますね。

【そして誰もいなくなった】【アガサ・クリスティー】【童謡殺人】
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「オペレーション・アーク1」 デイヴィッド・ウェーバー

2009-12-29 | ミリタリーSF・未来戦記
 帯に「超弩級戦争SF巨編」と書いてあるのを見て「超弩級」と「巨編」で意味がかぶってねえ?と思ったり、そもそもセーフホールド戦史とあるけど戦争起きてないじゃんと思って「そういや冒頭に壮絶な宇宙戦争があったなあ。負け戦だったし、あそこセーフホールドじゃないけど」と突っ込んでみたり。表紙イラストも大好きなウスダヒロのイラストですが、今回は誰がこのレイアウトを指示したんだろう?という感じで、どうせなら宇宙艦の本人とPICAの背中合わせにでもすれば良かったのに……。
 最近のハヤカワはなんでもかんでも「ミリタリーSF」と言いたがりです。わたしの文句は言いがかりみたいなもんですが。

 異星文明から殲滅戦を仕掛けられ、滅亡の危機に瀕した地球文明は、最後の植民計画を発動。そこでは敵に察知されないため、高度な文明を放棄することとされていた。
 しかし、計画中枢メンバーが暴走し、過去の記録をすべて抹消した上で、技術発展を全否定した宗教を擦り込んだ世界として植民地を構築してしまう。この歪な構造を正すべくPICA(全人格統合型サイバネティック擬体)として覚醒させられたニミュエ・アルバン准佐は……。

 偽りの歴史を植えつけられ、およそ9世紀の間、中世的な世界観のもとに生きてきた人々の間に送り込まれた“不死身の忠告者”が、国家間紛争に飛び込んでいく話です。しかし、この状況からのスタートで、果たして異星人ヶババの再登場があるのか、どこに落ちつくか見えません。まさか、この中世社会が健全に発展するようになりました、めでたしめでたしでもなかろうし、狂信者の天罰装置も生きているし、いったいどこへ向かうのでしょうか?
 ペリー・ローダンっぽく始まった『反逆者の月』が二転三転して2巻ではレンズマンっぽくなり、最終巻ではまさしくこの作品と同じく「神様みたいな知識を持つ文明人が中世世界に助言者として降臨」というのをやっているので、今度はどう転がしてくれるのか期待しているのです。

【オペレーション・アーク】【セーフホールド戦史】【デイヴィッド・ウェーバー】【ウスダヒロ】【義体】【植民惑星】
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