付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「怪獣総進撃~怪獣小説全集1」 福島正美 他

2009-12-01 | 怪獣小説・怪獣映画
 なにが苦手と言ってホラー・オカルトが苦手で、すっきりと解決していない話がキライで……、となったら最後に登場人物たちがなにがなんだか分からないまま酷い目にあって終わり、しかもその災厄が果てしなく広がることが暗示される話なんて最悪で、そんな話は観たくも読みたくもありません。
 まかり間違って、そんな話を見てしまった日には、延々とうなされてしまいます。東宝映画『マタンゴ』なんてその代表作。ホジスンの「闇の海の声」をベースに制作された怪奇映画であり、映画公開とタイアップして福島正美が短編として執筆し雑誌に掲載したものがこれ。映画のスチールや小松崎茂のイメージラフも掲載されているけれど、とにかく気持ち悪い。小学生時代にテレビ放映されたのをつい最後まで見てしまい、以来「霜柱」や「蟻塚」とか“小さいもの”がびっしり固まっているものが生理的にダメになり……思い出しただけで鳥肌が立つようになってしまったのはこいつのせいです。

 その「マタンゴ」の福島正美による小説版が収録されているのが、この怪獣小説全集。他に日本怪獣映画の原点である『G作品』検討用台本、ゴジラと同じく香山滋による「獣人雪男」を収録したアンソロジー集です。
 「G作品」はまあ「ゴジラ」だし、「獣人雪男」は日本の奥地にはまだまだ秘境があって人間の欲は怪物より恐ろしいという話だし、「マタンゴ」は茸栽培農家へのアンチ・キャンペーンだし、貴重ではあるけれど飛び抜けて面白いということもない気がしますがいかがでしょうか?

【怪獣総進撃】【怪獣小説全集】【香山滋】【福島正美】【竹内博】
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「ゴミ箱から失礼いたします」 岩波零

2009-12-01 | 学園小説(不思議や超科学あり)
『厳正な抽選の結果、あなたは見事、妖怪ゴミ箱男に選ばれました』

 ごく普通の高校生だった小山萌太は、ある日ふとゴミ箱に入ってみたい気がして、誰も見ていないのを確認してちょっと入ってみたらすごく馴染んでしまって、気がついたら何をどうしても抜けられなくなってしまいました。
 そこにふらりとやってきたのは美人のクラスメイトの水無氷柱。彼女はゴミ箱に入ったまま転がっている萌太を見るや「あなたは、妖怪ゴミ箱男よ!」と断言するのでした……。

 ある日突然、残念な妖怪になってしまった高校生たちの物語。
 意表を突いた導入部に「こんな妖怪あるかよ!」と笑ってツッコミながら読み始め、妖怪対決の中盤までは盛り上がったけれど、後半はやや失速。お話的には良い感じでまとまったんだろうけれど、人間関係はぐだぐだだし、生徒会長もぜんぜんスーパーじゃないし、クラスメイトの彩音さんは単なる勘違いキャラのままフェイドアウトするし、妹の紅子は“とりあえず妹を出してみました”的な扱いで終わるし、真意不明の氷柱さんは一周してしまって単なるワガママ勝手なバカキャラに終始してしまうなど風呂敷の畳み方が残念。
 だから、私はこういう周囲の好意にあぐらをかいたキャラがキライなんだ。

【ゴミ箱から失礼いたします】【岩波零】【異識】【ゴミ箱】【説明書】【将棋部】【スーパー生徒会長】【コンプレックス】【現場責任者】【パンドラの箱】【二歩】
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