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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

三四郎

2011-05-18 20:13:35 | 読んだ本
夏目漱石 1938年発行・1990年改版 岩波文庫版
ヒマな時間をつくって、むかし読んだか記憶があやふやな小説を、ちゃんと読んでみよー(って勝手に自分のなかで名づけてる)シリーズは、「『坊っちゃん』の時代」を読んだときから、気にかかっていた漱石に手を伸ばすことになった。
なかでも、これ、「三四郎」は、むかしガキのころから何度か読もうとして、結局ちゃんと読んでないよーな気がする。なんか途中でほっぽりだしちゃうんだよね。
今回、新たに文庫本を買って、気合い入れて読んでみた。
ところが、あらら、意外と読みやすい。なんでだろう? 漱石の小説って、けっこう日本語が難しかったりする(明治のひとは教養がハンパぢゃないから)んだけど、いちいち引っ掛かったりつっかえたりせずにスラスラと読めてしまった。
ところどころ「注」がついてんだけど、そんなの気にしないまま(ってことは巻末にある事物の解説などをあまり見ないまま)読むことができた。
「注」が必要なのは、「彽徊(ていかい)趣味」とか、漱石の造語だよね。
小説のスジ自体は、なんてことない話なんだけど、若い頃に読もうとしたときは、この凡庸さが退屈で投げ出しちゃったんだろうと思う。いま読むと、とてもいいんだけど。大げさな滑稽話とか、チープトリックより、ぜんぜん日本の小説らしい。
その場でうまくリアクションできなくて、あとから、あーしたらよかった・こー言えばよかったと思うこと頻りの、主人公に、意外と感情移入できたりしちゃう。
あと、どーでもいーけど、漱石の表現がときどきすごく気に入ったものが出てきて、ハッとさせられたりした。
たとえば、
>三四郎は愚劣の看板の如く突立った。
とか
>三四郎の舌が上顎へ密着(ひっつい)てしまった。
なんて書きよう、うまいと思うなー。
コメント
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