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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ヘルタースケルター

2011-05-27 19:54:34 | 岡崎京子
岡崎京子 2003年 祥伝社
例によって、ヲカザキのマンガです。これは長編。
出版は2003年ですけど、雑誌連載は1995年から1996年。
そう、これをかいたあと、岡崎京子は事故にあったってことになります。
んで、これは傑作です。
唐突にミもフタもない言い方しかできないけど、そうなんだから仕方ない。
私は「pink」がいちばん好きだし、「リバーズ・エッジ」もすごいと思うけど、これはかなりとてつもないです。
岡崎作品にかぎらないでも、そうとう物凄いって評価するマンガのひとつに挙げられます。
主人公はスーパー売れっ子モデルの「りりこ」。
彼女の美は人工的なもの。事務所の社長いわく「このこはねえ もとのままのもんは 骨と目ん玉と爪と髪と 耳とアソコぐらいな もんでね あとは全部 つくりもんなのさ」。
で、整形の後遺症とか、薬物の副作用とかで、身も心もボロボロになって、ときどきメンテナンス(って、ほんとロボットの修理みたいなこと?)をしなきゃいけなくなります。それを扱うのが謎の秘密高級クリニック。
「りりこ」をテレビでみて「このこ 面白い顔 してるね」と興味をもつのが麻田検事。「骨格と上にのってる 表皮と筋肉の動きが 一致してない 興味深い顔だ」と見抜きます。
検事は、何年も前から闇で進行しているらしい、胎児死体臓器売買事件を追っていて、やがて「りりこ」と会うことになる。
うーん、いろんな事象のうらには、人の持つ欲望みたいなものがうねってる、ってことを感じさせられるんだなー、これが。
「pink」で見せられた「愛と資本主義」ってのは、まだ可愛げがあったんだけど、ここに来ると、なんか鬼気迫る迫力があります。
読み返すのは、そのたびツライ体験になるけど、やはり傑作だと思います。
コメント
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