ユニークなテーマを取り上げ続けている興亡の世界史シリーズも、残り僅か。
今回は、カルタゴがテーマであった。
カルタゴって聞いたことあるけど、あまりよくわからないというのが、一般的なところではないか。
本書は、その中途半端にカルタゴを知っている人向け。最初から、最後まで、ていねいに描かれている。
カルタゴは、元々フェニキア人が作った町で、そのフェニキア人は、地中海の東のはじにあるレバノン辺りが発祥という。海運にたけ、地中海を舞台に交易を広げ、今のリビアにあるカルタゴに本拠を移し、地中海全体にその勢力を伸ばした。
ただ、一番の盛り上がりは、ギリシャや、ローマ帝国との戦いだろう。ハンニバルのアルプス越えは、流石に知っている人の方が多いと思う。しかし、ローマに滅ぼされ姿を消した。そして、歴史は勝者により残されたため、本当のカルタゴの姿は、なかなかつかみにくいのだ。本書は、残された断片的な記録から、カルタゴの姿を、数百年に渡って蘇らせたという点で、特異である。ただ、やはり面白いのは、ローマとの接点が増え、記録が多く残されている部分。
今後の新発見により、さらにその姿は、より明らかになっていくのであろう。