かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

『古事記』神話の謎を解く

2011年04月15日 | Books


また、記紀関連の謎とき本が出た。もう止めようと思っているのだが、新しいのが出てるのを見ると、つい手を出してしまう。そして、その一冊一冊に、著者の思いが込められていて、面白い。

本書で、まず面白かったのは、古事記は、民間の神話から来たのではなく、初めて語りだされた(部分が多い)神話だということだ。まさに、日本が国として形造られ、外国にも認知され始めた頃で、国の歴史、天皇の歴史が必要だった。
古事記の分量は、400字詰め原稿用紙で、150枚ほどしかないそうだ。その中に、日本創成記の謎を探るヒントが、散りばめられている。文字使いも、漢文風だったり、和語の語順の漢字だったり、訓で書かれていたり、日本語創世記の様子を知る貴重な資料にもなっている。漢字で和語を書くという離れ業を、やってのけたのだ。
日本書紀の方は、中国語だから、国際社会に向けた書物と言えそうだ。

古事記は、8つのテーマに分けられるという。
1、ムスヒ-天地初発
2、イザナギ・イザナミー国生み
3、アマテラス・スサノオー世界の分治
4、オオクニヌシー王の誕生
5、タケミカズチー地上世界の平定・国譲り
6、ホノニニギー天孫降臨
7、ヒコホホデミー地上の支配
8、カムヤマトイワレビコー初代天皇

アマテラスの岩戸伝説は、異郷訪問譚の一種。別世界を訪れて、主人公が変身するパターンの物語。このパターンは、古事記の中だけでも、黄泉の国、根の堅州国、海神の宮などがあるという。
様々な神々の、性格が変わる時に、この異郷訪問譚が使われるが、話を都合よく展開させるためにこうなったのではと説く。スサノオなどは、泣き虫が暴れん坊になり、英雄になったと思ったら、老いぼれた長老になってしまう。

古事記を読み説くには、様々な知識が必要だが、特に、日本語創成期の国語の知識が重要だ。
因幡の白兎の色は、白ではない。白は素の意味で、無地の状態をいい、裸兎の意味。この話は、南方系民話の影響が見られるのだが、結末は、それぞれ、かなり異なるのだそうだ。

オロチの語義は、オが”嶺”、ロが”の”、チが”霊”を、表すのだという。そうすると、オロチ退治の話は、山の神を、祭って治める話になる。

いろんな解釈ができるから、記紀の研究は、永遠に続く。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする