かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

アンコール・王たちの物語

2011年04月19日 | Books


石澤さんの本は、何冊読んだだろうか。もちろん全てカンボジア絡みの本だが、これだけカンボジアに全てを捧げた人は、いないと思う。カンボジアに行った時も、石澤さん以上クメールの歴史に詳しい人はいないと聞いた。カンボジア人からもそう聞いた。

本書は、石澤さんが、上智大学の学長になる前に著わした本だが、石澤さんの研究の成果が集約された力作だ。アンコール王朝とは、何だったのかを知りたい人は、まず一読しておきたい本。
アンコールの碑文は、そこそこ残っているが、それを読める人は、そう多くない。それを読んで、王たちという切り口から分析した本書は貴重だ。

当時のアンコールは、世界第四の大都市だった。一位は、コルドバ(スペイン)、二位は、開封(宋)、三位は、コンスタンティノープル。なかなかぴんと来ない。

何故、アンコール朝がこれだけ大きくなったのか。1は、アンコールの大扇状地に拠点を建設したという地理的選択、2は、帝国の発祥地にふさわしい道具だて(プノーンクレーン、シュムリアップ川、流通の便と本書は言う。たぶんそうだ。

初期の寺院は、インドのバラモン僧が直接建設したという。昔、おまけで訪れたプリアエインコセイ寺院もその内の一つという。今まで解説本に出会わなかったが、本書によれば、バラモンのディヴァーカラバッタナによって建設されたのだそうだ。
寺院には、碑文が残っていたから、それを解読したのに違いない。

クバルスピアンのヴィシュヌ像の盗難については、my H/P でも触れたが、本書では、2003年3月4日のこととなっている。あまりにも露骨な盗難だが、関係者が絡んでいると噂されているそうだ。

アンコールの当時の状況は、中国の周達観が伝えている。かなり正確な記録のようで、それを信じれば、都全体が、金キラ金で輝いていたらしい。

本書でもうひとつ知ったのは、創建当初からあったと思っていたものが後から付け加えられていたものだったりすることだ。バプーオンの空中廊下などもそうだったらしい。結構他にもあるかもしれない。

カンボジアに興味のある人は、読んで、損しない本。


コメント
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