かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

倭人・倭国伝 全釈

2020年09月29日 | Books


こんな本があったとは知らなかった。
鳥越さんという方の最後の書と、息子さんの後書きにある。

なかなかユニークで面白かった。

標題が示すように、中国側の資料を、徹底的におさらいする本なのだが、著者はもともと、沖縄の文化を研究しており、雲南省、東南アジアまで、範囲を広げる中で、倭という字は、日本ではなく、中国の中央から、隔たった、もっと広いバーバリアンに対する呼称であったと説く。
雲南省、東南アジアで見た習俗は、中国の書で残される倭人の習俗に引き継がれているように見えるという。

私も、東南アジアを旅行する中で、食事とか、建物とか、日本的だなと感じたことが多々あり、部分的か、全体的かは別にして、中国南方か東南アジアから引き継いだものが、日本の根っこになっていると思う。

本題に入ると、魏志倭人伝以前から、唐書に至るまで、倭人に関する文献を、すべて取り上げている。
かなりの引用が入っており、魏志倭人伝が、その集大成になっている様子がわかる。
著者は、当時の中国では、倭国の方向認識が誤っており、邪馬台国は、大和にあったという説をとる。
そして、奴国が強大で、中国との交渉の最前線に立っていたと考える。
また、当時の体制は、祭祀と、政治が、分離しており、それを前提と考えると、様々な謎も解けると説く。

様々な考えがある中、一つの筋の通った考え方と言えるかもしれない。

中国のさまざまな文献を読みとくと、その内容が、ほとんど、前書の引用になっているが、明らかな写し間違いや、新たな情報の追加などがなされている様子もわかる。
文献を読みとく際の難しいところだ。
書き間違いなのか、訂正なのか。本当の追加なのか、憶測で付け加えただけなのか。

日本書紀との比較も少し出てくるが、これもなかなか難しく、ぴったり一致するとことは多くない。

遣隋使の時代の中国側の文献にはあまり触れたことがなかったので、興味深かった。
日本に残される資料よりは、より高いレベルでの交流があったのではないかと感じさせるがどうか。
コメント
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