CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】京都 ものがたりの道

2025-02-08 20:54:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
京都 ものがたりの道  著:彬子女王

歌集かと思って読んだのだが、
京都の道をテーマにした、エリアガイドでもないけど、
歴史と今を紹介する短編コラムを集めたものだった

新聞連載をまとめたものだそうで、京都の様々な通りにちなんで話しが、
ご自身の体験とともにつづられていて、京都のこともわかるのだけど、
宮家の人の日常を垣間見えるという点でも
大変興味深い一冊でありました

それぞれの道の成り立ちが、主たるところは秀吉の治世による部分だという説明は
よくある歴史書でも知ったところだけど、実際にそこを歩いてどう見たか
どう感じたかという添えた文が魅力で、なるほどと思いながら
同じくたどったかのように感じられるよい読み物だった

私信をかねているわけでもないだろうけど、
やはり御身分から、つねに側衛というボディーガードが付き添っていて、
そちらへの感謝の言葉が多々見られるのがよかった
それが当たり前である毎日というのが、不思議だけどそれを普通にしてきた人の感覚で伝えられて
なるほどと感じさせるところが多かった
結構散歩をなさるようで、それについていくすがら、京都府警の様々な担当の方と
あれこれと語りながら歩くのがよいということだが、
この役目は結構大変だろうなといらんことを考えるものの、
文章から伝わる魅力から、本当に誉高い仕事なんだろうとうかがえて
羨ましいでもないが、不思議な感覚になったのである

当たり前ながらの育ちのすばらしさ、言葉選びに感心というか
感激に近いものを覚えたのだが、
下立売あたりのエピソードだったと思うが、
やや痴呆のケのあるご老人と出会った出来事で、その方を「おじいちゃま」と書かれているところに
なんともいえぬ奥ゆかしさというか、いいなーと思わされたりしたんだが
ここでの京都府警の活躍の描写もすばらしくて、
街歩きルポとしても、ドキュメンタリとしても読みごたえがあるなと
面白く読み終えたのである