今夜、喫茶マチカネで 作:増山実
まもなく長い歴史に幕を下ろす喫茶店で、
月に一度、その街にまつわる話を語り合う会が開かれるようになった
その、様々な語り手による話しを聞くという物語
色々な人が、それぞれの思い出を語っていき、
思いもよらぬ縁や、事実がわかるといった感じが
いかにもありそうで、本当に喫茶マチカネにいるような気分になって
ずいずい読まされて浸った読書になった
語り手が変わりながら、まるで違う短編のような話をする
こういうオムニバスとも異なるジャンルをなんと呼ぶのかわからんが、
こういう手法、仕掛けの小説は、なんだかんだ読まされてしまうなと
今まで読んだのが、どれも当たりだったような覚えがあるところ
今回のこれもまた、基本人情話しなんだが、
その土地、マチカネに関わるあれこれがずいぶんと面白くて
その歴史に触れるような錯覚もあって、
なんとも愛着がわいてくるのがとてもよかった
実際は、こんなにうまく語る人ばっかり集まらないだろうと思ってしまうんだが
それは野暮というもので、そのもってくる物語の面白さが、
恋愛や、思想や、ある種の歴史やといった感じで
様々なジャンルがごたまぜになって、でも、一本筋が通っているというか
ちゃんと、マチカネの話しという囲いがあるといったところが
とてもよいと思うのであった
個人的には、物語中の物語になってしまうが、
ワニの化石を見つけたという話しの中で、想い人が作った嘘というか
物語としての、「化石となったワニは流されてやってきたワニで、
いつか同じように離れてしまった恋人(ワニ)が流されてくるだろうと
それを待つために石となった」、なんていう夢十夜的な挿話がよくできてていいなと
強く印象に残ったのである
そのほかも競馬やら、阪大との関わりやらと、
マチカネはともかく、大坂のそういう下町に住んだ人なら
なんとなく思い当たりそうな話しの作りが嫌味なく見事で
気持ちよく読めたのでありました
まぁ、最後の章で、マチカネの謎も解かれるというか
ちょっとしたSFになってしまうのだけども、このあたり、
大阪に住んでるとぱっとわかったんだろうなと思うと、知らなかったのが少々悔しいと思うのであった
まもなく長い歴史に幕を下ろす喫茶店で、
月に一度、その街にまつわる話を語り合う会が開かれるようになった
その、様々な語り手による話しを聞くという物語
色々な人が、それぞれの思い出を語っていき、
思いもよらぬ縁や、事実がわかるといった感じが
いかにもありそうで、本当に喫茶マチカネにいるような気分になって
ずいずい読まされて浸った読書になった
語り手が変わりながら、まるで違う短編のような話をする
こういうオムニバスとも異なるジャンルをなんと呼ぶのかわからんが、
こういう手法、仕掛けの小説は、なんだかんだ読まされてしまうなと
今まで読んだのが、どれも当たりだったような覚えがあるところ
今回のこれもまた、基本人情話しなんだが、
その土地、マチカネに関わるあれこれがずいぶんと面白くて
その歴史に触れるような錯覚もあって、
なんとも愛着がわいてくるのがとてもよかった
実際は、こんなにうまく語る人ばっかり集まらないだろうと思ってしまうんだが
それは野暮というもので、そのもってくる物語の面白さが、
恋愛や、思想や、ある種の歴史やといった感じで
様々なジャンルがごたまぜになって、でも、一本筋が通っているというか
ちゃんと、マチカネの話しという囲いがあるといったところが
とてもよいと思うのであった
個人的には、物語中の物語になってしまうが、
ワニの化石を見つけたという話しの中で、想い人が作った嘘というか
物語としての、「化石となったワニは流されてやってきたワニで、
いつか同じように離れてしまった恋人(ワニ)が流されてくるだろうと
それを待つために石となった」、なんていう夢十夜的な挿話がよくできてていいなと
強く印象に残ったのである
そのほかも競馬やら、阪大との関わりやらと、
マチカネはともかく、大坂のそういう下町に住んだ人なら
なんとなく思い当たりそうな話しの作りが嫌味なく見事で
気持ちよく読めたのでありました
まぁ、最後の章で、マチカネの謎も解かれるというか
ちょっとしたSFになってしまうのだけども、このあたり、
大阪に住んでるとぱっとわかったんだろうなと思うと、知らなかったのが少々悔しいと思うのであった