CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ビジネスエリートの新論語

2024-09-09 21:05:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
ビジネスエリートの新論語  著:司馬遼太郎

そういや、小説以外の司馬遼太郎はあんまり読んでないなと思って手にとったけども
実際は、福田定一の名で出された本の改訂版にあたるのだそうで
新聞記者駆け出しから、そこそこになっていた頃の笑い話しといっていいか、
余談コラムといった感じで、さくさく読めて面白かった

時代感とか、歴史観とかの話しではなく、
いや、あるいはそうなのかもしれないけども、もっと身近な
自身が経験してきた新聞記者としての立ち位置、そこから見える、
その頃のサラリーマンという新たな人種について語った本で
これまた、今読んでも、おおよそそういうものだよなというサラリーマン像が
山ほどでてきて、日本人はこの70年くらい進歩してないなとか
思ったり感じたりしながら、安心して読めたのでありました

とはいえ、やっぱりどことなく時代を感じさせる部分も多く、
特に思想として語っているわけではないけど、言葉の裏にあるだろう昭和の空気というべきか
その頃の価値観というのが見えてきて、これが現在とずいぶん異なっているなと
大変面白く読めるのでありました
言ってみると、この本は、多分当時はだいぶ先を行っていたというべきか、
開明的なものいいではないかと思われるので、
ずっとハイカラというか、先鋭的とすら思うところなんだろうが
現代人からすると、すこぶる古いというのが、大変面白いと思うばかりでありました
ひとつに女性に関するあれこれというのが、
確かにそういう時代だったんだろうなと、もはや、今となっては歴史といっても過言ではない
お茶くみで入った女性社員が、新しく入ってくる男性社員を篭絡するという世間話しが
まぁ、面白おかしく書かれているわけで、
そういうのが今もあるだろうけど、なんというかニュアンスが違いそうだし
それを面白く書いているというのが、当世問題になりそうだなと思ったりもするしと
なんだか楽しいのだが、危ないようにも思えたのでありました

サラリーマン記者というのも、この頃ずいぶんと増えてきて
自身もそうであるなという自戒もふまえてという筆致だと思うのだけど、
軽妙に語る、かつての文士像というのが面白く、
また、どうして新聞記者になったかというあたりの、本当か嘘かもわからない話しが興味深くて
読み入ってしまったのでありました
この頃から、読ませる、面白い文章運びが見事だったんだなと
改めて思い知ったのでありました

文中に、とある工員さんに指摘されて、
よろしくないと評された司馬氏の文章があったそうだが、
それがどんなものだったか凄く読んでみたいと思ったのだけど
それこそ、そんな文章、世界に残っていやしないんだろうなと思うと
文章や、歴史というものについて、
儚いでもないが、不思議な感覚を覚えるばかりでありましたとさ

ともあれ、司馬遼太郎の語り口は、やっぱり面白いと
文章が踊るようになって楽しい

【読書】くよくよマネジメント

2024-09-07 21:05:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
くよくよマネジメント  著:津村記久子

こんな本も書いてたんだ
面白エッセーかしらと思って読んだんだが
いたって真面目に、くよくよしがちな性格をどうしたらいいかについて
解説、自分の話し、どうしたらよいかを語っていて興味深い内容だった
こういう思考あるなーと思いながら読む場面が多かったので、
人にもよるだろうが、かなり当てはまる人もあって、
なんなら、これにより救われる人がいるだろうというのも
わからんでもないという感じでありました

対極にあるのが、サバサバ系なのかは、はたしてと思わなくもないが
まぁ、そう自称はさておき、いつまでも引きずってしまいがちなことが多い時、
どうマインドをシフトさせるか、仕方ないと折り合いをつけるかといったところが
割と手近なやりかたで書かれているので、誰でもできそうな割りに
大変効果があるのではないかと思う内容でとてもよかった
基本的に優しい

くよくよという失敗からくるというか、
自分がやったことに対しての後悔というものが基本だけども、
そこは考えすぎないことや、そう考えても仕方ないと割り切るというのを
はっきりと自分で声に出してやるという、割と強引な方法でも
気持ちは切り替わっていくというのは、ありそうな話しだと思って読んだのである
また、それ以外の、考えても仕方ないことを考えてしまうだとか、
やろうと思うまでに時間がかかるなど、本当にもう、誰にでもあろうあれこれに対して
あまり無理をせず、どこかで決断をというのをどうさせるか、
自分に対してどう仕向けるかというあたりが、コツとしても
しっくりきた内容でよかったと思うのである

書かれていたように、誰かと競うということが苦手というのもまた
共感できるところで、かつ、自己満足の肯定感ともいうべきもの
それを無視できないようなとしているあたりもまた、
凄くよくわかるなと思いつつ、それでいいとして
あまり他人にとやかくというのに、気を囚われないようにしようと思うのでありました

人の話を聞く、人に話をする
そういった部分についても気づきがあり
優しいし、ほんわかした内容だけど、しっかりとして読みやすいよい本でありました

【読書】上流階級 富久丸百貨店外商部3

2024-09-04 21:04:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
上流階級 富久丸百貨店外商部3  作:高殿円

前作を読んだのが結構前なので、すっかり内容を忘れてしまっていたんだが、
なんだかんだ、桝家と同居生活も順調そうで、すっかりエース級の活躍をしている主人公だが、
相変わらず、お金持ちの困ったを解決するのに奔走の日々という
楽しく、前向きになれるいい物語シリーズであります
次々と新しいパターンのお金持ちが出てくるのも面白いが、
お金持ちならではの困ったの内容も楽しくて、百貨店外商って
もはやそのレベルのことまでやれないといけないのかと
まぁ物語だろうとは思いつつも、顧客のことを考えるという点において
色々考えさせられるところでありました
そこまで含めてのサービスが外商という仕事とすれば正しいなと、
作中でも「外商なんて古臭いと思ったけど、労働力を買うということか」と、
客も納得しているし、おそらくこの仕事の根幹を顕す言葉なんだろうなと
確か、前作か、その前かにも出てきたニュアンスだと思うのだけども、
深く考えさせられるのである
昨今のタイパに近い考え方ではあるよな

顧客の子供の受験に寄り添ってみたり、家庭問題を解決というか巻き込まれてしまったり、
終活というテーマに踏み込んでみたりと、それぞれなにげない顧客との取り組みが
そのまま、大きな展開にできると思い衝いてしまうというのが主人公の強みで
そこがよいと褒められるというか、あれは、嫉妬されているととってもいいのかというシーンもあったり
なかなか楽しいことこのうえないのでありました
途中、この巻でシリーズ終了なのかという展開もあったけど、
結局そうはならず、まだまだ続くのも面白いところであるが、
この終了展開間際の、手際の良さというのはものすごく習うべきものが多いなと
改めて、この本でなにげなく書かれている仕事っぷりは、
大変興味深いと思わされるばかりでありましたとさ

基本的に働くということへの前向きさ、
その楽しさを満喫といったらいいか、楽しんでいるさまというのが心地よく描かれているので
読んでいると不思議なもので、働く気力というか、こうやって働くべきだなと
心持がよくなるような気すらして、なかなか素敵なシリーズだと
満足して読み終えたのでありました

しかし、人間関係が先進的というでもないが、
結構特殊だよなと改めて思うのだが、これもまた、
ある種の多様性というやつなんだろうと思ったりするのである
独特の押しつけがましさがないから、凄くいい

【読書】企業法務革命 ジェネラル・カウンセルの挑戦

2024-09-02 21:05:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
企業法務革命 ジェネラル・カウンセルの挑戦  著:ベン・W・ハイネマンJr

本当に読んだだけだ
難しすぎてわけがわからんという感じでありましたが
企業内に自前の弁護士を雇って、それの長としてジェネラル・カウンセルという仕事をさせることで
企業を守る、ガーディアンとして働かせるというお話だと思うのだが
実際にそんな感じでGEで働ている著者の経験と、
これからの企業内法務の在り方について書かれていて、
法務部員でもない自分としては、さっぱりわからんけど
まぁ多分いいことなんだろうねと思いつつ、ただただ
難しい文章を目で追っただけの読書となったのである

とはいえ、部分的には理解というか面白いところもあり
やっぱりそういうのは知っている分野というべきか、
いわゆる過去の法務的インシデントの紹介部分でありまして
特に印象的なのが、福島原発のところで、ここもまた、法務の力が必要であった
そういう話しになっていて、深く納得したのである

福島の事例に関しては、企業内法務による企業倫理の監視という部分で、
ことなかれや、実際はよくないことをやってしまう社員、風土を厳しく取り締まるというところで
確かにこういうものがあれば、福島というか、日本の大半の企業は
もうちょっといい感じになるのかもなぁと思わされたりして面白かったのである
法務の力でもあるが、倫理の力というものの正しさ、それを守らなくてはならないという大切さが
とてもわかりやすく書かれていて、そして、そこが結構希薄だなと自分でも感じるところがあり
凄く勉強になったというか、ビジネスマンとして当たり前のことを忘れていたような
気分になったのでありました

もっとも、この倫理というものをどう規定するかといえば、
やはり法律に抵触していないということになるわけで、その法律は運用される地域、国で異なるというのが
グローバル企業における社内弁護士の大変なところだというのもまた理解できて
凄く面白くもあり、勉強になるのでありました

ガーディアンであるという部分も、この倫理を守ることで
ひいては会社を守ることにつながるというのがとても大切なところで、
企業が大きくなるに従い、様々な法律と肉薄するリスクが高まるけども
それを正しく乗り越えていくための企業内法務の重要性がよくわかったと思うのであった

と、まぁ、いい子ちゃんなことを考えるわけだけど
実際に、コンプライアンスを守ることは大切だと思うが、
こういうのにものすごくコストをかけられるほど、大きな企業でない場合は
割と運用が難しいというか、そういう人とは結局、仕事の在り方について意見が絶対あわないなと
思わざるをえないといえばいいか、稼ごうと思う方法を監査されるだけというのは
どうも納得できないという場面も多いよなーと思ったりもするわけで、
だけども、必要なことであるのもまた確かで、こういうのは、誰のものか理論と似た感じでもあると
やはり、企業のありようというのは勉強すると様々に面白いと
思わされたのでありました

なお、何が革命かといえば、強い力をもった法律家が企業内にいて、
ジェネラル・カウンセルという仕事をするというそれそのものが革命とのこと
アメリカでは、ドラマである通り、弁護士事務所と契約することが大半だけど
そうではなく、車内にそれにふさわしい人物を雇い入れて、
より正しい企業であろうとするのが重要とは
なるほどと思うと同時に、崇高な目標すぎて見えないと思ってしまうのであった

【読書】ほんとうのサステナビリティってなに?

2024-08-28 21:08:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
ほんとうのサステナビリティってなに?  著:関根佳恵

農文協という渋い出版社の本であります
いくつかあるらしいんだが、知人に勧められて2巻にあたる本作を読んだ
いわゆる環境問題と農業漁業といった第一次産業の関係を解説した本で
なかなかわかりやすくて大変よろしいと満足したのでありました

タイトルの通りで、持続可能な社会とは何かというときに、
なんとなく環境とか自然とかと近しそうなので、農業とか漁業は、
そういう社会に不可欠なんじゃない?という印象に対して、
そういうものも、ちゃんと考えないと、持続可能な開発、産業とならないことを
しっかりと説明していて大変よいと思うのである
現状、大規模農場の在り方とか、農薬の過剰使用、養殖環境の劣悪さ等々、
今の食を支えるそれこれもまた、持続可能なものとは
かけ離れてしまっているという点を解説して、
まぁ、こういう方法で、ちょっとずつよくなっていますよという
不耕起栽培だとか、パーム油のための環境基金とかの取り組みが紹介されていて
これもまた立派なことだと思うばかりである

とはいえ、現在、すでに、人類のシステムに組み込まれてしまっている
こういった農業漁業の在り方を、地道に変えていくというのも重要だが
それではやっぱりうまくいかないというか、その生産力の肩代わりはできないのは
なんとなしわかるところで、だからといって、それを解決できるかといえば
今はまだ、何もわからないといった感じもして歯がゆいのであるが
仕方ないとも考えてしまうところであった

大量生産については、大量消費との表裏一体な部分もあるし、
その効率化によって、支えられているという部分も否定できず
でも、大規模農家は一定のラインを超えてしまうと、
規模の効能がなくなるということもあるらしく、ほどほどでやるという
一番人類が難儀とするそれを強いられざるをえないという
まぁ、それこそが持続可能社会かとも思ったりするわけだが
なかなか難題揃いのようでありました

個人的に興味深いと思ったのは、酪農が40頭を上限として、いい感じの面積でやっていけば
家族一つ食べていくくらいは稼げるというお話で、
このあたりも、しっかりと読み込んでないので、それがどれくらい本当なのか
あるいは、そういう人が何人まで保たれるのかによるよなと
みんながやりだしたら暴落するそれから逃れながら、うまくやる方法が
あるのかないのかと考えさせられるところながら、
ちょっと希望のある話しだなと読んだのであった
これもまた、突き詰めてしまうとカーストの徹底に繋がってしまいそうで
案外古い人類はちゃんとわかってたんじゃないかと
今更ながらに、無責任でテケトーなことを思ってしまったのである

資源のグローバルな移動だとか、
色々と考える要素が多すぎて、本当にどれが正しいとか
まったくわかるはずもないが、何かしなくてはいけないけど
一発で解決とはならない、そういう問題を扱っていて
面白いと思って読み終えたのである

【読書】話が通じない相手と話をする方法

2024-08-26 21:03:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
話が通じない相手と話をする方法  著:ピーター・ボゴジアン

割とセンセーショナルなタイトルのようにも読めるが、
対話とは何か、そのための方法と努力について書いた本で
大変ためになる内容であった
これは、昨今のキャンセルカルチャーしかり、SNSではびこるいったもん勝ち、エコーチェンバーに
なんとか対抗するというか、古式ゆかしい対話という人類の英知について語っていて
よい本だと思いつつ読んだのである

とはいえ、流石はディベート文化の国だけあって、
言い負かすという話し、そういう行為についてのあれこれの知識や知見が豊かだなと思ったのだが、
そうではなく建設的に物事を進めるための努力という、
ごく当たり前のそれについて、かなり詳細に記していて、
そうではない、口喧嘩によっぽど困っているというか、
実際、現状日本ですら、そういうこと多いよなと思っているところ
対話の大切さというものが身に染みるようで面白かったのである

とはいえ、読んでいると、途中で何度も注釈が入るけど
結局、自分が口喧嘩を吹っかけていることになりかねない、
そういう人をイデオローグと呼ぶそうだが、対話のふりだけで聞かない人になってないか
それが、自説を押し付けるためにこれらのテクニックを使ってないかということにも
かなり文章が割かれていて、このあたりは表裏一体だし、
だいたい自分は正しいとそもそも思っているから、このくびきからは逃れられないのではないかとも
思ったりしつつ、さりとて、建設的でありたいという気持ちのまま読み進めたのでありました

相手の気持ちになる、相手の話を聞く、拘泥しているところに付き合わない、
相手の逃げ道を用意しておくなどなど、交渉において大切なことがいっぱい書かれていて
これは全部覚えておいて損はないなとも思うのだが、
この通りにやってしまうと、下手くそな場合、相手の逆鱗に触れること必至だなとも思ったりして
対話の難しさを改めて思い知ったのでありました

自分から答える、そのために、相手に質問をさせるとか
こういうテクニックかっこいいなーと思うのだが、
日本語でというか、自分の身近でこれをやると
いかにも勉強してきたテクニックを使っている感じがひしひしして、
というか、日本語の会話の中でこういう感じの論法って出てこないよなと思ったりするんだが
そこはビジネス会話として、びしっとやるべきなんだろうかとか
色々考えさせられるのでありました、
そういうのに引っ張られ過ぎると、テクニック披露が目的になってしまって、
本来の対話にたどり着かない可能性も高いよなぁと
読めば読むほど難しさが増してくる問題だと思って読み進めたのであった

話しが合わない人というのは絶対いるけど、
そういう人と対話をするということ自体は、とても大切だと思うので
なんとか、ちょっとでもものにできるといいなーと読みながら思ったのである

【読書】方舟を燃やす

2024-08-21 20:55:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
方舟を燃やす  作:角田光代

ちゃんと読めたかな
そう不安になってしまうくらい、読んだ感想に自信が持てない小説だった
面白かったという安易な言葉が使えないけど、書かれていたこと、
それを読んだということはとても楽しかったと思っているわけだが
タイトルの意味はさておき、ここに書かれていた物語は、
あるいは、物語ではないのかもしれないと思うほど
自分の身に覚えが有るというのと錯覚しそうなくらい、
そこらにありそうだったものを描いていて、凄く興味深く、面白かったのである

序盤から、代表的なオカルトを信じているかどうか、
そういう時代を過ごしたという少年期の話があって、
それを下地にしながら、長じてきてなお、オカルトがまだはびこっている
それはもはや、オカルトではなく、新興宗教への信仰であったり、
何かしらの疑念、陰謀論への幕開けであったりといったことが
ずっと不穏に続いていて、その中で、まぁそういうこともあるな、ないなと思いながら
明確な答えはなく、かといって、それを否定や賛成もできない宙づりのまま、
そうだと信じた人を見たり、信じないという人をみたり、
その一見をもとに、そういう人だと判断していた自分に気づいて
後日、かつてオカルトを信じた人が、新興宗教を否定していることに戸惑ったりと
このあたりの機微が、ものすごくリアルというか、世の中だいたいこういう感じよなと
物凄く納得しながら読んだのでありました

物語は、そういう不穏な時代、そしてそれは事実というか、
実際にそういう日々であったと思わされるほど、ある意味史実通りなんだが、
その中に、きっとこういう人たちがいて、その場にいたらこう考える、
そう考えた人がいてもおかしくないというものが見えて
とても考えさせられる内容になってて、凄くよかったのである

まったく事件らしい事件は起きないといっても過言ではない、
実際は、様々な大きな事件があって、そこに付属する自分の所属しているところでの何かがあって
それは人のなかで、それぞれにある思想や想いとリンクしていてと
まあ、なかなか考えさせられるところばかりで、これからもずっと続いていくんだなと
妙な納得のようなものを覚えるのでありました
本当、小説として、エンタメとしての事件は一切ないが、
生きているだけで、そういうことにずっと包まれているような感覚は
覚えておいて損はないというか、そういうものだなと
改めて思い知ったような感じがして、凄くよかったと思うのである

タイトルがまた、象徴的だと読み終わったら感じ入ったのだが
その感想もまた、あたっていない気がしていて、
でもこの瞬間、確かにそう思った自分はいるなと
そこが重要なのかとメモっておくのである

【読書】Mine! 私たちを支配する「所有」のルール

2024-08-19 20:55:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
Mine! 私たちを支配する「所有」のルール  著:マイケル・ヘラー  

人間の根源的な欲求なのか、性質なのか、
「所有」の概念の強さと、それをうまくコントロールする方法を記した本で
非常に興味深くて面白かった
子供が「私の!」と叫ぶというのは、英語圏ならタイトルの通り「Mine!」になるわけで、
これは万国共通なようで、確かに、自分の物だと思うことと、
それに引っ張られることの多さは色々あるなと感じるところ
大人になっても、一度自分のものと思ったら、それの価値があがってしまうという
実験結果もかなり面白くて、このあたりは、引用もされていたが
行動経済学的にも興味深い内容なのが大変楽しい

それをうまくコントロールすることで、
全体をよりよい方向へ導くことができるのではないか
そのあたりが、この本の目的において大分大きな地位を占めていたと思うのだが
法律のデザインとして、所有の性質を使うことで、
人の流れや行動をコントロールしてしまえるというのが面白く、
たとえになっていた、野球のホームランボールは誰のものかというのが、
一つの事件をきっかけに、うまくデザインしたものを出してさえいれば
その後、かなり整ったゲーム運用、あるいは興行を行えたのではないかというのが
面白いと思ったのである
まぁ、机上論と実際は乖離するものなので、割と夢物語かもと思ったりもするが
早い者勝ち論の根強さと、それを打破することというのは
案外簡単にできることもあるようだし、直観的なもので法律に相容れていないというのは
知っておくべきだなと思うばかりである

何かが誰かのものになるという論拠をどう示すかというのは
考えるほどに面白いところで、根源的な早い者勝ちというものも
具体的に早いとは何を示すかというのも面白いところで
また、それを手に入れるために費やした労力に報いるという考え方もまた
すんなり受け入れられそうだけど、明示ではないなというのも
大変楽しいのである
結局誰かのものというのは、ちゃんと話し合って
当事者同士の納得を持つしかないということかと思うほど
そんなこといちいちやってられない世の中をどうやって回すかは
大変楽しい作業だと思ったのであった

著作権に対してのルールの面白さはずぬけていて、
ミッキーマウスの賞味期限というのは、それを守り続けることによって
創造を阻害しているという視点はまったくなかったので
なるほどなと思ったところ
そこに、ロビーされていたのかもしれないとすら思えるほどで
根っこにおいておくものが何か、今一度考えておかないと
これから先、もっとそういう事案が増えていくんだろうなと
先行者有利をどこまで引き延ばさせるかというのの難しさがわかる
いい本だったと思うのである

【読書】タイムベンダー 時を歪める者

2024-08-14 21:05:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
タイムベンダー 時を歪める者  作:タイン・トゥーバー

SF小説なんだと思うのだが、
結構マジ物のオカルトのようでもありという、
若干怖さを覚えながら読んでしまったんだが、上位者の存在と運命を描いた小説でした
のっけから、知った名前がいっぱい並んで、
ジョンレノンやら、ミックジャガーやら、プレスリーやらと、
そういう音楽系のお話かとも思ったりしていたんだけど、
その音楽が、そういう上位者を理解しているものの力であったというような
そんなお話でありまして、まぁ、そういうこともあろうか
どうかしらねと思いつつ読んだのであります

SF設定的には、ありそうな、外宇宙とでもいうようなところもあわせて、
地球外に様々な生命体、それも知的なそれがいて、
そういうのがいくつか寄り集まって、地球というちょっといい感じの惑星に
あれこれやってきていたり、そこで何かしていたり、
でも、それは、一番大きな、あるいは、高みにある上位者の仕業とでもいうような
そういう導きの結果であるみたいなお話

主人公は、その導きのさらなる先へと行く何かを知っている
そういう定めを背負っているといえばいいか、ある種の覚醒者みたいなものだと
そんな感じで、気づくと、ミュージシャンとして活動しているんだが
ヨガやったり、なんだかんだで、だんだんとスピリチュアルの開発が進み
それに伴って、上位者からの使者のようなものと対峙したり、ある種の対決になったりと
じたばたしつつ、着実に目覚めが高まっていくといった内容でありました

しかし、謎の滅茶苦茶美味しそうなチョコレートとか、
もうこれは、完全にハーブあるいはドラッグ的なそれだろうという描写が
随分ふんだんに盛られていて、作者がいっそ、葉っぱキメながら書いてんじゃないかと
勘繰りたくなるというか、いや、スピリチュアルは結局そういうこととつながる
あるいは、そういうことの先にあるものなのかとか
色々考えさせられたのである、でも、凄く楽しそうでいいなーとか思ってしまう

様々な導きと出会いがあって、
宇宙の真理に近づくというお話のようでもあるし、
啓蒙する宿命を描いたともいえるような
不思議なお話でありました

【読書】死んでから俺にはいろんなことがあった

2024-08-12 21:14:22 | 読書感想文とか読み物レビウー
死んでから俺にはいろんなことがあった  作:リカルド・アドルフォ

大の大人が迷子になる話し、
で、間違いないわけだが、家に帰る帰れないというのが比喩というか、
故郷(くに)に帰れないという意味でもあるような、
そういう境遇と、どうしようもない運命というのを描いた作品と
かっこよく解釈できそうでもあるんだが、
やっぱり、ただ、迷子になって、路頭に迷っていた家族の話しだよなと
改めて思うのであった、崇高ではないとした方が価値があるというか
教訓めいたものなんてくそくらえだと、そんなメンタルで読むべきもののように思う

「くに」と呼ぶところから、亡命のようにして「島」へやってきた、
移民親子のお話なのだけども、主人公はその逃げている父親で、
これがまた、やることなすこと酷いことにしかならない男で、
のっけから、そのやらかしが始まって、気づいたら家に帰れなくなるという
そんなことあるかなという展開で驚く
これがまた、ろくでもないというか、本当にツいてもいないし、
何より、浅慮甚だしいので、おおよそ悪い結果しか招かないことばっかりやって、
どんどんと路頭に迷っていく物語で、
ただただ読んでいると、なんか、イライラしてくるというか、
哀れであるんだが、憐れむ気持ちにはならないし、
なんならむかつくといった感じだけど、最終的には憎めないというか、
もう、どうと考えたらいいかわからない感情を抱いてしまう

なんだかんだ、かっこいい場面があったりなかったりしながら、
ただ、根っこのところはいい奴と言っていいのか、
妻と子供のことは本当に愛していて、そのために、なんとかしようと空回りしてという
笑えそうで、笑えない哀れをはらんでいるわけだけども、
最終的には、凄いたくましいので、心配して損というわけでもないが、
もう好きなように生きていけお前わ!と送り出したい気分になって終わったのである

酷い目というか、なかなか困難に見舞われているんだが
その原因が間違いなく、本人にあるので、仕方ないともとれつつ、
でも、ものすごく大きな目で見ると、移民というものの哀れというか
異邦の民という生き方の辛さみたいなのが見てとれるようでもあって
趣深く読んだのでありました

まぁ、楽しいと手放しで喜ぶタイプの小説ではなかった

【読書】台湾漫遊鉄道のふたり

2024-08-10 21:05:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾漫遊鉄道のふたり  作:楊双子

発売された台湾で、売り方、作り方でも話題となった作品だったそうで
読み終えて、種明かしを見るまで、そうなのか?なんて騙されてしまったんだが
非常に楽しく読めたのでありました
公式からして、グルメ、鉄道、百合とうたって、百合ってそんなメジャーな単語になったのかと
いわゆる、女性同士仲が良いことのたとえで、ヲタクがよく使うそれだと思ってたんだが
まぁ、その割にはずいぶんとライトな感じで、女学生の友情でもない、
恋情があったかというと、そこまででもなかったような
そういう関係を描いていて、まぁ、そこらはさておき、面白い小説でありました

二次大戦前の統治時代における台湾のお話で、
台湾本島へやってきた、日本本土の女流作家が、現地で通訳をかってくれた女子と
鉄道旅をぐるぐる続けるといった物語、
途中、様々な土地の食べ物の紹介があって、それをかたっぱしから食べていくんだが
実際、そんなに食えないだろうと思ってしまうが、
まぁ、そこは物語と割り切って、とめどなく、美味しい美味しいと食べる姿が
実によいなと、実際食べてみたくなるものばかりで楽しかった

料理名などの単語も、基本的には台湾語発音で読み仮名が表記されているので
最近流行のあれこれとは異なるわけだけども、いずれも今もって
各地で作られている伝統的なそれこれ、いや、もっと通俗的に
ただ食べられている日常の食べ物というのがよいところで
独特の味や風味を面白味として満喫していく姿が実によいと思うのである

物語は、そうしながら、女流作家が、なかなかこころをひらいてくれない通訳女子に
あれやこれやと気をもむという話しでもあるんだが、
種明かしでもない、真実の部分については、そういうのはおいといて
世間一般に、今も様々なところで持ち上がりそうな問題にもならない問題、
無意識の差別とでもいうような、厳然とした格差とそこを超えるということで、
日本人として平等をうたうのに、うたう本人が気づけばその人を貶めていたのではないか
そういう気づきを得て終わるというのがすごくよいところで
切ない物語ではあるものの真実とはこういうところにあるなと
感心してしまうのでありました

百合とされていたけども、その淡い恋情めいたものが
はたしてあったのか、それは誤解であったのではと思うような
上述の話しもあったりするので、和気あいあいと女の子がごはん食べて楽しいと
そういう物語になっていないのがよいところと思うのでありました

最近問題になっているというか、どうも誤解してしまいがちな
台湾は仲良しという日本からの一方的な思い込みが
この関係に詰まっているようにも読めて、
襟を正す想いを抱くのであった

【読書】八秒で跳べ

2024-08-07 20:50:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
八秒で跳べ  作:坪田侑也

バレーボールを扱った青春部活小説でした
読み終わって、いかにも、思春期というか青春の時期にありそうな
浮き沈み、心の動きを描いた小説で、
ああそういうことが、あったような、なかったけどあるようなと
気持ちよく青春疑似体験できるのが素敵で
バレーボールなんてやったこともないくらいだけど、なんとなし、
男子学生が部活で、怪我で離脱してという不安と呼ぶのかわからない
自身がどうなのかわからなくなる状態というのを体験して、
その戸惑いの内に、同じような境遇の仲間が見つかったり、
あるいは、今までの友人とも異なる面から繋がるようになったりと
本当、よくある青春の一ページが、それこそ何ページもでてくるといった感じで
大変よかったのでありました

バレーボールに対する疑念ではないけども、
主人公が自分の立ち位置、生き方に疑問を持つというきっかけになっている、
でも、それはきっと、怪我というものによって表面化させられただけで
前からそうだったとは、本人は決して気づかないのだけども、
その中で、はっきりと自分を見つけ出していく、あるいはそう見えるように
成長のようなそれまでとの違いが生まれる瞬間が切り取られていて
凄くよかった、象徴的である、バレーボールにおける八秒というものが、
そのきっかけを与えるものになってるのも
なんというか、とてもかっこよくてステキだ

一方で、恋仲とはまた異なる感情を抱く、自身の夢に押しつぶされそうになっていた漫画家志望の女の子と、
その創作に行き詰ったところのやりとりだとか、そういう、異なるものとのふれあいもまた
自身の何かを埋めていくような、新たな部分を見出すような感じになっていて
まぁ、青春時期は全部が全部、そういう風になるもんだよなと
まばゆくてしかたないと思いつつ見るのだが、
どれも、まっすぐで、純粋な悩みであり、揺らぎであり、
そしてそれが不安というものだと改めて思い出すような
実によい青春小説を読んだと、しみじみかみしめたのでありました
気持ちがいい物語だった

【読書】DV8 台北プライベートアイ2

2024-08-05 21:06:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
DV8 台北プライベートアイ2  著:紀蔚然

1が、ちょっと前だと思ってたら、10年越しの2にあたるのだそうで
そんな前のものだったのかと衝撃を受けつつ、楽しみにして読んだ
1990年前後くらいの台湾、台北を舞台にした物語なんだが、
その頃の風俗というか、暮らし、治安、様々なものが見えて
とても面白い小説でありました

諸々あって、淡水に移り住んだというところから始まり、
また、怪しげな私立探偵として、のらりくらりの仕事をこなしていくのだが、
今回も、依頼としては一つなんだが、解決したのは、2つ、あるいは3つといったところで
割と長いけど、それぞれ面白いお話でありました
それぞれとか書いてしまうが、実際は連続事件みたいなものなので、
1つであるのだけども、解決までの道筋が、すんなりしているけど
答えの方が複雑で時間がかかるというのが
珍しいというか、面白い内容だなと思うのであった

舞台として、現在の新北市にあたる、三重(サンチョン)が舞台になってて
まぁ前の話しでも、そのあたりからバイクでやってくるやつは
だいたい悪い奴(不良)しかいないみたいな扱いだったので、
あんまり変わらない気がせんでもないが、
現在の三重あたりからは想像もつかないような田舎、畑なんかもいっぱいあって、
やくざ者がごろごろしてて、治安最悪というのは興味深いところ
そこにちょうど開発が始まるくらいというので、
まさに今の台湾に繋がってくる話しだなと、近代史ものとしても面白いと感じるところ

とはいえ、史実を扱うわけではなくて、
その頃に誘拐が流行っていたという、台湾の犯罪史的なものが興味深く、
実際そうだったんだろう様々な事件、その中の架空の一つとして
今回の依頼の発端があったりして、心理学的なアプローチとかも織り交ぜて、
過去と現在の、様々な点がつながっていくというのが面白かった

最終的に、ある種の運命論のような話しにまとまっていくのも
時代と地域性といったものを感じられて面白く、
そういうものかという、合点がいったのでありました

サポートしてくれる仲間たちというのが
これまたなかなか楽しくて、別に、アクションが派手に起こるわけではないので、
地道に情報を集めてくれるという様々な人たちが、
まさにその人間だからこそという特技というか、行動によって
色々な事実を集めてくるというのが面白い
武侠っぽさとは違うんだが、人の縁による解決というのが根っこにあって
とても楽しく読めるのであった
前回みたいに、もうちょっと民間信仰とかが溶け込んでる姿とか
多分この当時はもっと濃かったんじゃないかなと思うので、
そういうところが見たいようにも思うのであるが、これは私が外国人だから願うことなんだろうか
でも、18×2の時も、出社前にお参りしていく話しとか突っ込んでたしありそうなんだけどなぁ

また、続きが執筆されているとのことで
是非読みたいと思うばかりだが、
はたして刊行がいつになるやら、ともあれ、楽しく読んだとメモっておく

【読書】なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術

2024-08-03 20:55:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術  著:トッド・ローズ  

いわゆる集団心理や、同調圧力といったものについて語った本でした
序盤で、どういう種類の「思い込み」が存在するかという話しがあり、
それを打破したという事例をいくつか並べて、
最終的には、そういったものがあふれているので、
勇気をもって、自分が正しいと思うことを信じようと
まぁそういう話しで終わったと思うのだが、
確かにその通りと思うと同時に、これを悪用することが
最近増えてるんだろうなと思わされるばかりでありました

なんとなく、早合点というわけでもないが、
SNSによる弊害の一つに数えてしまいそうな、
なんとなくそういう雰囲気というやつなわけだけども、
SNSに限らず、昔からそういった迷信めいたものはあり、
また、古くなって今となっては役に立たない規約だけが、形骸化して残り続けるということも
この範疇にはいるわけで、そう考えれば、
世の中そういうことがいっぱいだよなとも思うのである
これの難しいところは、それが、形骸化したものなのか、
実際は未だ正しく機能していることなのかがわからないというあたりで、
この本の通りに、あれこれを打破してしまうと、
割と、倫理とでもいうような、暗黙のルールによって保たれていた治安なり、空気なりが、
文字通り破綻して、悪化というか、化けの皮がはがれてしまうといった感じに
なりかねないという恐怖も覚えるのでありました

とはいえ、これを悪用して、信じさせよう
あるいは信じてしまうというカルト化みたいなことも常態化しているので、
基本的には打破することありきで考えた方がいいのか、
でも、そんなことばっかりだと、話し合いや協調といったものが存在しなくなる
それらの有益なものと、害悪による思い込みの区別がつかないまま
すべて駆逐されるという酷いありさまが浮かんでしまうのだけども
そこへは言及がなく、なんとも、もやっとしたのでありました

そういう難しい思想的な話しはさておいて、
すっかりできないと思ってしまっていた、そういう空気を解消するというのは大切で、
盲目的に何かを当たり前に受け入れるということに
ワンクッションおく、そういう人がいるという事実をもう一度見るというのは
とても大切なことだなと思わされたのでありまして、
なかなかためになる本だったとメモっておくのである

【読書】定食屋「雑」

2024-07-31 21:05:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
定食屋「雑」  作:原田ひ香

大仰ではない、女性が生きていくうえで自立をする話し
と読んだけども、どうだろうか

旦那が家に帰ってこず、居酒屋で美味しくもないものを食べている、
そういう現実に、美味しい物を正しく食べないとと、やや押しつけがましい妻が、
想いではなく、生き方を新たにしていくというお話で、
キャラがうまいというか、こういう人、いっぱいいそうだなという
ほどよいわがままさというか、自分正義の強さみたいなのが
実にリアルで、そこで折り合いが合わないという、心の狭い男もまたと
思わなくもないのだが、その陰に女があったりするという
これまた、しょーもない感じも含めて、今そこにある問題っぽくて
とてもよかった

結局はそういう夫婦間のそれこれというよりも、
居酒屋「雑」の女主人との関係、そこで得るもの見るものというのが重要で
不思議な縁もあわさって、人生そのものが大きく変化していくというのが
ドラマチックというには、ノー天気すぎる感じだけども
コロナのこともあいまって、色々と変化せざるをえない、
受け入れていくといった感じが、それぞれのキャラクタがうまく補完しあっているようになって
難着地したというのが面白かったと思うのである
基本的に、なんだかんだ、前を向く内容で終わるというのがとてもいい

ちょっと、一人称が入れ替わりすぎて
一瞬わけわからなくなったりとしたんだが、それはそれとして、
出てくるキャラクタそれぞれの心情が、言葉ややりとりに出てこず
内面での言葉として出てくるのが、小説的でいいなと
こういうことあるなーと思いつつ読んだのでありました

生きていくのは簡単ではないという話しでもないのだけど、
割とうまくいっているように見える、今はそれで充分という
そこで生きていくという姿が見える小説で
非常によかったとメモっておく