goo blog サービス終了のお知らせ 

CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】流星ひとつ

2016-06-13 21:29:16 | 読書感想文とか読み物レビウー
流星ひとつ  著:沢木 耕太郎

ちょっと時間経ってしまいましたが、
事件といっていいのか、藤圭子さんがどうしてしまったとき
ひっそりと出版されていた本であります
まず、沢木耕太郎を読んだことがないので、
有名なシリーズとどれくらい違うのか、いつもこうなのか
そのあたりはぜんぜんわからなかったのですが、
藤圭子という人については、わかったよな気になったのでありました

あとがきを読んでしまったので、
感想がそこに引きずられてしまうのですが、
二人の会話のみで文章が成り立っていて、
インタビューと称してあるわけでありまして、
生々しい、書き起こしの議事録みたいな感じであります
いや、議事録ってそういうもんじゃないだろうと
そういうのはわかってるけど、そこはそれだ

藤圭子さんが、引退するというとき、
なぜ引退するのか、そもそも、藤圭子さんの生き様はどうなのかと
そのあたりを沢木さんが質問しながら、
藤圭子さんに答えさせる、語らせるという形で進みまして
これがずいずい、読まされていくのでありました
いい質問と回答というべきなのか、
そういうフィクションかもと思わなくもないんだが
それはそれ、沢木さんが狙ったとおりの
語り口から現れるドキュメンタリであったように
読めたのでありました、面白かったんだ、つまるところ

個人的には、時代だなぁと感じる部分が多く、
いわゆる旅芸人のような夫婦のもとに生まれて、
なんとなく歌を歌うようになったら目にとまりと
そこからスターダムになる
お金を手に入れるというまさにそれを経験し、
なんというか、とてつもない人生であったろうなと
今でさえ思うところであります
この頃の貧乏人というのは、今のとまたもっと違ってと
いっていいのか、いけないのか、
わからんが、あれこれ想像するしかない世界が
垣間見えるようで興味深かったのでありました

引退については、のどの手術が影響したと、
どうやら当時もいわれていた通りの理由でありましたが、
そこへの想いの強さ、そして、おりおり出てくる
目の見えないお母さんの話が、なんというか
ぐっと胸にくる、今、きっと聞くことがないというか、
昭和だからこそより一層と思える境遇なんかが
とても、読んでいて胸にささったのでありました

いい本を読んだと、読み終えてつぶやいた次第であります
合掌