CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】よろずのことに気をつけよ

2018-06-04 21:51:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
よろずのことに気をつけよ  作:川瀬 七緒

著者の代表作としてあげられる一冊であります
ようやく読むことができました
これを読んでから、いつぞやの女学生話を読むべきだったなと
ちょっと反省するくらいでありますけども、
因習を扱った、ややオカルトめいた殺人事件話でありました
かなり荒っぽいけど非常に面白い小説だった

祖父を殺されたという少女が、
呪いなんかを調べる文化学者のもとを訪れるところから始まり、
その殺された状況を調べていくに従い
謎の呪術師集団みたいなのが見え隠れしてきて
それが、過去から連綿と受け継がれてきた
日本の因習にまつわる闇めいた感じでと、なかなか楽しい話題なのであります
殺され方だとか、様々なグロテスクな部分が
秀逸きわまりないのは、この作品でも際立っているのでありますけども
それを置いて、おどろおどろしさといえばいいか
表舞台には決して出てこない因習というものが
各地の村々にはあり、それが今なお続いているという
地続きの恐ろしさが、呪いというキーワードで繋がるのが
まぁ、なんとも、後味悪いといったらいいか
ともかく、事件の真相は、まぁそういうところだろうなと思いつつも
この因習に少しずつ近づいていくというのが
ドキュメンタリではないけども
物語として非常に面白い小説でありました
謎解きがどうしたというよりも、このスリル、解いて行くにつれて
よくないことに近づいていくという感じ
誘蛾灯に引き寄せられるとはこういうことかみたいなのが
大変楽しいのでありました

人間の怨念というものが、どれほど重いものか
そこかしこに、そういったものを背負って生きている人がいる
そして、それがどのように人間を縛っているか
最終シーンなんかがとても印象的で、
ネタバレに当たらないだろうけども、
複数の老人にまとわりつかれるという物理的シーンが
本当にもう、目の前に広がったかと錯覚するくらい
別に描写がどうとかではなく、それまで積み上げてきた呪いというイメージが
その根幹の部分と交わって、脳内に広がっていくようで
いや、不気味な体験だけども
生きるというか、そういうものだよなぁと
感覚的に理解したようで面白かったのでありました

相変わらず、痛々しいし、二度とごめんだという状況が起きるんだが
それを含めて、非常に読み応えのある
面白い小説でありました、後半になるに従い
スピードアップしていくみたいに、物語に引きずり込まれていく読書ができて
大変満足でありました