goo blog サービス終了のお知らせ 

CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】西遊記

2018-06-27 21:20:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
西遊記  訳:中野 美代子

大シリーズであります
岩波文庫の西遊記全10巻をようやっと読破
御伽噺といってしまったら、あんまりだけども、
妖怪たちときったはったしながら、天竺目指して三蔵一行が旅をすると
そういう物語であります
その原本というか、古典に属してくる基本的なそれを読みました
なかなかに面白かったし、勉強というか、
色々思うところの多い読書となったのであります

西遊記と、なんとなし知っているようなそうでもないようなと
そんな感じから入ったので、どこが知っている話か、
あるいは、どこでそもそも知ったのか
今となってはわからないのでありますけども、
天界で大暴れする孫悟空から、それを使役して三蔵法師が旅をして、
途中で、八戒と悟浄を弟子にしてという大枠の話に、
牛魔王との戦いや芭蕉扇の活躍、金角銀角との戦いだとか、
有名なそれこれを堪能しながらも、
そもそも、三蔵法師が仏教の経典を貰いにいくというお話なので、
ところどころ、仏教的な道徳エピソードが混じったりして
なかなか読みどころの多い内容なのでありました

まぁ、なにはともあれ、読んでみて一番驚いたのが、
三蔵法師が、全然立派じゃないというか、
むしろ、駄目人間なんじゃないかというくらい
常におろおろしているし、言うこときかないし、
トラブルばっかり招いてくるしと散々なところが新鮮というか
驚いたところなのであります
もっと、孫悟空の言うこと聞いておいたらすんなりいくのにというところが
物凄い難関になったりして、まぁ、終わってみると
その難関を潜り抜けたからこその
天竺での経典を手に入れるそれに繋がるという話なので
仕方ないとも思えるんだが、
流石に飽きるというくらい、何度も、騙されたりなんだったりして
窮地に陥るというのが衝撃でありました

八戒も相当のろくでなしであったりしつつ、
そんなとんでもない一行が、なんだかんだ
妖怪を倒して、だんだんと功徳を積んでいくというのがステキなのでありました
途中で、仏教をないがしろにしている国だとかで
仏教を示すため、活躍を披露したりというのも
味が変わって面白い内容だったのでありますが、
だんだんと、孫悟空が改心でもないけど、立派に成長していくようにも思えて
微笑ましく読めるのでありました

最終巻がこれまた衝撃的でありまして、
最後に天竺というか、天界にたどり着くといった段になって、
三蔵の肉体だけが川を流されていくというシーンが出てくる
これを見て、孫悟空や八戒なんかが、ようやく解脱した万歳なんていう
喜びを披露しているんだが、
この描写でもないけども、肉体が滅びて魂だけが残るというのが
いかにも仏教的ながら、恐ろしいものを見たようにも感じて
読んだのだけども、絵が浮かぶように衝撃を受けたのでありました

このほか、道教とのいざこざだとか、
唐や宋の時代に、あれこれと問答をしていたと思われる
宗教的な対決なんかも織り交ざっているので、
そっちに興味がある自分にとっては、非常に面白い読み物であったと
胸を張っていえるのでありました

ともかく、どういう物語だというと
荒唐無稽な冒険娯楽小説なんだが、
長い歴史で培われた物語の面白さと、そこに供えられた、
あるいは織り込まれた文化や機微みたいなのを堪能できて
非常に面白い読書をしたと、満足なのでありました
奇書とはよくいったもの、非常に面白い物語であった