CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】樽とタタン

2018-08-18 21:43:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
樽とタタン  作:中島 京子

あいかわらず不思議な物語でありました
連作短編で、少女が喫茶店の樽に入って過ごす
そんなお話なのでありますけども、
小説家崩れやら、男色の気がある神主やら、売れない役者やら
様々な変わった人たちが出てきて、
なんとも事件ともいえないような出来事について
つらつらと、少女の思い出語りで描かれる
不思議な物語だったのであります
終わったあとに、ひょっとしてこれって…なんて思わされたりして、
実際どうだったのだろうか、
誰かと語り合いたい気分になったんだが、
ともかく、少し寂しいような終わりがまた
いい塩梅できいている
そう思いながら読んだのであります

思い返してみて、一話目というか
最初の短編における小説化と「はくいなを」なる人物の話しが、
そもそも、この短編集すべてを言い表しているんじゃないかと
いつぞに読んだリドルストーリーなるものを
ちょっと思わされるようなところが
粋でステキだったわと思っているのでありますが、
男女の機微でもないが、様々な人情
人間模様が出てきて、不思議と傍観させられるような
なんとも形容しがたい気持ちになるのでありました
というか、感想を書くにつれて、
そもそも登場人物の誰が、どこまで本当に居たのかということが
だいたいにおいて、明かされていない
今、私が個人的に想像しているよりも
深すぎるオチを内包してんじゃないかと気付いて
なんともおろおろしてしまってんだが
ともあれ、ネタバレとならぬようにと思えば
面白く読んだし、なんかあれこれ考えさせられて
オチはどうなのか
読んだ人に聞きたいと
そういう感想しか書けないなと思ったのでありました

そう考えると、もう一回読みたいと思うような
味のある、不思議な小説であったと
この作家さんの魅力を
遺憾なく堪能できたと思うのでありました
この不条理ではない不思議さと、小さなずれみたいなのが
たまらなく好きだな