鯖 作:赤松 利市
ある漁船団に訪れた悪夢
そんな物語だったように思うのであります
なかなかに入り組んだ事件というか、
ある罠が仕込まれていき、それが発動するというべきか
ともかく、主人公の狂気と紙一重の思考と境遇と、
ふりかかる悪意や、陰謀といったものが、
勢いつけて流れ込んでくるような印象でありました
鬱屈した主人公、その視点から描かれるそれぞれの人物像、
このあたりが肝でありまして、結構な長編だけども、
描いていることは、どことなく、芥川賞的なそれというか、
人間の闇やら膿やら、なんかよろしくないものを
ありあり描いていたようで、読み応えたっぷりでありました
おんぼろ漁船で、団といいながら一隻だけ、
しかも、年寄りの所帯でどれもこれも酷いという有様の中、
それぞれが、その年齢までの技と何かを持っている、
だけどそれもまた、虚しいといえばいいのか、
それが、ことの大きな何かには
何一つ役に立たないというか、
本当に虚しいとしか思えないのがなんとも残念で、
滅び行くものが、最後に利用されて果てた
そう読むこともできたような
悲しいといえばいいか、形容しがたいものがたわる物語でありました
正直なところ、だいたいの黒幕やら、なんだかんだは、
早いうちからわかってしまうんだけど、
それはあまり大切なことではなくて、
そこに至るまでの団員、船員たちの考え方、行動が面白くて、
ずいずいと引き込まれたのでありました
人間ドラマというのが、小説では一等面白いと
改めて気付かされたようでもあって
なかなか楽しめた一冊でありました
ある漁船団に訪れた悪夢
そんな物語だったように思うのであります
なかなかに入り組んだ事件というか、
ある罠が仕込まれていき、それが発動するというべきか
ともかく、主人公の狂気と紙一重の思考と境遇と、
ふりかかる悪意や、陰謀といったものが、
勢いつけて流れ込んでくるような印象でありました
鬱屈した主人公、その視点から描かれるそれぞれの人物像、
このあたりが肝でありまして、結構な長編だけども、
描いていることは、どことなく、芥川賞的なそれというか、
人間の闇やら膿やら、なんかよろしくないものを
ありあり描いていたようで、読み応えたっぷりでありました
おんぼろ漁船で、団といいながら一隻だけ、
しかも、年寄りの所帯でどれもこれも酷いという有様の中、
それぞれが、その年齢までの技と何かを持っている、
だけどそれもまた、虚しいといえばいいのか、
それが、ことの大きな何かには
何一つ役に立たないというか、
本当に虚しいとしか思えないのがなんとも残念で、
滅び行くものが、最後に利用されて果てた
そう読むこともできたような
悲しいといえばいいか、形容しがたいものがたわる物語でありました
正直なところ、だいたいの黒幕やら、なんだかんだは、
早いうちからわかってしまうんだけど、
それはあまり大切なことではなくて、
そこに至るまでの団員、船員たちの考え方、行動が面白くて、
ずいずいと引き込まれたのでありました
人間ドラマというのが、小説では一等面白いと
改めて気付かされたようでもあって
なかなか楽しめた一冊でありました