CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】小説 第4次産業革命

2019-12-02 21:36:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
小説 第4次産業革命  作:藤野 直明

小説と銘打っているので、小説なんだろうけども、
中身は完全にビジネス書というか、
第4次産業革命という、今日本以外で成長している
製造業のスタイルを紹介する本でした

中小企業を主人公にして、技術力はあるけども大きくなれない、
下請けに甘んじてしまうという会社の奮闘を描いていまして、
職人たちが高齢化して、また、その技術伝承が思わしくないと
いかにも聞いたことある現状を
どうやって打破するか、あれこれ試しつつ成功していく
AIとIOTと、なんだかんだで技術再現と
平準化、モジュール化ができるから
さまざまな下請け業務をリモートサポートできるようになると
まぁ、夢のような世界が広がっていたのであります

工業系のメーカーに勤めたことがないので
はたして、これがどれくらいどうなのかと
語るすべを持たないわけだけども、
日本の製造業が生き残るチャンスとして描かれるところが
なかなか興味深いと思われたのでありました
現在の日本の優位性は早晩、あるいはすでに
崩れているという部分に危機感を覚えつつ
そうならないために、製造業の在り方が大きく変わってきていると
考えさせられるばかりだったのでありました

もっとも、この会社の場合、
なんかしらんが、すさまじい加工技術なり持ってたから
成功したともいえるわけなんだが、
全部が全部そうはならないんだろうから
世の中、厳しくなっていくばかりだなと思うのでありましたとさ

日本発信といわれる、トヨタ方式が古びてきたと
そういう指摘から始まっているところであるのだけども、
トヨタ方式は日本のではなく、トヨタのであって、
きっと、トヨタではこの第4次産業革命的なプロダクトは
すでに実践してんじゃなかろうかとも
思ったりするのでありました
いや、この場合、アイシンとかデンソーとかの孫請けくらいだろうか、
ともかく、デジタルでさまざまなシミュレートができて、
高い技術力が必要なものだけを作るかのような部分や、
量産における高品質を保持するための方法とか
題目だけだったら、誰もが欲しがることばかりの内容でありました

資金繰りに困ったり、設備投資や取引先との関係とかが
一切というほど出てこないので、
昨今のビジネス小説からすると物足りないような気もしてしまったんだが、
これはこれで、夢の技術を語る成功物語みたいなところで
楽しめたと思うのでありました

まぁ、物語といいながら、かなり用語解説とか
実例紹介に割いているから、やっぱり小説ではないなと
思ったりもするのである