CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】禁忌の子

2025-02-22 20:55:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
禁忌の子  作:山口未桜

がっつりミステリを堪能できた
ややクラシカルなというか、テンプレートのような
探偵と助手というスタイルの物語なんだが、
主役たちは医療関係者で、警察はほとんど出てこないけど
殺人事件を解決のような、解明をする物語でありました

現代劇ではあるが、ずいぶん昔の医療にまつわる謎に迫っていくせいもあってか、
全体のつくりが古めかしいというか、タイトルの通りのところもふくめて、
ある種のノスタルジーを感じるもので、非常に面白かった

文章全体で、常に犯人は誰かを読み手に迫ってくるようなというか、
物語に集中するよりも、誰が何をという方に気をとられてしまうのが
気になってしまうところではあったけど、
次々と起こるイベントと、やがて潮目が変わるあたりの楽しさ、
そして最後の解明が直観的な解決と相容れない感じであるところまでが
非常に面白いと思えたのでありました
小説だからこそといっていいのか、倫理に挑む感じがすごく好きだわ

不妊治療の歴史というものも興味深いテーマであったが、
そこに潜む倫理のあれこれというのが、
そもそも医療の根幹にあるということに気づかされる内容で、
命と想いと、人間のその思惑というのが定義されている倫理観というのに
当てはまらないことがあるとしたら、
倫理とは何かということでもあるなと感じるし、
さりとて、そう定義しないといけない部分もあることもまたわかる
そんな風に思いながら読む部分もあれば、
自分のもう一つの運命であったものを見るなんていう
何かわからないもので別れたものを自覚する不安みたいなのも
非常に面白く思えたのでありました

まぁ、そういう話しになる前段で、そうじゃない自然なミスリードが入ってるのもよくて
全然的外れなことが、一見本当にそうなのかと思って読まされたけど、
そういうことではないというのに気づいていくというのが
読んでいて非常に楽しい体験であったなと
メモっておこう
けど、全体的に未来に対しての不安がどうしてもぬぐえないというか
怖いなと思いつつ読み終えたのである


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