CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】拝啓、本が売れません

2018-08-15 21:34:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
拝啓、本が売れません  作:額賀 澪

半分くらいはノンフィクションじゃないか
そう思うような、ドタバタドキュメンタリコメディでした
作者でもあり、主人公でもある額賀さんが、
デビューから今にいたり、
そもそも今の出版業界、いや、小説業界とは
どうなっていくのか、どうなってんだと
やきもきしながら、売れていくため
いや、食べていくためにどうするかと
様々な人に聞いてまわったり、訊ねてまわったりと
面白おかしい道中を描いているのでありました

若くして作家になり、何冊も出しているのだけども、
最近、いよいよ初刷りの数が減ってきたり
確実に、自分が死に向かっているのではないかと
己の出自でもある、ゆとり世代というレッテルと
戦ったり、自虐したりしながら
第一線で、今こんな世の中でも
流行っている本屋や本というものについて
学んでいくというものでありました
面白いことは絶対に必要だけども、
何かしら、仕掛けたり、売るための努力をしないと
小説というものはもう、なかなかどうして
食べていけるようなそれこれに
ならないのかもしれないと
そんな現実を、生々しくレポートしていて
大変興味深いのでありました

個人的に驚きだったのが、
文庫本になると、結構内容が書き直されているということで、
表紙が確かにポップになっているというか、
それまでと違う様相になるなぁとは思っていたが、
案外、内容のほうも、細かなところで調整されていたりするそうで
これはなかなか発見でありました、
というか、そういうことをされてしまうと
マニアだと、差分を読みたくなってしまうんじゃないのか
と、そこまで気付いて、円城塔さんが言ってた
小説はもはやアーカイブするしかないというのは
こういうことかしらとも思ったり考えたりしたのであります

とはいえ、ライトノベルというジャンルが凄く流行っているようにも見えるが、
それもまた、大変な努力があり、営業力や
メディアミックスするという力があってこそなのだというのが
なかなかに含蓄というか、当たり前の話で感激なのであります
アニメ化しやすいとか考えるのは愚の骨頂で、
なにせ原作が面白くなければいけないし、
面白ければ、難しいといわれても
そういうのを現実化する、アニメ化するというスタッフの仕事であって
知ったことではないというのも、なるほどなと
思わされたりしたのでありました

業界に詳しくないので、大変有名な人のインタビューも
掲載されていたと思うのでありますが、
本を売る人、と一口にいっても
様々な売る人というジャンルがあって
それぞれにプロがいて、みんな
大変に働いているのだなと、子供みたいに感動というか
なるほどなぁと思わされて読み終えたのであります

最終的には、この本そのものが
壮大な売るための実験であるというオチなんだけども
まぁ、それはそれ、面白いかもと思わされたのである

【読書】三千円の使いかた

2018-08-14 21:53:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
三千円の使いかた  作:原田 ひ香

何の気なしに読んだ本だったのに、
最近気になっている、個人投資というか
自分の老後や、お金をどうしたらいいか
あれこれ悩む人々を描いた小説でありました
なかなかためになって面白かった

それぞれに、人生上ありそうな不安や問題が発生する一家が主人公で、
おばあちゃんが、70を超えてどう生きていくか、
熟年離婚の危機がある親世代、
結婚を考えてみるが、なかなかうまくいかない子供世代
などなど、その友達、知人なんかも含めて、
色々な生き方の中で、お金のあるなしに一喜一憂して、
どのように過ごしていくべきか
悩み、共有してという物語でありました

投資をしましょうというのではなく、
家計簿をつけるところからまずはじめようと、
節約や、経済観念というのを持つことに対しての
啓蒙ともとれるような内容でありまして
非常にためになったというか、初心に帰るような気分で読めたのであります
あれこれ、どこでどう運用して、
お金をどうやって増やそうかと考えてばかりでありましたが
足元をみて、ちゃんと、出費と収入を自ら把握すること、
そして、未来の出費、自分の将来はどうであるか
ちゃんと考えることの大切さが
まぁ、しみじみ伝わってきて面白かったのであります
いや、身につまされたようでもあるんだが
まぁ、あれこれであるな

どう生きても真面目に考えていかなければならないし、
そう考えない人たちが山ほどいるし、
そういう人たちとも付き合う必要もあるしと
あれこれ、生きることは大変だなと思わされたりしながら、
日ごろのストレスというのが
案外自分だけがという独りよがりの気持ちから生まれているのかもとも
思わされたりして、なかなかどうして、
物凄く、よくある話が端的に、象徴的に記されていて
読んでうなったのでありました

と、書いてみれば、楽しかったのではなく
なんというか、興味を持って読んだ
そういう本であったように思うのである

【読書】大阪的

2018-08-13 21:47:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
大阪的  著:津村 記久子

編集者の江弘毅氏との対談とエッセーを持ち寄った本でした
大阪を根城にして活動する二人が、大阪に対してどう思っているか、
というか、大阪の元気のなさというのに
やや失望しながらも、それでもなお、大阪がどうあるべきか
それぞれが感じた、地方の現状なんかも交えつつ
オリジナリティを発揮するための方法なんかを
あれこれ語り合ったという内容であります

大阪人でもなければ、大阪にゆかりもないという自身でありますため、
その指し示しているところが、もう少しわからないのでありますけども、
おそらく、それはそういうものだと割り切った本であって、
大阪人独特の何か、そこだからこそ察することができるもの、
そういうのが大阪的であって、失いつつあるんじゃないか
それをもっと前面にというか、東京のまねっこっぽいことじゃなく
大阪という個性を出していけないかしらと
あれこれ、愛ある叱咤を続けているような感じで
なるほど、結構難しい本だなと
短いながらも、随分考えさせられたのでありました

津村さんが、最近なのか、随分思いを入れあげているJリーグについて、
それぞれの地方のサポータのあり方や、
その地域という強みみたいなのを見てきて、
衝撃を受けたというか、それが面白いと、
これまた、大阪的判断をして、そういうのが大阪に今ないというのが
残念でならないという感じになっているのが
なかなか面白いところでありました
オモシロハラスメントやら、様々な問題も抱えつつも
大阪という一種独特の文化というのが
滅びつつあるというか、理解されないまま
誤解だけを生み続けているようなというのにも
危惧を覚えているようでありまして、
興味深いと思えたのでありました

とりとめもなく、じゃぁ大阪をどうしようと
そんな結論が出る本ではなかったわけでありますが
大阪好きな人だとか、ローカルとはなんぞやと考える人には
刺激的な一冊でなかろうかと思ったりしながら
もっさり読み終えたのでありました

西郷どん  怪人 岩倉具視

2018-08-12 20:44:14 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
副題どおりの内容で、一話で岩倉具視という人となりを
説明し尽くした回でありました
怪人っぷりがよかったですな、
ちょっと下町にすぎるんじゃないかと、演技について思っていたけど
つかみどころがない感じは
見事だったと思った次第でありました
もうちょっと違う印象だったけど、これはこれでと
納得の岩倉具視だったのでありました

出だしのコント屋敷は満足だったのでありますけども、
それ以上に、ちゃんと賭場を立ち上げて
木戸銭集めて廻っているというのが
まぁ、地でいっている感じで素晴らしかった
岩倉具視といえば、あれだよなと
勝手に思っていたところとぴたりいった感じで
なかなかよかったのであります

そういう面白人物像を見せているだけかと思えば
しっかりと薩長の現状と因縁をさらっと説明して
桂が抜くは、大久保が構えるわと
幕末剣豪伝なるものがあるとすれば
夢の一騎打ちじゃないかと思ったりして
ちょっと構えをみつつ楽しみに感じていたんだが、
桂が歌舞伎すぎていたのが、気になったけど
迫力ある姿で満足だったのであります
できれば、北辰一刀流的なそれにして欲しかったんだが
あんな狭い屋敷で、一蔵どんもトンボに構えて
大丈夫だろうかと、あれこれ思ったりしたが
ともあれ、楽しかったのでありました
ああいうのをさっぱりと終わらせてしまう
独特の空気という無茶を岩倉がやってのけていたのが
印象的でありました

あとは、ヒー様がどうなっていくかと
そのあたりが楽しみになってきたフリ方で
そういや、最近篤姫の姿をまったく見ないんだが、どうなってんだろうかと
ちょっと心配にもなってきたんだが
ともあれ、次の活躍を楽しみにしたいのでありました

【読書】やっぱり食べに行こう。

2018-08-11 21:18:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
やっぱり食べに行こう。  著:原田 マハ

美術関係小説でならす原田マハさんの
食べ物系エッセーでありました
全国津々浦々、時々、いや、大半パリといった
取材とかこつけて、あっちこっちに行っては
なにかれと食べている実態をつぶさにレポートしつつ
ちょっとしたこだわりや、出会った美味しいものなんかが
つらつら書かれていて、まぁ夜中に読むものじゃないなと
思いながらも、とめられず夜食慾と戦いながら読んだ一作であります
非常に面白かったし、読みやすかった

かなりあっちこっちに食べにいっているようで、
そして、変にグルメ気取りではなく、
そこらへんの人でもやりそうな方法でリサーチして、
ここが有名そうだしやら、
地元で一番だから、
とりあえず本場を食べよう、
みたいな感じで、気安く食べ物を巡っていくのが
読んでいてストレスなくというか、
肩肘はってなくて楽しかったのであります

短いエッセーなので、時折オチがないんかいと
さらっと、あまりにもさらっと終わるものもあったりして、
なんとも、さくさく読めすぎてしまうのだけども、
牡蠣、餃子、そしてバゲットに関しては
かなり想いが強いようで、筆がのった描写が見事でありました
おいしそうこのうえなくて、いいなぁと想うのであります

食べることが本当に好きというのとはちょっと違う、
でも、美味しいものを探して、それにめぐり合う楽しさが
とても素直に伝わってくるようで、わきわきと
楽しく、おなかを空かせて読めるようでよかったのでありました

ライフワークでもある、美術館めぐりと同衾というか、
セットにしてあれこれと名物を探していくのが楽しそうで
そういう旅がいいなぁと想っていたら、
そんなたびの仕方が市民権を得たのは最近でなかろうかという指摘があって
なかなか考えさせられたのでありました
確かに、やたら滅法食い物に引き寄せられるようになってきたな最近、
これもまた、豊かさなのだろうかなんて
難しいことを考えたりしながら、
やがて、食べ物だけでなく、美術館や、美術をめぐるように
人があっちこっち旅するようになると
より楽しいだろうなと、想ったり感じたりしたのでありました

しかし、ロシア料理がそうとうに旨そうだったのが
印象的な一冊でありました
それ以外にもたくさんあるけど、
とりわけ、ロシア料理が旨そうだ、いいなぁ

【ドラマ】植物男子 ベランダー

2018-08-09 21:51:22 | ドラマ映画テレビ感想
テレビドラマとしてみたけども、
やってたことは、オムニバス番組だったように思う
NHKがBSでずっと放映していた番組が
とうとう総合でも見られるようになったと
楽しみにしながら見続けたのでありました
中年男性が、ベランダで園芸しながら一喜一憂する
そういう姿をコミカルに描く番組なのでありますが、
そのほか、植物薀蓄を披露するコーナーがいくつかあったりしつつ
なかなか楽しく視聴できたのでありました
全体的に、専門的なのかそうでもないのか
よくわからないラインというのが、大変面白い要因だったのでなかろうか
ベランダーとは、専門家であってはならんのだと
見ながら思ったところであります

かくいう、自分もそういうジャンルの人間であるため、
一層の愛着といえばいいか、親近感をもって見ていたのでありまして
馴染みの植物店に、若い女性なんて見たことねぇよと
ちょっとそこだけ違うな、それも大分違うなと
思ったりしたわけでありますが
それはそれとして、なんかわからない植物を買ってきて
あーでもないと、テケトーに育てて
そして枯らすという悲劇に見舞われるあたりは
大変面白かった
さらに、枯れてからテケトーなゴミ箱的なものにまとめて
コンポスト化するというか、新たな土となれとする
これは、病気の温床になるからやっちゃだめだけど
やってしまうなぁというあたりが
本当にもう、凄い親近感でありました
実際勉強も、さほどにしないで、とりあえずやっちゃう
それがベランダーならではでないかと思うのである

基本的にくだらない寸劇なのでありまして
実に気楽に、劇中のように酒でも飲みながら見るのが
いい塩梅の番組でありましたが、
もう一遍、多肉愛の劇場だったかなんとかという
多肉植物に寸劇をさせるという
多分手間はかかってんだろうなというドラマも連載されていて
こっちも面白かったというか
なかなか興味深かったのでありました

個人的に、私が多肉好き、それもサボテン好きというところもあって
ロホホラが出てきたあたりでは歓喜でありまして、
さらにそれが、まぁよかったねという話で終わったのも
まぁ、物語としてよかったんじゃね
どうでもいいけどもと、思ったりしつつ物凄く気にしてみていたのであります
そう、どうでもいいけど気になったわけである
あれに出てきた、幻玉とリトープスは実際に手に入れたい一品であるなと
眺めながら見ていたわけでありますけども、
リトープスが、撮影の過酷さからなのか、だんだん傷んできていたように見えたのが
切ないところでありました
実際どうだったんだろうか、多肉は強いと思い勝ちだけど、
勝手に増えまくるやつはいいが、そうでないのは、扱いに注意してほしいとか
投書しようかと思ったくらいである

と、まぁ、なんだかんだいいながら
楽しく半年近く見続けられて、また続編やっていただければと
願うばかりなのであります
BSが見られなかったのでよく知らなかったけども
BS時代は店員さんが、波瑠さんだったのが衝撃で、そりゃ続編に出てこないわなと
ちょっとだけがっかりしたのだが、新しい店員たちも面白かったので
これはこれでよかったと、にやにやしていたのでありました

世間的にどういう評価だったのか気になるが
ぜひ、続編をと願う話をメモっておくのである

【読書】脳には妙なクセがある

2018-08-08 21:10:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
脳には妙なクセがある  著:池谷 裕二

脳を研究している先生による、脳の不思議なお話を集めた
面白い読み物でありました
脳によって、人間、生物全般、いや、でもやっぱり人間のそれこれ
すべてがコントロールされているのか、
そもそも脳はなんだ、意思は意識はどこから出てくるのか
あれこれ考えるほど難しいことが
この脳に包含されていて、これを研究する喜びというか
面白さが、言葉のはしばしから伝わってくるようで
それでいて、とても不思議な脳の話も学べると
なかなかよい本なのであります

これまで、いくつか読んできた人間の行動に関する本や、
選択、判断、決定に関する本なんかの理由が
この脳を科学することで理解できるんだなと
ひとつ、今までの読書経験がいくつか繋がったような
楽しさがあったのでありますけども、
脳が錯覚するということや、
匂いと睡眠が記憶に対して物凄く強い因子となることなんか、
よく聞く話が、実際どのような実験や実証で
今、正しいとされているかがわかって
非常に面白いのでありました

流行でもないが、実験が進んでいる分野に催眠というものもあり、
これによって、擬似的に痴呆を招いたりできるんだそうで、
そこから逆算して、痴呆の原因を探るとか
実生活にも関わってくるようになってるというのも
面白いところでありました

人間が動こうと思った、数秒前には脳の中で初動が起きていると
これもまた、なんかの本で読んだなと思うところが
生々しく語られていまして、これによって
人間の意識の芽生えはどこからなのか
そもそも、意識という何かに至る前に起きているものはなんなのか
無意識が本質で、それがどう後付で
自身の理解に昇華されているかとかがまぁ面白い
こうしたいから、そうした
そんなことが、山ほど積み重なっている人生でありますけども
それらが、特に意識ではなく、脳なりからだなりが
なんとなく動いた結果に、後付で理由づけをしているような感じだそうで
これもまた、面白いのでありました

無意識を鍛えるでもないが、
様々な学習が無意識に行われているのだそうで、
そういう効率的な学習方法をうまいこと利用したら
自分ももう少し立派になれるんじゃないかしらと
淡い期待みたいなものを覚えたのだけども、
今更、何かということもないなと
夢もないことを考えたりして、
この夢がないというあたりがまた、脳の老化を示しているという内容の話に繋がって
なんとも、しょんぼりしながらも
面白いと読み進めたのでありましたとさ

さくさくっと読めるのに、脳科学の最先端知識が得られるというか
楽しく知ることができる、よい雑学の本として
自分は読めたと満足なのでありました

【読書】新訳 走れメロス

2018-08-07 21:37:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
新訳 走れメロス  作:森見 登美彦

阿呆な話でありました
腐れ大学生の日常を古典にならって活写した
そんな内容の短編集であります
特に表題作の走れメロスの新訳短編が、まぁ酷い、とてもひどい、
なんたる腐れ大学生かと、嘆きたくなるような
実に見事な詭弁的友情を描いていて
読み終えて、脱力を凄まじく覚える、実によいエンタメだったのであります

阿呆ばかりを書いているわけでもなく、
短編それぞれは、少しずつ重なりがあって
連作短編というでもないが、
少しずつ関係する人、というか、阿呆の数々が入り乱れて
なかなか楽しく読めるのでありますけども
特段の阿呆話であったメロス以外は、
ホラーあり、悲しみあり、せつなさありと
なかなか読み応えのある異なる内容ばかりで
飽きることなく読めたのでありました

個人的には、桜の森の満開の下がすばらしく、
この人は、やっぱり阿呆大学生を描くか、
ミステリアスとはちょっと違うが、
どこか通い合わないお姉さんを書かせると一等だなと
この短編の魅力に取り付かれたように
読まされたのでありました、実に素晴らしかった
女性のキャラクタもよかったし、内容が特に、
報われるというではない、
どうともならない破綻というか、フラジャイルな何かが見えて
とてもとても大切な読み物だったと
一人興奮したのであります
本当、こういうのが好きだなぁ、大学の頃にはまだ発刊されてなかったけど、
その頃に読んだら、傾倒しすぎて危なかったであろうと
自分の性癖というか、色々なものに
がっちりとマッチした、恐るべき短編だったのであります
いや、特に面白いというのではなく
本当、雰囲気だけなんだけども、この雰囲気が好きなんだな

というわけで、心行くまで
益体もない小説世界を堪能できる
よい短編集でありました
何か得るものがあるかといえば、何一つないが
楽しかったといえる、そういう娯楽小説なのであります

【読書】ダマされずに儲ける個人投資

2018-08-06 21:05:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
ダマされずに儲ける個人投資  著:島 義夫

個人で投資をするためのあれこれを記した本でした
今回の本では、難しいものに手を出さずシンプルなもので
しっかりと運用しようというのが根幹でありまして、
インデックスやETFが一番だというお話、
これらを扱う投信だか、自身での運用だかが
近道というか、間違いがないのではないかと
そんなお話であります
金融機関が出してくるものは、手数料ばっかり高くて
ちっとも儲からないので、騙されてはいけませんぜと
そんな警告をしてくれたのでありました

投資を大きく、ディフェンスとオフェンスに分けて解説していて
それぞれに方法があり、向いている商品がありというところが
簡潔でわかりやすく解説されていて大変ありがたい
発刊が少し古いので、今もってこれで正しいかは
自分で判断する、それこそ、本にあるとおり
ちゃんと勉強して自分で情報を集めてやるべきだなと思うのだけども
なんだか心強く読めたのでありました

これからの投資の中で、不動産をあげているのが
何週か廻った感じがして面白いと思えたところ
自身の住む場所は、賃貸でもかまわないが
立地のよい、優れた不動産というのを個人でまわすというのも手だし、
それが難しいならREITを使って
不動産投資にベットするというのもひとつであるというのは
なかなか考えさせられるところでありました
確かに、そういうこともあろうかとも感じるのでありまして、
これから土地も家もあまってくるだろうが
立地のよいところは、逆に過当競争が始まるのではと思えばこそ
こういうのもありだなと考えられたのでありました

あとは、のんびりリタイアなんていう夢のような話にも
ちろっとだけ触れていまして、アジアに移転するというのも
ひとつの選択肢ではあるが、英語やれないと難しいし
そういうことを考えるだけなら沖縄がよいよと
これもまた、至極まっとうなような意見だと思えたのでありました

ともあれ、やるならインデックスで分散された投資を
じっくりとっくりが一番であるということ
そして、何年かけてどのように利益を上げていくか
それをうたっている金融商品の嘘をどのように見破るかと
そんなところを細かに解説していて
なるほどと、わかった気分になれて
いい本を読んだように思うのでありました
とりあえず、自分がどうなんだというところは
もう一度考えさせられるところに至ったのだが
家族を持つという選択肢をとった場合に
自分ははたして、それを養うほど給金があるだろうかしらと
憂えたりしつつ、益体もないことを考えず
こつこつ、なんらかの投資を進めていくべきであろうと
思ったり考えたりするのである

とはいえ、一番の投資は
自身の教育であるというのが、一等身にしみるところでありました

西郷どん  三度目の結婚

2018-08-05 20:56:56 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了しました
まったく話が進まないで終わったと
いえなくもないけども、いい話だったと思う
ほっこりさを満喫したのでありました
息抜きの回は、本当に朝ドラみたいな展開と雰囲気になるな
でも魅力的であると感じるのであります

三度目の結婚ということで、
嫁とりにわーわー人を集めたりとか、
まぁ漫画みたいな展開が微笑ましかったわけでありますが、
実際だったら、そうとうの御仁なわけだから
あんな風に集めないだろうなと思ったりもするが
まぁ、よかよかみたいなところが
西郷さんという人となりっぽくてよろしいなと
離島のおっさんまで出てきて
楽しく見守ったのでありました

その一方で、着々とサラリーマンというか、
勤め人として、また、天下国家のためにと
西郷どんが黒くといえばいいか、あれこれと画策していこうという
意気込みがステキでありました
まぁ、西郷さん主役だから、ああいう流れで間違いではないんだが、
あれこれということが、全部西郷さんの手柄というか
発案みたくなってしまいそうで、
それはそれで、ちょっともやっとせんでもないが、
西郷さんも、あるいは、薩摩も既に考えていたというのは
実際のところ、ありえたかもと思えるのでありました
薩長同盟の切欠は竜馬が作ったのかもだけども、
これもまた、中岡じゃないかという話もどっかで読んだわけだから
もはや、誰がということではなく、
なんとなくそういう空気であったと時代を読むべきかと
そういう示唆すらとったのであります
長い、感想を思いつくまま書くとろくなことないな

と、あれこれ書いたが、ともかく、薩長同盟のきざはしが見えてきて
そこに大久保も政治的に、文字通り暗躍するのであろうという
構図というか、なかなか楽しかったのでありました
その一端でもないが、さらっと、糸のことを紹介というか
うまい流れにしたところが、
序盤を思い返すとぐっとくるシーンだなと
思わされたりしたのであります
あーだこーだと、あの時うやむや思ったことが
懐かしいとすら思えたのか、だからこそ、何かあるのか
手早くくっつける手伝いを
今の政治力というか、あの洞察と社会性と力をもって
やってのけたと見えなくもない

まぁ、ただ、幼馴染のことを
できる嫁に託してうまいことしたと
そういうだけの話なんだが
深読みして見られてしまうのだから

これはいいドラマだなと、にやにやしながら満足なのでありました

【読書】大台南見聞録

2018-08-04 21:05:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
大台南見聞録  著:ヤマサキタツヤ

大台南という、いわゆる台南中心部以外にもスポットをあてて
バスやレンタサイクル、レンタルバイクを使って
広範囲の台南市全体を楽しもうという本でした
台南もさほどに遊んでいない自分としては
なかなかためになるのだけども、
バイク借りるのは敷居が高いなと感じつつ
さりとて、レンタサイクルで、そこまであっちこっち行けるものかと
今度やってみたいと思わされる内容でした

写真はなく、イラストで解説しているので
本としては、ちょっとごちゃごちゃしすぎな印象ですが、
眺めながら、台南て楽しそうだなと思える
ステキな本になっていまして、
様々な名所案内も交えつつ、
地域の人とのふれあいなんかも紹介
言葉は通じなくても、とりあえずなんとかなるということを
旅行に必須なアイテムとともに解説しているという感じで
非常にやってみたくなる内容でありました

ただ、バイクで地方を走り回る爽快さだとか、
名所というよりも、あっちこっち行くということが楽しい
探検ステキという人向けの内容のようでもあって、
初心者がぶりぶり観光を楽しもうという本とは
やや趣が異なるかしらとも感じたのであります

個人的には、台南の玉井にいってマンゴーをたらふく食ってみたいので、
この本にあるようなバス旅でうまいこといけるかしらと
夢ふくらむように眺められたので
ステキだったと思うのでありますが
大量の食い物紹介が秀逸で、あれこれと食べてみたいものが
旨そうなイラストとともに迫ってくるのが
まぁ、なかなかどうして、読む台南という感じで
いい塩梅だと思うのでありました

郊外も、嘉義あたりに肉薄するところまでいくし
台南中心で遊ぶというのも
面白そうだなぁと改めて思い知ったのでありました
高雄、台南で、もうちょっと面白そうなところがどこかないか
次回の旅のために探したい
そういうときに、よい一冊であったと思うのである

【ドラマ】バカボンのパパよりバカなパパ

2018-08-02 21:01:49 | ドラマ映画テレビ感想
NHKドラマであります
玉鉄が出てるというそれだけで見てしまった、
いや、実際には話しも面白かったので
見入ってしまったと、そんな按配なのだけども
マッサンを彷彿とさせる役者陣の頑張りと、
赤塚不二男という伝説について
ドラマで知ることができた面白い一作でありました

随分綺麗なところしか描かなかったのかもと
ちょっと晩年については思ったのでありますが、
それはそれとして、天才赤塚不二男が
どういう人であったか、正直、私の世代よりも上の人がと
そういう感じであろうお話で、
知っているような、知らないようなという物語が
なかなか楽しく見られたのでありました
テイストとして、朝ドラっぽいのが
よくあっていたと思うのでありますけども、
本当、ちょっとどうかしているような人だったのは
ほぼ間違いないところだなと
改めて、その伝説をわかりやすく描いたドラマに
感動というか、衝撃を受けたのでありました
そこらで、酔っ払いを拾ってきたり、
ホームレスみたいなのに風呂貸したりとか
凄い人だったのだが、何考えてたんだろうなぁ

もっとタモリさんに触れるかと思ってましたが、
さらっと、ブラタモのお付き合いみたいな感じでしか出てこなかったのが
ちょっと残念でありましたが、
赤塚不二男が、そんなにテレビ出ていたのかと
見たことないだけに衝撃でありました
漫画書いてるだけの人だと思ったんだが、
まったくそういうわけではなかったんだな、そして
本当に天才だったんだなと思い知らされた

バカであることの難しさを、真剣に論じて、本当にそれを実践していたと
そこが狂気、あるいは脅威以外の何者でもないというところが
この人の凄いところだなと、家族含めて、
どっか可笑しいと思うんだが、それでいいのだ、を地でいってた生き様が
衝撃だったのであります
担当の人が随分ご出世なさったのも、赤塚先生を御したという
それが大きかったんだろうなと、そっちの物語も
結構真面目に見てみたかったように思うのであります

端々というか、しれっと、まずいことがあったときに
永井豪ダイナミックプロを騙ったりするところとかが、
結構面白かったのだけども、やっぱりライバルというか
新しいギャグがそこに居たんだなと思い知らされたところでもありました

私が幼少期に、おそらく最期のバカボン連載だったのだろう内容が、
コミックボンボンに掲載されたのを読んだ、
そして、面白くなかったと記憶しているのでありますが、
今考えてみると、あれを成したのが担当の人で、
そして、そういった赤塚不二男をなんとかしようと思った人たちによって
晩年の作品というか、発表というものがあったんだろうかと
思わされたり、なんか、よくわからんけども
しんみり見ていったのでありましたとさ

敢えて、みんなの死に様を描かないという英断が凄いとも思ったが、
そこが結構陰惨というか、悲惨だったような気がするなと
おぼろげな記憶を揺さぶられて、このドラマを見たあとに
どうだったか、調べようという気分にはなれなかった、
楽しい家族の物語でいいじゃないかと
思わされた一作だったように思うのであります

【読書】人工知能は人間を超えるか

2018-08-01 21:41:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
人工知能は人間を超えるか  著:松尾 豊

ディープラーニングで一躍有名になった人工知能の行く末について
先端の研究者がこういうことであると語った本であります
非常に面白い、そして、人工知能研究という分野が
どのように進んできたかもわかって
技術的な歴史本としても面白く読めたのでありました
過去に何度かブームがあって、
そのたびに冷却期間があって、研究というのは大変だなと
考えさせられるところであります
お金出すほうは、そりゃそうだよなと思うが、
基礎研究めいたことというのは
途方もない努力と我慢との続きなんだろうなと感じるところ
ただ、それが花開かない可能性もあるわけだから、
無闇にお金をつっこむものでもないし
こういうのが大変難しいのでありますね

と、考えたりしたのでありますが、それはこの本題とはまるで関係なく
人工知能の現在、それがどういうものであるかを
非常にわかりやすく説明していて、
さらに、その応用や長所、短所、
そもそも人工知能とは何を示すものか、どういう理想があるのかと
そんなことも書かれていて、夢あふれているというか
面白いの一言なのでありました

ディープラーニングが50年来のブレイクスルーを
研究にもたらしたというのが白眉であるのですけども、
この手法を大変わかりやすくすると、
正しい答えだけを見せていくのではなく、
ゆらぎのある学習をさせることで、本質を得ることができるようになる
ノイズがあるほうが、最終的に精度があがるというのが
凄い画期的なことだと思い知らされたのでありました
書かれていた通り、そんなの当たり前じゃないかと
示されたらそういうものだけど、
これに気付けないものなんだろう、それを成したというのが
凄いことだなと、もっとも、これができるというのは
現在のコンピュータ技術があればこそということなので
理論に技術が追いついた事例ともいえるのかもしれない

と、なんだか小難しいことを考えたのでありますが
人工知能で、様々なパターンを呼び出すことができるようになって
現実世界によいことももたらすであろうし、
ただ、これらが発達したからといって
ばら色にもならないし、暗黒にもならないというのが
〆の言葉として印象的な内容であったと思うのであります

とにもかくにも、進んでいく真っ只中のお話なので
これもまた、もう古くなっている情報かもと思いつつも
楽しく読めたのでありました
研究というのは凄いな本当にもう