Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

給湯管の漏水 修繕方法

2015-07-13 20:53:09 | 設備 水道工事
一本の電話が有りました ガス屋さんが給湯器の点検をしたら配管から
水が漏れていると言われました修繕をお願いします






大体私達の仕事はその様な電話から始まります
電話で話をしている間にも色々な状況を想像します 
そして約束の日に現場へ行かせてもらうのですが
給湯器が有るのは概ねこの様な狭い通路に有るのが
常です 蚊が沢山居そうでしょ?






もう給湯器と聞いた瞬間に 蚊取り線香の用意は
しなくちゃ・・ と持ってきましたよ(笑)
線香の両方から火を点けます これで 4本の線香を
炊いているのと同じでそこそこ効果が有りますよ




さて建物の外壁の露出配管です 給湯管は真ん中
それの上の方から漏れる様です






銅管の水漏れで多いのは継手部分 漏水の 8割は
そこです 外部の被覆をめくってみました 
う~ん 継手では無いですね 被覆の中を伝って
下から水が上がって来ます 






少し下の方の被覆をめくってみます この矢印の所へ
まだ下から水が上がってきます こうなると原因の
有る所まで 被覆をめくって追い掛けるしか有りません






原因はこれですね 給湯管の縦管にピンホールが
有ります まだ目視は出来ませんが針で突いた様な
穴でしょう




銅管自体が全体に黒く変色しているので交換出来る
部分は全て替えましょう お施主(お客)さんもそれを
望んでいます 古い給湯管を切り取って駐車場まで
持って来ました




この広い所で同じ形の物を作り 最後に元の場所で
繋ぐ方法を取ります お客さんもどうして洩れている
場所が解ったのですか? と聞かれますが 
今迄して来た事、修繕例と今回の状況を重ねて色々と
考えますが 後は私の勘です、隠ぺいされた場所の
配管でも大体当ります





今回のお湯の配管は銅管を使っています 基本的には半田付けで配管や修理は行います
これも最近は樹脂管を使う様になり銅管の比率が急激に減って来ています すでに銅管の
半田付けが出来ない職人さんも出て来ているでしょう 昔良く使った鉛のパイプは鉛管と
言いますがこれの半田付が出来る職人さんは ほんの数える程だと思います、同じ半田でも
銅管とは又施工方法が違います






新しい銅管です 表面に保温材が巻かれたこれは
被覆銅管と呼んでいます 切り口はパイプカッターを
使ってもこの様に真円が崩れます






外部の被覆を 半田付に必要なだけめくります




この歪んだ銅管の先端 これをこのまま使う人も
いますが 少し手間を掛けましょう






綺麗な形に成形する道具です サージングツール
と呼べば良いのかな メスのアダプターを銅管に
被せます






先端を銅管の内径にあてがい 握り部分がスライド
ハンマーになっているので 何度かスライドさせて
銅管の内部に工具の先端を挿入して行きます






これで内外部とも綺麗な真円になります これで
継手にも隙間なく入れる事が出来ます




折角だから もう一手間・・






パイプの整形は済みましたが先端にバリが残って
います このリーマーを使い面取りをします




主に内径を綺麗にした方が良いですね 内部が
変形したり水流を妨げる物が有ると乱流を起し
それが内部からパイプを削る事が有ります




この様にまずエルボ(曲がりの継手)を半田付けします








半田の前にパイプを磨きます 銅管が汚れていたり
酸化していると半田が乗りません(付かない)
最近は研磨にシャイネックスを使っています






当然継手の内部 パイプが入る部分の磨きも
必要です




そこはペーパーやシャイネックスでは時間が
掛るので 銅管ブラシを使います






この道具は便利で良いのですが 直ぐにブラシが
駄目になります お前もう駄目なのか? と言いたく
なるくらい早いです・・




でもここを磨くには便利な道具です 綺麗になって
います






そこからさらに薬を使います 強い酸性の液体で
傷口に塗ると飛び上がる程痛いです やはり銅管の
前処理とフラックスの役目をします パイプと継手の
両方に塗ります







パイプとエルボを取り付けました ここからトーチランプで
パイプと継手を炙ります 施工温度は250~300° 程度です
その温度の見極めは 人に依り違うと思いますが私の場合
ランプの炎の音と時間 それと銅管の色で判断します

適切な温度の時に半田を注すと水の様に継手の中に
吸い込まれて行きます 温度が低いと半田が溶けず
高いと半田が弾きます これは最悪の状態です






適切な温度で施工されたハンダ 半田は毛細管現象で
継手の奥まで回っています






半田をした箇所は 水で良く洗い流します
先程使った薬を残さないのはとても大切な事です






洗った後はタオルで良く拭き取り 半田の入り方も
確認しこの部分は完了です ビニールパイプの仕事と
比べたら 10倍以上手間が掛かりますね




ここではもう一つ継手を取り付けます






パイプが少し長いので切り落します 使っているのは
小振りなチューブカッター






こちらが通常使う物 これなら被覆の上からも切れます






手順は先程と同じです 絶対に水漏れ事故は起こさない
この強い信念で確実に仕事を進めます




これは水栓エルボと言いますが 半田は完了です






私は良く自転車のワイヤーの先端処理やホイールの
スポークの結線に半田を使いますが この様な事を
日常的にしているので特別な事では有りません






大切な事は半田だけではなく 出来るだけ銅管を空気に
触れさせない事 これは酸化や腐食を防ぐ為ですがこれから
10年~20年先の事を考えての事です




一旦めくった被覆材とビニールテープを使い
外部からの雨や空気に触れない様にしています






駐車場で作った物を既設の銅管に繋ぎます
ここまで表面が汚れた物に半田は絶対に乗りません
やはり地肌が出るまで磨きます




鏡を使って裏側も確認します それ位に神経質に
ならないといけない部分です






先程と同じ手順で古いパイプと新しい物を繋ぎました
ここもハンダの入り具合を良く確認します




水で綺麗に洗いウエスで拭いて完了です




修理が完了した部分を下から見ています 4尺の脚立を
使い高い所での作業でした




給湯器との繋ぎ部分です 既設のフリーチューブと
繋いでいます






以前の職人さんの仕事をどうのと言う訳では有りませんが
幾ら被覆銅管だと言っても 外部の露出部に保温がされて
いないのはどうかと思い新たに保温材を巻きました これで
寒波が来ても凍結する事は無く安心です






水漏れの確認と現場の掃除と片づけを済ませて
本日の修繕は完了です 着手から休憩無しの
4時間の仕事でした





誰が下さったのでしょう 冷蔵庫に素敵な物が有りました名前も書いて無かったので
有り難く頂きました 美味しかったです

中々仕事の細かな所がお見せ出来ませんが 新築住宅や改装工事の他では
この様な修理もします 本文中に勘と言う言葉が出て来ましたが仕事で
この勘が働く様になれば 独り立ちが出来ますね

コメント (7)
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