森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「ジェシカの世界」&「おーい海!」☆私の漫画史

2017-01-21 16:35:52 | 漫画・マンガ・まんが

この「私の漫画史」は、私が小学校低学年の頃に読んだ漫画の記憶から始まっています。「少女フレンド」で「なくなパリっ子」が終わってしまってから、しばらくしてだったのか、ほぼ同時だったのか「週刊マーガレット」で西谷祥子と言う方の漫画が目を引くようになりました。

絵柄も華やかで、それでいて物語も面白くて、私の中ではこの頃の「週刊マーガレット」の顔と言ったら、この西谷祥子氏だったと思っていまるのです。

西谷祥子と言ったら押しも押されぬ漫画界のトップの人のひとり。

トップの人は一人ではないのかと問われそうですが、「少女フレンド」では「週刊マーガレット」では、「りぼん」では「なかよし」ではと、その看板漫画家がいたように思います。

 

常に連載が掲載されていたので、その作品数は半端がありません。作品名で言うと「マリィルウ」「レモンとさくらんぼ」「ジルとMr.ライオン」、タイトルは凄く懐かしいのですが、どうも内容はすっかりコンコンと記憶の沼に埋没してしまっているようです。それは多作であるがゆえに、その内容が思い出されないだと思います。

読み直せば思い出すかもしれませんが、私自身がもう青春ドラマとは縁のない人間になってしまったので、読み直すこともないと思います。

ですが、その中で凄く印象に残っている作品が「ジェシカの世界」と「おーい海!」、そしてタイトルには載せませんでしたが「カレーライスの味」なのです。

 

これは勝手な思い込みですが、この「ジェシカの世界」は夢見がちな少女の心を捉えて離さなかった作品だと思います。

だけど「マーガレット」と言う漫画の読者層からしてみれば、もっとずっとこのジェシカの世界を楽しく堪能したかったと言う人も多かったのではないかと、私は思っているのです。

4つの自分の世界を持っていると言うジェシカ。その区切りもまるで部屋に入って行くようにはっきりとしていて、雰囲気や話し方も変わってしまうジェシカ。

これって今思うと、多重人格なんじゃないのかとか疑ってしまう所だけれど、その頃はそんな病気は知られていなかったし、ジェシカの場合は分かっていてやっていた事だったはずです。4つの世界を持つジェシカに少女たちは憧れて、そして何らかの影響を受けたと思うのです。

女の子って上手下手はともかくとして、詩とか呟きのようなものを書きとめるのが好きなのかも知れません。

 

この頃、あちらこちらで
「私は私の世界を持っている。」みたいな言葉を見かけたような気がしました。

姉のノートとか・・・・・

ところがこの「ジェシカの世界」の物語は、そんな少女たちの憧れなんか置いてけぼりで衝撃の最後を迎えるのです。

個性豊かな脇役の登場人物。それらの変わった趣味なども最後の重要な伏線だったのだと分かります。

 

受け入れる事の出来ない現実の厳しさが、ジェシカの世界を崩壊させていき、そして彼女はたった一つの世界に逃げ込み閉じこもることしか出来なくなってしまったのです。現実の世界を捨ててー。

「ジェシカの世界」は1967年の作品です。

「週刊マーガレット」はメインターゲットはたぶん小学生だったはず。もしくは中学生までぐらいだったと思います。

これを小説でと言われても、たぶん読めません。漫画だったから理解できた物語だったのではないでしょうか。

 

西谷祥子氏は「白いトロイカ」などを書かれた水野英子氏のアシスタントなどをしていた時代もありました。その影響などもあったのかは分かりませんが、やはり映画の雰囲気を漫画という二次元の世界に持ち込んでいたように感じました。この「ジェシカの世界」はまるでフランス映画のような、そんなイメージがあったのです。

 

ジェシカの世界 (白泉社文庫―西谷祥子傑作選)
西谷 祥子
白泉社

 

そして「おーい海!」ですが、それは1972年の作品で、私も中学生の終わりに差し掛かっていました。

この物語、実はSFだったのですよね。

増え続ける人類、枯渇していく資源、そんな我らの未来を救うのは、海と言う存在であると言うSF。ただこれは人類の海への移住への第一歩としての人体改造の段階の物語で、あまり壮大な感じはしなかったのですが、それでもその発想には引き込まれました。終わらせ方も少女漫画風だったと思います。

それでも私には

「西谷祥子ってSFも描くんだな。」という印象が強く残ったのでした。

確か、お話もロマンチックで面白かったです。

 

 

おーい海! 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット]
西谷 祥子
朝日ソノラマ

 

 タイトルには書かなかったけれど、印象の深かった「カレーライスの味」は1969年の作品で別冊セブンティーンに掲載された作品です。

 

貧しい姉弟、臨終に近い弟が最後に望んだのは姉が作るカレーライスだった。

その姉の心に寄り添いたいと願ったクラスメイトのヒロインが、

「あなたも食べてみる?」と差し出された何も具の入っていない貧しいカレーライスを

「まずい」と思ってそっと残してしまう。

唯一彼女の心に近づくチャンスを、気付かずに失ってしまったヒロイン。

弟はそのカレーを美味しいと言って、そしてその後死んでしまい、その姉は遠い親戚の所に行く事になった。

その少女を見送るホームで、ヒロインはその苦いカレーライスの味を思い出すのでした。

というようなお話だったと思います。

彼女の持ち味でもあるお洒落で華やかと言うものが封印されて、それでいて胸に迫る作品だったと思います。

 

私はある時期から、彼女の作品は読まなくなってしまったので、今頃になって未読の作品を読んでみたいと思うこの頃です。


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