春の終わりのアーチの薔薇です。(今年はちょっと寂しかったです。)
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時に人は、降れ伏して手に土塊をつかんでのたうち回るほどの後悔を、過ぎてしまった過去の出来事に想う時もあるでしょう。
だけれどどんなに苦しみもがいても、その過去の時間に手も届くこともなく、滂沱の涙を流し胸を締め付け、自分の嘆きで寿命を縮めていくしかないのです。
アーサー卿のように。
思わず泣きました。
切なく、そして悲しかったです。
届くことのなかった、17年前のパトリシアの手紙が届きます。
想いのこもった切羽詰まった、彼女からの心からの手紙でした。
もしもあの時、その手紙を読んでいたら、違った人生があったかも知れない・・・・・
どんなにそう思っても、もうどうしようもない事です。
なぜ、どうして、なぜ、どうして、そうなってしまったのだろう・・・。
アーサーほどではなくても、またはそれ以上かもしれない、そんなボタンを掛け間違えてしまったかのような事は、誰もが自分の人生の中にあるかもしれません。
そしてかつて一度完結してしまった「ポーの一族」ですが、作者の人生の時間の積み重ねが、今これを描かせているのではないかと思うと、人生に無駄な時間はナイナと、やはり思ってしまったのでした。
本の紹介の下からはネタバレ感想です。
本屋に行けないので、最初から密林サイトで買おうと思っていましたが、発売日の27日で既に紙の本は送料無料のAmazonprimeでは買えません。数日たつと、本自体も定価は難しくなっていました。これからは予約で買うか、またはkindleで買おうと思いました。
私の場合は、他の作品をほとんど読まないので、そちらの方が良いなと思っている所です。
アーサーは、幽霊に突き落とされて大けがをしたダニーを見舞います。
彼はダニーに自分の罪を告白したかったのだと思います。罪を告白しても、それで心が少しでも軽くなればと思ったに相違ありません。ところがダニーも同じようにアーサーに告白をします。
姉が身籠っていた赤ん坊は、アーサーの子どもではなかったのだと。
だけど子供を産むために、姉とダニーとで、アーサーを騙したのだと。
ダニーの告白の過去映像シーンは、さながら映画のようでした。
薬草を飲ませて殺したと言っているのに、ダニーはまるで聞く耳を持ちません。
自分が告白する事で、いっぱいいっぱいになってしまっているのでしょう。
しかし今は、自分の罪の重さを軽くすることに夢中になっていても(幽霊が怖いし)、この先時が経って落ち着いて来た時に、記憶の中で、アーサーの告白を「聞きたくない !」と聞き流すことなんかできるのかなと、少々思ってしまいました。
それはともかくも、結局アーサーの心は、ずっと重いまま。
フォルテが死んでエドガーが去ってからのアーサーは、散々な毎日です。
だけど生きていく道は、常に罪と罰の繰り返しなのかと、私は思ってしまいました。
アーサーを騙さなければ、ダイアナだって死なずに済んだのに。
アーサーの気を引こうとしてドミニクに笑いかけ、その彼の愛の詩を笑ったりしなければ、パトリシアの書いた手紙はアーサーに届いたのではないでしょうか。
今のアーサーの肉体の苦しみも、アーサー自身の生み出したものなのかも知れません。
彼の最後のページの言葉が、胸に突き刺さります。
「怒りが」
「私を醜くする」
「やはり私は醜い鬼だ」
「助けてくれ・・・・」
「ランプトン・・・」
次回も楽しみですね。
(枠外の『花ごよみ』。パソコンが壊れた理由が衝撃的でしたね。なんと猫ちゃんのおしっこ。仕事で構って貰えなかったレオちゃんの復讐だったのかしら^^)
秋薔薇の季節も楽しみですね。でも今年はなにげに早いような気がします。8月25日撮影。