森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

月は赤く、森は緑  ⑥

2008-10-31 11:48:23 | 詩、小説

 「月は赤く、森は緑     」の続きです。

      

 

 そうやって、おいらは無事においらの木に帰ってくることが出来たけれど、ブチ猫を埋めてあげるための手を失ってしまった。

「だけど若くなってしまっただんな。」とカラスが言う。

「本当の事を言うと、森の掟に従ったって善いんじゃないですかい。もうこの猫は、ただのむくろで、ただの肉。ワタクシと仲間で見事に片付けて差し上げますよ。」

「だけど・・・。」

「『だけど、』じゃないですよ。」いつになくカラスは強気だ。

「じゃなかったら、だんなは見た事がないかもしれませんが、目の前で朽ちていくのを見るほうが辛いんですよ、きっと。そう言えばワタクシメも、そんな経験はないですが。こういうのは人間の世界でも鳥葬って言って、りっぱな弔いなんですぜ。」

「だけど、やっぱりそれも辛いよ。だっておいらはサ・・。
このブチ猫に、こ、こ、こ、恋をしていたんだよ。」

「はああああ~!
そんな話は初耳だ。一体何処からその話は来たんですか。」

それでおいらは、猫さらいの話から白い雲の少女の話までしてやった。

「いろいろな意味で衝撃的な話だなあ。」とカラスは呆れたように言った。
「どうりで帰りが遅いとは思ったが、猫さらい相手にした事も、雲の少女に恋なんてしたなんていう話にも驚いて返す言葉もありませんよ。」

 

―チェッ、仕方あるまい。

と、カラスはブツブツ言いながら、その辺に落ちていた木の棒でおいらの木の下を掘ろうとした。だけど二度三度ガシッガシッと棒で突いたが、すぐにやめてしまった。

―こりゃダメだ。くちばしが折れちまう。

次にカラスは、おいらの伸びたばかりで柔らかい葉ばかりの若い枝をそのくちばしで突き落としたのだ。

―痛い。
と、おいらが言うと、

「ちょっとばっかし我慢してください。元はといえば、若くなってしまっただんなの我侭を叶える為なんだから。」とカラスは言って、もう一枝突き落とした。

―これじゃ、体が申し訳程度に隠れるくらいだな。どれ、もう一枝・・。

 

そんなことをカラスが独り言のように言い終わったとき、誰かが森の中にやってくる気配がして、カラスは隣の大木の梢の上に飛び上がった。

 

 見ると、一人の少年が何かを探すようにやって来た。その動きはまるでブチ猫がしていたかのようだ。あっちの木の根元、こっちの木の割れ目をチェックしている。だけど、おいらの木の根元にいるブチ猫を見つけると、小さく「アッ」と言って、駆け寄ってきた。

「母様(かあさま)が、猫は森に行くと言っていたことは本当だったんだ。」と少年は言った。

少年はブチ猫を抱きしめると、シクシク泣き出した。おいらもまた泣きたくなってしまったよ。

かなり泣いてから、少年は立ち上がり猫を抱きしめてトボトボ歩き出した。

 

 カラスは焦って「カア」と鳴いた。
―いいんだよ。
と、おいらは言った。

 だけど、カラスはおいらの言葉に無視をした。羽でパタパタ合図を送ると、森中のカラス以外の鳥たちがいっせいに可愛らしくさえずり出した。森の木々の梢は、優しくさわさわ揺れて、ご丁寧に風が少年の襟足を通り過ぎて行った。

 

少年は立ち止まり、振り返った。

「そうだね、ここをお前が選んだんだった。」と少年は言った。

そうして、少年はさっきカラスが使っていた木の棒でおいらの根元に穴を掘った。おいらの木の根元は固くて、少年にとっては大変だったかも知れない。だけど少年は一生懸命に掘っていた。

掘り終わると、彼はさっきカラスが落としたおいらの木の枝の葉をその穴に敷き詰めた。そしてブチ猫をそこに横たえさせた。

少年は少し考えるような顔をした。それからポケットからハンカチを出して広げると、
「このハンカチだったのか。」と少し残念そうな声で言った。

広げたハンカチを見て、おいらは吃驚し、カラスは思わず「カア」と鳴いた。

「変な絵が描いてあってごめんね。でも、このハンカチは僕の一番のお気に入りだったんだよ。昔ハロウィーンの夜、一緒にお菓子をもらって歩いたお兄さんの仮装が、あまりにもカッコ良かったから、ハンカチに絵を描いて母様に刺繍してもらったんだよ。」

そのハンカチに描かれた絵は、ハロウィーンモンスターのおいらだった。

少年は決意したように、そのハンカチを猫の上にふんわりと掛けてあげ、その上から土をかけた。

 

少年は立ち上がり行きかけたがまた振り返り、作った墓の出来具合をチェックした。そして満足したように、彼は走り去っていった。

 

カラスが何処かで花を引きちぎって来て、無造作に出来たばかりのお墓の上にぽとりと落とした。

「良かったね、だんな。」とカラスはしんみり言うと、空高く飛んで行ってしまった。

 

―ねえ、ブチ猫。お前はあの少年のことなんか一言だって言わなかったじゃないか。あの少年の気持ちに気がつかなかったのかい。だけどそうやっていろいろな人と関わりあって、お前は生きてきたんだね。

 


「そうよ、アタイはとっても幸せだったの。」

その時風が吹いてきて、ブチ猫のそんな声を何処からか運んできたのだった。

 

                         終わり

 

    But    「ハロウィーン・ナイト-カラスの微笑み」   に続く

 

 

 


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月は赤く、森は緑  ⑤

2008-10-30 16:18:21 | 詩、小説

 「月は赤く、森は緑     」の続きです。

 

 おいらが車に乗り込んだ途端に、男が戻ってくる気配がした。ところが男はドアを申し訳程度に開けると何かを放り込んで、中も見ずに鍵をかけ車を発車させてしまった。ドアが締まると、車の中は真っ暗だった。でも、おいらは体にくっついている懐中電灯の、今にも電池が切れそうなかぼそい光でそれを映し出してみた。

男が放り投げたものは、大きな網だった。

その網を見ていたら、おいらはどんどん腹が立っていった。押さえきれないような怒りを、おいらはかろうじて押さえ込んでいた。

 

 車はどんどん走っていく。たぶん夜明けは来たのに違いないが、この車の中に光は入ってこない。だから、おいらは車の中で静かにしていたよ。その時おいらは暇なものだから、ようやくカラスが本当に言いたかったことがわかったんだ。

たぶん、カラスはおいらに手があるうちに、ブチ猫を埋めてやれと言いたかったのに違いない。だけどさっきまで息をしていたブチ猫を埋めるなんて、おいらには思いもよらないことだった。

だけど、あのまま横たわる猫はどうなってしまうのだろう。それに、もしもおいらがあの木に戻れなかったなら、魂のないあの木は、どうなってしまうのだろう。

おいらは仕方がないと、静かに思う。
森には、おいらのようにゴミの下敷きになってしまって芽も出せない種も多数ある。せっかく育っていても大木の傍に芽を出したばかりに、日が当たらず枯れていく若木だっている。おいらはその中の一本になっただけ。ちょっと寂しい事だけど、諦めよう。

だけど、ブチ猫は・・・・。

またも手元にある網に手が触れると、おいらはとうとう怒りを抑えられなくなって唸り声を上げた。

「クワアアーン!!」

それはちょうど車が止まったときと同時だった。

男が運転台から降りて、後ろに回ってくる気配がした。
「なんだい、今の音は。だいたい車がやけに重かったし、変なことばっかりだ。」と、ドアの鍵を開けながら男が独り言を言っているのが聞こえた。

男がドアを開けたその時、朝のというより昼近くの眩しい光が車の中にさーっと差し込んで、グワアと立ち上がったおいらの体をガラガラと崩していった。それらのゴミは車の中で総崩れ。こんなにあったのかと言う位の分量で、そいつが雪崩のように、男の上に落ちていき、男はゴミの下敷きになってしまった。

 

その後男がどうしたのか、心配してあげたくてもおいらには分からない。だって、あっという間においらの意識は空高く、雲の上空まで飛んでしまったから。

    

 

空の上から、おいらの意識がはるか下の風景を見てみるが、まるで見覚えがないので心細い。あちらこちらの森は見えるが、何処においらの森があるのか分からない。何処もかしこも懐かしい緑の森たちではあるが。

風が吹いてきた。

おいらは何処にもいけなくて、このまま空高くに意識が吹き飛ばされてしまうに違いない。

風が雲を飛ばしている。

ちぎれていく雲。

どんどん雲はちぎれていく。

そしてまた、新しい形を作っていく。

おいらは・・・・、おいらの意識は目を見張った。

 雲は真っ白い少女の姿に変わっていった。そういえば、前においらが意識だけで飛ばされそうになったとき、風が白い少女の姿を見せてくれたように思った。でもそれは一瞬で、まるで鉛筆書きの線のようなものだったんだ。おいらが鉛筆書きをなぜ知っているかなんて、野暮なことは言いなさんな。種を明かせば、ガラクタモンスターのときのおいらの指の一本は鉛筆だったからなんだけどね。

 だけど今度は雲がぎゅうぎゅう集まって、まるで本当にそこに少女がいるみたいだった。

少女は優しく手招きをする。おいらは嬉しくて手招きする方に飛んでいく。

 

おいらの意識は思ったよ。こんなに美しい少女は見たことがない。なんて綺麗な人なんだろう。何処までも何処までもおいらはついて行きたかったよ。

 

 だけど雲の少女は立ち止まり、そっと指で足元を指し示し、その唇を動かした。もちろん声はしない。おいらの意識はその唇をゆっくり読んだ。

― ア ・ タ ・ イ ・ ワ ・ コ ・ コ ・ ヨ ・

えっと思った途端に雲の少女は、風に消えていってしまった。その時、足元の森は遙か下にあったのに、なぜかおいらは、おいらのひょろひょろの木と、そこに横たわるブチ猫がはっきりと見えたんだよ。

      

   

 

「ハッ!」と、思わずおいらは声を出した。
カラスは言った。
「よっ、お帰り。若くなってなってしまっただんな。無事に戻れて良かったですねぇ。だけど、もう昼ですよ。えらく時間がかかったもんだ。」

 

            月は赤く、森は緑 ⑥ に続く


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「相棒」第2話還流~悪意の不在

2008-10-30 01:29:46 | ドラマ(相棒)

 薫が兼高の妻に会いに行くラスト、ジーンと来ました。

前回も、OPを含めて音楽の事が話題になっていましたが、やっぱり音楽って大事ですね。ラストのシーンにジーンときたのも、音楽による所が大きいような気がします。

しかし、ショックな内容でしたね。

 前回の1話では、動機や背景がさっぱり分からなかったのに、その予告とサブタイトルを見たとき、嫌な予感がしました。サブタイトルの「悪意の不在」って、かなりのヒントになっていませんか。予告編でもアレって言う所がありました。でも、ふと感じた嫌な予感に、私は蓋をしてしまいましたよ。だって、そんなの嫌だー。

でも、「相棒」ファンの皆様は、かなり予想していましたね。同じように思った方がいっぱいいらして、やっぱりそうなのかなと、ある意味覚悟してみていました。

だから
「ああ、なんだ、そうだったのか~。」と言うショックさはありませんでしたが・・・
「ああ、やっぱりそうだったのか・・・。」と言う、ショックさはありました。

 

 角田課長の大河内さんの呼び出しシーンは、やっぱり今回でしたね。味方ではなく、自称見張りだったんですって。しかも、それを自分で報告しているわけですから、大河内さんの呼び出しは、やっぱりほとんど意味を成していないわけです。しかも、

「俺の目は盗みやすくて良いだろう。」なんて、いいですね 

 

 「シンガポール 空」の「空」を「そら」ではなく「から」と読むことに気がついた、右京の盛り上がり方は面白かったですね。薫も角田課長も付いていけてないという感じでした。

だけど、その「シンガポール から」と言い、二着の背広と言い、繋がって良く面白さは見応えがありました。

 

 ただ、やっぱりなぜ兼高は殺されなくてはならなかったんだろうと思ってしまいます。

正義のための悪は存在しない・・・
だけど、目の前の死んでいく飢えた子供たち、放置された子供たちを身近に見たり感じたりしている者の危機感と、満腹で机の前に座りながら思う正義とは、温度差が生じても不思議はないのかもしれません。

正義のための悪は存在しない・・・
でも、釈然としないものを、どうしても感じてしまいます。

それはきっと、病んでいる国の中にある根に巣食う「悪」が放置されているからかも知れませんね。「相棒」レベルではないですが。

 

東京の夜景は綺麗でしたね。

 

追記<11月1日>

やっと眠くない時間に、PC前に座れました。
それで、ちょっと追記です。

音楽情報がHPに出ていましたが、薫が兼高の奥さんに会うところの音楽は、姫神「神の祭り、風の歌」と言うアルバムの中の「赤道伝説」と言う曲だったのですね。

ここでサワリだけですが視聴できます。→ココ

コメント (2)
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月は赤く、森は緑  ④

2008-10-29 12:29:23 | 詩、小説

月は赤く、森は緑    の続きです。

 ガラクタ・モンスターのおいらは、どんなに泣いてももう涙の一滴も出ない。ただ大きな唸り声が出るだけだ。

夜の暗い森中に、おいらの不気味な「ウォーン、ウォーン」と言う声が鳴り響いたよ。

その後、急においらは疲れ果て、自分の木に寄りかかり西に傾く赤い月をぼんやり見ていた。

―ありがとう、お月様。願いは叶いました・・・・

おいらは呟いてみた。意味もなくブチ猫の言った言葉を繰り返してみただけだ。でも、ブチ猫の冷たくなっていく体を撫ぜていたら急にはっきり言いたくなった。

「ありがとう、お月様。願いは叶いました。」

それからおいらはブチ猫と、まるで猫達がそうするように、寄り添ってしばらくの間寝てしまった。

 

 それはたぶんほんの少しの間・・・。

 「だんな~、若くなってしまっただんな。」とカラスがおいらを呼んだ。
「言おうか言うまいかちょっと迷ったんですがね、あの、このままじゃまずいんじゃないですかい。」

―そうだ。おいらはそんなことまで気が付かなかったよ。流石にカラスは頭がいい。

「そうだな。お前は流石だな。よし、今から町のゴミ捨て場にダッシュだな。」

「えええっー。」

おいらはブチ猫をそっと木の根元に下ろして、町を目がけて駆け出した。

「ち、違いますぜー、若くなってしまっただんなー!!!
前の時みたいに、上手いこと戻ってこれる保証があるんですかい。ワタクシメが言いたいのはー・・・・」

 

 カラスが何かを言っているけれど、おいらは忙しくて聞いちゃいられないよ。おいらはついでに森中の、出来る限りではあるけれど、ゴミを体に巻きつけながら走っていったんだ。

 

町のゴミ捨て場に着いたときは、まだ夜明け少し前。おいらは間に合った。ふう~、ヤレヤレだ。

だけどその時、おいらは近くに止まっている大きな車から、何か気配がするのを感じてしまった。そっとそっと、おいらは近づいて耳を澄ましてみた。小さく小さく猫の鳴き声が、ほんの微かに聞こえてきた。

―出して、ここから出して。
―開けて、開けて、ここを開けて。

おいらはドアを思わず力任せに開けようとした。だけど、ふとあることを思い出した。

 

 カラスは言っていた。
赤い月は不思議を許すと言う許可書。
夜明け前と言ったって、月が西に沈んで朝が来るわけじゃない。西に傾いたからと言っても、天空高くから西の低きに落ちただけ。おいらは月を見て、このドアは必ず開くと信じて開けてみた。

ドアはカチリと開いた。

 そっとドアを開けると、中にはもう一つ箱のような大きなケースが入っていた。その中には数匹の猫が入っていた。その箱の壁は厚く、中で猫が鳴いても声が外に漏れないようになっているみたいだった。猫達は覗いているおいらに気が付いて、怯えたように寄り添った。

このケースにも鍵はかかっていなかった。

その扉は重くてとても猫には開けられないし、たぶんこのケースの持ち主が楽に開け閉めできるように 、鍵はかけないでいたに違いない。

 

 そっと、おいらは扉を開けて
「助けて欲しいのかい。」と小さな声で聞いた。
「助けて欲しいいわ。だってあの男は、あたしを捕まえて、いい皮が取れるって言うのよ。」と真っ白な猫がそういった。
「僕も助けて欲しい。」
「だって、あの男は僕を見るなり大喜びで、こいつは珍しい、高く売れるって言ってたけれど、僕はこれでも林の中で妻と生まれたばかりの子猫を守っているんだ。だから売られるわけには行かないんだ。」と三毛猫が言った。

 

「助けるといっても、ここから出してあげるだけだよ。」おいらがそう言うと、猫達は静かにうんうん頷きあった。
「こんな猫さらいの車じゃなければ、何処だってマシさ。」と一匹の猫が言った。

 

白い猫が車を降りる時、小さな声で言った。

「ありがとう、願いは叶いました。」

おいらはドキッとして、呼び止めた。白猫は言った。
「モンスターさん、あたしは耳を澄まして聞いていたの。車のドアを閉める音は聞こえていたけれど、次の鍵をかける音はしなかったの。この車には鍵はかかっていない、誰かそのドアを開けて助けてとずっと念じていたのです。」

 

 猫達が闇に消えていくのを見送りながら、おいらはドアを力任せに壊さなくて良かったとしみじみ思ったね。ドアが壊れていたら、男はすぐに猫達がいなくなってしまった事に気が付いてしまっただろう。おいらは猫の変わりにその車に乗り込んだ。ケースは邪魔なのでおいらの重みで潰してやった。

 

―そのドアを開けてみろ。嫌と言うほど脅してやるぞ。

 

           「月は赤く、森は緑 ⑤」に続く


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月は赤く、森は緑  ③

2008-10-28 23:01:42 | 詩、小説

「月は赤く、森は緑  」の続きです。

 

 猫は驚いて、体をまた起こして言った。

「恋人なんか、もう居ないわ。」

「だって、黒猫とかいたんだろ。あんたとは不釣合いのハンサム猫がサ。」

「不釣合いって何よ。会いたいのは猫じゃないんだけど、だいたいなんであんたは彼を知っているの。」

カラスはちょっととぼけてカァと言った。まさかおいらから聞いたって言えないし、言ってもらっちゃ困るよ。

「あの黒猫は、恋人だった時もあったけれど、どちらかと言うと兄弟みたいな友だちだったわ。でも、雌猫を追いかけて車に引かれて死んじゃった・・・。そう言えば、あの時アタイは泣いたなぁ。それでその時も、あの人に会いたかったわ。」

 猫はまた黙って、目を瞑った。その顔が寂しそうで、おいらはどうして良いのかわからなくなってしまったよ。

するとカラスが、そんなおいらを見かねたのか、羽をばさばさバタつかせ、クエクエーと変な鳴き方をして、森中のカラスに合図を送った。すると、カラス達は力を合わせて、森の入り口に捨ててある、ゴミをおいらの傍に運んできた。

おいらは吃驚してしまった。だけど、カラスは済ました顔をして言った。

「ねぇ、若くなってしまっただんな。アッシは、若くなってしまっただんなが泣きっぱなしなのが気に入らないですぜ。そんなことで枯れでもしちゃ、アッシの子供の子供のまた子供が、困っちまう。どうかそれで体を作って、その猫を抱きしめてあげてくださいよ。」

 

―エッ、だけど今日は月も出ているし、ハロウィーンの日ってわけでもないじゃないか。

「嫌だなあ、若くなってしまっただんな。何にも知らないんだから。今日の月を見て御覧なさい。あんなに不気味に赤いんですよ。赤い月は、不思議を許すと言う許可書なんですぜ。」

―そうだったのか~。
と、思った途端に、おいらはゴミが組み合わさったガラクタモンスターになっていた。

「ブチ猫よ。」とおいらはそっと猫を揺さぶった。目をうっすらと開けた猫はおいらを見た途端、本当に嬉しそうな顔をした。

「ああ、お月様。願いが叶いました、ありがとう。」と、ブチ猫が言った。
「願い?」
「そうなの。アタイはあんたに会いたくて会いたくて、ずっと会いたいと思っていたのよ。」
「エッー。会いたいっておいらにかい。」
「そうなのよ。」
「だって、おいらと会ったのは、少し昔のほんの一晩の事なのに・・・」

でも、そういった途端に気が付いた。おいらもずっと会いたかった。少し昔のほんの一晩会っただけなのに。不細工ブチ猫にもハンサム黒猫にも、ずっとずっと会いたかったんだよ。

ブチ猫は、さっきまであんなにはっきりと喋っていたのに、だんだん声が小さくなってきた。

「そうなのよ。」とブチ猫は言葉を繰り返した。
「あの時、さよならって手を振ったわ。だけどすぐに気が付いた。あの人は・・・、ああ、そうね、人って言うのは間違いだったわね。でも、『あれは』というのも変じゃない。それであんたはアタイの大事な人になるって言う予感がしたの。アタイの一番大事な日に必要な人になるという予感だったわ。だからいつでも会いたかった。
アタイ、わかったわ。今日がその一番大事な日だったのね。」

 

おいらはブチ猫が何を言っているのか、良く分からないでいた。ただ、切なくて悲しかった。喋ったかと思うとまた眠る、その猫の背中や頭をそっと撫ぜてあげていた。

ブチ猫はまた目を覚まし、さっきよりも小さい声で言った。
「ねぇあの歌、歌ってよ。」
「あの歌よ。
『寂しくなんかなかったら~・・・』」

そうだ、おいらは思いだしたよ。

―さみしくなんかなかったら、
 昔別れた人たちを思い出すことなんかないだろう。

―さみしくなんかなかったら、
 詩も歌も生まれない。

―さみしくなんかなかったら、
 自分の事なんか見つめない。

―さみしくなんかなかったら、
 誰も愛することをしないだろう。

 

おいらは音痴だけど、歌ったよ。
「ねえ、ブチ猫。あの夜は本当に楽しかったね。」
ブチ猫はうっすらと笑って何か言った。
「エッ。」とおいらは本当に小さくなってしまったブチ猫の声を、耳を澄まして聞いたのよ。

「アタイはいつだって、本当に寂しかった。
だからいっぱいいっぱい愛したの。」

「うん。」おいらは応えた。

「アタイはいつだって、本当に寂しかった。
だからいっぱいいっぱい友だちができたのよ。」

「うん、うん。」とおいらは頷いた。

「アタイはいつだって、本当に寂しかった。
だからいっぱいいっぱい・・・・・・・・・。」

「おい、」とおいらは呼びかけたが、もう猫は何にも喋らなかった。

 

           月は赤く、森は緑 ④ に続く
 


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月は赤く、森は緑  ②

2008-10-28 00:18:25 | 詩、小説

月は赤く、森は緑  ①」の続きです。

 

「 アタイが、ある朝目を覚ますと、そこからアタイの人生が始まった。その前のことは覚えていないもの。そこには人間のママという人がいたの。ママは優しくて、アタイにご飯をくれたり一緒に遊んでくれたり、午後には一緒にお昼寝したりしたの。いつだって森にも遊びに行けて、とっても幸せだったのよ。

でもある日家中の荷物が運び込まれ、家の中は空っぽになってしまったの。最後にアタイが運び出されて連れて行かれたのは、箱のような部屋だった。昼間は仕事とかいう所に出かけママはいなくなり、アタイはその箱の部屋に閉じ込められた。夜のママは疲れ果ててすぐに眠ってしまうし、アタイはすっかり嫌になってしまったの。

 それである日ドアが開いたその隙間をかいくぐり、もと居た家を目指して逃げ出したの。そこに行けば、きっと前のママが待っていてくれると思ったの。

 だけど、もと居た家には遠すぎて帰れなかったわ。アタイが途中の家の庭の隅で休んでいたら、青い髪飾りの少女が親切にしてくれたのよ。毎日ご飯をくれて、それを喜んで食べていたら、そのうち家の中に、ふかふかの寝床を作ってくれて、さらさらの砂のトイレも作ってくれたの。青い髪飾りの少女はおしゃべりで、夜になるとアタイを抱いて一日のあったことを話てくれたの。

少女の声は歌うように気持ちよくて、アタイはとっても幸せだったのよ。」

 

 ―不細工ブチ猫よ、幸せだったんだね。
おいらは、その話が聞けて嬉しいよ。だけど、そんなに一気に話したら疲れてしまうよ。おいらは心配になってしまった。だけど、ブチ猫の話は終わらない。何かにせかされているように話を続けた。

 

「だけど、ある日の夜。少女が空気を入れ替えようと窓を開けたの。そこから見上げると、空には今日のような真っ赤な月が出ていたわ。」

―見上げると、空にはいつの間にか月が出ていた。

「夜風はひんやり冷たくて、風が家の周りの木々を揺らしていたの。私は突然ワクワクして、窓から外に飛び出した。家の中から、少女が驚いてアタイの名前を呼んでいるのが分かったけれど、どうせすぐに戻ってくると思ったから、少女の優しい呼び声を無視したの。だけど、あんなことが起きるなんて・・」

「あんなこと?」
珍しくカラスが聞き返した。

「そうよ、恐ろしかったわ。
アタイはすぐに家に戻る気でいたから、本当に家の門(かど)の所に居たのよ。少女も分かっていたから、追いかけてはこなかった。キマグレ猫の戯れ散歩だと思っていんだと思う。

でも、木の陰から大男が飛び出してきたの。その男は手に大きな網を持っていて、アタイを追い回した。もう、アタイは吃驚して、メチャクチャ走って逃げ回ったの。」

―なんだい、その網を持った大男って、一体誰なんだ。オイ、カラスよ、聞かないのかい?
だけどカラスは黙っている。

「そしたら、近所に流れている川に落ちちゃって、アタイは流されてしまったの。その時もう死ぬんだと思ったけれど、けっこうアタイはしぶとくて、何処かの町の浅瀬で這い上がり、そこの町に居ついたの。だってもう少女の家には帰れなかったから。でも、新しい町でも、アタイに親切にしてくれる人がいたわ。だから今まで町のストリートのあちらこちらの暖かい所をネグラにして、自由に楽しく生きてきたの。アタイはとっても幸せだったわ。

だけど、今になったら会いたいの。アタイは今まで何にも考えてこなかった。今までは、帰りたいって言ったって帰れないものは仕方がない。今を生きていければいいんだと思っていたの。

だけど、やっぱり会いたいの。会えなくなって悲しかったのは、アタイばかりじゃないのよね。きっと、ある日突然アタイが居なくなってしまって、ママも青い髪飾りの少女も、悲しんで泣いたよね。

きっと、泣いたよね。ごめんね、悲しませて。」

 

 猫は本当に悲しそうな顔をした。だからおいらの涙も止まらない。だけど、猫はフゥーっと、息をつくと、少しホッとしたような顔をして言った。

「ありがとう、聞いてくれて。なんだか心が軽くなったわ。」

そう言って、猫は眠った。猫の寝息は荒くて、おいらはその背中を撫ぜてあげたくて仕方がない。だけど、今のおいらには撫ぜてあげる手がないんだよ。

「ねえ、カラスさん。まだそこに居る?」

しばらくすると、猫は目を瞑ったままでカラスに声をかけた。

「アタイ、本当はもう一人会いたい人がいるの。」

―あのハンサム黒猫かい。それならカラスに呼びに行かせるよ。

カラスは面倒くさそうな顔をちょっとしたが、

「恋人の猫かい。」と、聞いていた。

 

       「月は赤く、森は緑 ③」に続く

 


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月は赤く、森は緑  ①

2008-10-27 09:29:16 | 詩、小説

 

<『ハロウィーンモンスターの独り言』『ハロウィーンモンスターの独り言(続き)』と『バイバイ』の続編です>

 

サワサワサワ・・・

 おいらは、風が森の木々の梢を揺らして歌っているのを聴いていた。
なんて気持ちが良いんだろう。

みんなおいらの事を、覚えているかい。
あれから何年たったのか。

 おいらはハロウィーンの夜に、森に捨ててあったゴミたちに魂を宿して町に繰り出していた、ハロウィーン・モンスターだったのだけれど、本当は、そのゴミたちに日の光を遮られ、芽を出せないでいた、森の若木だったんだよ。

 

そんなおいらも、少しは成長したんだ。もちろん、まだまだひょろひょろの細い木で、今ではすっかり友人になったカラスの巣さえも作らせてあげることが出来ないんだけどね。

   

    

 

 そのカラスも、今では何羽も子供たちを育て上げ、森では結構みんなに頼られている存在になっているんだから、たいしたものさ。

そのカラスの噂話では、やっぱり森には時々人間がやってきて、ゴミを捨てていくらしい。流石においらの周りは、人がやってくるたびにカラスがそいつらを追っ払ってくれるので、助かっているんだよ。

 

 だけど夏になる少し前のある日の夕方、森にヨロヨロと猫が迷い込んできた。その猫は本当に疲れ果てていて、歩くのだって大変そうだった。鼻のところにブチがある、そうだ、あれは不細工ブチ猫じゃないか。あんまり薄汚くなっているので分からなかったよ。

 

ブチ猫はおいらの近くに立っている、古い大木の割れた根元なんかをチェックしている。だけど、ふとおいらの方に目をやると、少し嬉しそうな顔をして近寄ってきた。

 

ーやあ、おいらの事が分かったのかい。
と、おいらはそう語りかけたけれど、どうもそうじゃなかったみたいだ。前にカラスが言っていた。おいらとカラスが話せるのは、同じ森の運命共同体だからだって。だから不細工ブチ猫には、言葉は通じないらしい。それでも、ブチ猫はおいらの傍に吸い寄せられるようにやってきた。

「なんだか、この木は懐かしいわ。おかしいわね、こんな若木なのに。それに、この木はアタイが探している木じゃないわねぇ。どうしようかしら・・・。」

ちょっと猫は悩んでいた。その仕草は相変わらず可愛かったが、その目には目やにがいっぱいで、毛も所々で纏まってツンツン立っていた。つやつやしていたその毛は、全体的にくすんで、猫は前に会った時よりも二周りも小さく見えて、おいらはなんだかもの凄く切なくなってしまった。

―どうしたんだよ。お前はあんなに優しくて、あんなに幸せそうに見えたのに。あの後、苦労とかしちゃったのかい。

実はおいらは泣き虫で、ハロウィーンモンスターの時は涙なんかを出すことが出来なかったけれど、木の姿になってからは、幹を通して泣けるんだ。おいらは思わず泣いてしまったよ。

「 なんだかこの木は優しい音がするわねぇ。アタイの理想の木じゃないけれど、この木の根元にしようかな。
 ねぇ、若い木さん。アタイをこの根元でちょっと眠らせてね。そのうち動かなくなってしまうけど、それも気にしないでね。いつかアタイは土になり、その養分をあんたにあげることが出来るから、それがお礼と思ってね。」

 

 どうしたんだろうと、友だちのカラスがやって来て、隣の木に止まったのを見つけると、ブチ猫はまた言った。

「ああ、カラスさん。気が早いわね。アタイを突くのは生きているうちは止めておくれ。」

「オイ、猫。このまま黙って逝かれちゃあ、俺様の友だちの涙が止まらないぜ。お前だって、まだ話す気力ぐらいあるだろう。それに何か話したいこともあるだろう。森のみんなが聞いてやる。言いたいことを言ってみろ。」

「まあ、親切なカラスさん。こんなちっぽけな一匹の猫に、大層な話なんかがあるわけないじゃないですか。でも、聞いてくれるというのなら、今、アタイが思っている叶わぬ願いのことを言ってもいいかしら。言ってもしょうがないことなんだけどね。」

 

ザワザワザワ・・・
森の木々がざわめいて、猫の話に耳を傾けはじめた。

「あのね、アタイは会いたいの。・・・」

           「月は赤く、森は緑」の②に続く

 

 

 


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「篤姫」43回嫁の決心

2008-10-27 00:34:05 | ドラマ (大河)
 「母上様は、ワタクシと同じですね。」

今回のホロリシーンは、このラストの数分。かけがえのない夫を失い息子を失い、嫁と姑は歩み寄ったと言う所でした。
失ってしまった夫を思い続け、だからこそ頑張れると思う篤姫。その篤姫に「母」と呼びかける和宮。

母を失い、夫を失い、そして最大の後ろ盾である兄の御門を失い、和宮に次々と不幸が襲います。
「母上様はお強い。」
和宮こそお強くならねばなりません。


和宮降嫁から今までは、どうしても江戸時代ラストの最大のヒロインである和宮に物語を持っていかれ、篤姫はなにやら狂言回しのような感じに思えてしまうこともありました。でもここからの動乱を如何に乗り越えるかで、一気に篤姫中心の物語に戻っていくことでしょうね。

次回は、大変。もうあの人が・・・・
そうすると残るイケメンは・・・・・・勝海舟のみ!!??  
「アチャ」       ←これが言いたかっただけ(汗)

そうでした。帯刀さんがいました。

今週のハイライト
その帯刀さんの息子。
それから列候会議と言う所かも知れませんね。


帯刀さんは髪型が竜馬さんに予告したどおりにチェンジしていましたね。
お近さんの悲しみや辛さの部分はスルー。
本当はあっちもこっちもスルー。あまりの眠さに「見ました」というはんこのような記事になってしまいました。

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猫のいるうち

2008-10-26 01:27:32 | お出掛け日記

               <『見返り美人』

 ブログを開いてからお出掛けした所は、ほとんど 記事にしている私ですが、二回だけタイミング悪くて記事に出来なかったことがあります。

その二回のうちの一つは、妹の家に行った話だったのです。そう書くと、「なんだあ、身内の家に言った話かぁ。」と思うかもしれませんが、それぞれの家の周りにはそれぞれの見所なんかがあって、かなり楽しかったのですよ。それは、昨年の春の事だったので、また春にでも、ドサクサに紛れて書きたいなと思います。

その妹が引越しをしたので、出掛けることにしました。

メンバーは姉妹三人と姪が一人、母が一人(二人いたら問題だ)。

 

今回は妹の家に行く前に途中下車して駅で待ち合わせて街の中にある温泉に行きました。今、結構はやっていますよね。何とかの湯とか言う街の中の温泉だったり、沸かし湯だったりの大きなお風呂屋さん。

私は家の周りにあるところには、行ったことがないんです。一緒に行く人が居ないから・・・・・クラッ
でも、これは本当の事ですよ。なんか、やっぱり友人と裸の付き合いなんかはしたくないなぁ、私。

でも、家族はもちろん別です。

 

そこは競馬場があるところで、私は驚きました。醤油の町、野田市だと「野田」と言う所に降り立つと、なんとなく町が醤油の香りがするって言うのは本当です。(ちなみに水道の蛇口をひねっても醤油は出てきません)

競馬場のあるその街に降り立つと、なんと街中が・・・・

今ふと思いましたが、牛舎は牛さんのところでしょ。馬はなんていうのかしら。うまや?

あっ、そうそう、厩舎でしたね。その厩舎の匂いが街を包んでいるんですよ。

馬の街なんだと、しみじみと感じました。馬券を買った経験は昔二回ほどありますが、自分で買ったことはありません。いつか、競馬も見に行ってみたいなと思っているんですよ。

 

 

 

行った所は源泉賭け流しの温泉でした。その他に炭酸泉やジェットバスや寝ころび湯など8種類のお風呂がありました。他にも蓬のスチームサウナや塩サウナなどを楽しんでしまいました。

私たちは楽しむ気満々だったので、作務衣を借りて、入浴→昼食→休憩→入浴と言う予定を立てました。でもそういう人たちってあまりいませんでした。昼食を終えて、畳のところで賑やかにおしゃべりをしていたら、トイレから帰ってきた姉が、さもおかしいと言う顔をして語りました。

「今そこで呼び止められちゃった。
『つかぬ事をお聞きしますが、そちら様方はどのようなグループなんですか。今食事をしていて、主人とその事が話題になってしまって、気になって仕方がありません。従業員の方なのか、どちらかの宗教団体の方なのかといっていたのですが・・・』と言うので、この作務衣は受付で借りたのですと言うと『スッキリしました。』と言われちゃった。」

やっぱり誰も着ていないのに姪以外の5人が作務衣を着ていると、目立つのかも知れませんね。

でも妹達はビールなんて飲んでしまって、私はおしゃべりだし、このグループは賑やかで、従業員のグループでも宗教団体のグループでも不届き者と言う感じですよね。

でもとにかく、今後妹が一人でここに来ることがあったとしたら、作務衣は借りない方がいいという結論に落ち着きました。

だって、一人でそんなのを来てのんびりしていたら
―ちょっと、あそこの床が濡れていますよ。
とか言われちゃって、妹は訳がわからないながら、モップで拭いてしまいそうですよ。

 

その後にみんなで再び電車移動、そして妹の家に行ったのですが、その時私に大変な悲劇が起きました。妹にうちはやたら段差の多いうちで、おしゃべりに気を取られていた私は、ダダーんと派手に転んでしまいました。

妹のうちには猫が三匹居ます。そのうちの一匹は人間嫌いで飼い主にしかなつきません。転んだ私の横を通って、その猫が走り去っていくのを私は見ました。でも、派手に転んだ割には右手首の打ち身だけですみました。(だけど、今はシップぺたぺた・・)

 走り去っていく猫の画像はありませんが、他二匹です。

       

 

        


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相棒シーズン6「黙示録」

2008-10-23 09:29:27 | ドラマ(相棒)

昨晩から、「相棒」のシーズン7が始まりました。それに合わせて再放送を昼間やっていましたが、昨日は見逃してしまっていた「黙示録」でした。

昼、夜の「相棒」なんて、本当に「相棒づくし」です。これに「ナニコレ百景」とか見た方は、超凄腕級の「相棒」マニアですよ。・・褒めているつもりです

 

 ちょっと簡単に「黙示録」の感想です。

実は基本中の基本を疑問に思ってしまいました。「相棒」の内容にではありません。

「黙示録」の意味自体にです。今までなんとなく「地獄の黙示録」とかあっても、何の疑問にも思わずに来てしまいました。

本来は「黙示録」と言ったら、キリスト教のヨハネ黙示録を暗示して、さらにその拡大解釈として、もしくはパロディとして使われるわけだと思うのですよね。

タイトルはかっこいいけれど、なんとなくよく分からないなぁと感じてしまいました。分からない時は、調べましょう。

「黙示」―1)はっきりとと言わず、暗黙のうちに意志や考えを示すこと。
「―の契約」
(2)ユダヤ教、キリスト教で、神が人に隠されていた真理や神の意志を啓示すること。アポカリプス。   <goo辞書より>

フムフム・・・。なんとなくスッキリしましたね。あれ、「なんとなく」なのに「スッキリ」はちょっと矛盾かな。

 

 冤罪の恐ろしさもそうですが、そこに関わってしまった者達の苦しみは、裁くもの側にもあったのだというところが深かったですね。いろいろなところで感じ入る部分がありましたが、簡単にということで、そこはスルーでいきます。

 心に一番残ったのは、やはり最後の小野田さんの言葉
「杉下の正義は暴走するよ。」でした。今度のシーズン7にも繋がっていきそうですね。

 

 そして驚いたのはやっぱり「刑事補償法」ですね。

無実の罪で死刑になってしまったら、三千万・・・
この場合は死刑ではなく獄死だから、9百万・・・
これは、ないよね。

で、刑事補償法もリサーチです。

第四条  抑留又は拘禁による補償においては、前条及び次条第二項に規定する場合を除いては、その日数に応じて、一日千円以上一万二千五百円以下の割合による額の補償金を交付する。懲役、禁錮若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても、同様である。

死刑囚は労働などをしないので、一日千円で計算していましたが、この場合は許せませんよね。ドラマ的にはそちらでいいのかもしれませんが、気持ちがスッキリしないので、12500円で計算してみました。

19年って言っていましたっけ。そうすると、8千6百万強。
25年で計算したら一億一千万強。
そのぐらい、いいんじゃないかなと本当に思いますよ。でも、三千万がマックスと言うのなら、人の命って・・・・。


  裁判員制度の事も触れるべきかもしれませんが、長くなってしまったので、またの機会にと言うことにしようかな。

あの、コレって、一応「相棒」の感想です(汗)
あらすじはこちらです→ここ


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